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グーグル、マイクロソフト、ヤフー、それぞれの思惑

マイクロソフトの買収(合併)交渉は不調に終わったようだが、この3つの会社の思惑はどのように判断したらよいだろうか。サンケイWebで次のような言葉に当たった。

検索市場 独走グーグル MS、ヤフー危機感

 グーグルは米リサーチ会社が選んだ今年の「最も影響力のあるブランド」の1位に選ばれ、マイクロソフトは3位とグーグルの後塵(こうじん)を拝した。オンライン広告大手ダブルクリックも先月、グーグルに31億ドルで先に買収され、マイクロソフトの危機感はピークに達した。米国出版者協会(AAP)の年次総会では「他人が作ったコンテンツに寄りかかっているだけの会社が広告や株式公開(IPO)で何億と稼いでいる」とグーグルへの対抗姿勢を強めていた。
この「他人が作ったコンテンツに寄りかかっているだけの会社が広告や株式公開(IPO)で何億と稼いでいる」という言葉がグーグルに対する危機感を表している。

今年の4月のWeb2.0 Expoにヤフーやグーグルの幹部たちが講演していた。例えば、ヤフーの副社長は

勢いの差が如実にあらわれたヤフー副社長講演・ウェブ2.0エキスポの中で

 ここまで散々な質問を浴びせかけたバテル氏が最後に持ってきた問いはマイクロソフトについての質問だ。「もしあなたがマイクロソフトだったらどうする?」と迫り、さらに「結婚(合併)は?」と突っ込みをいれた。

 これに対してウェイナー氏(ヤフー副社長)が、絶対ないというような否定はしないものの「提携に関してはオープンだし、イーベイや新聞社のコンソーシアムとも連携している」とあまりぱっとしない答えを返したところで基調講演は終わりとなった。

この時点ではマイクロソフトが買収交渉に来ることは予感としてあったに違いない。

先日、グーグルのシュミットCEOが来日し、こんな話題に答えた。

人びとが世界を見る「目に」グーグルCEOエリック・シュミットさん(52歳)

 無料の検索で始まったグーグルのサービスは、今やネット上で表計算やワープロの文書作成ができるほどに拡大した。パソコンに高価なソフトを導入しなければできなかった作業が、ネットに接続するだけで可能になりつつある。その勢いで企業内システムにも進出、急速に成長している。

 「このまま進むと、マイクロソフトやIBM、オラクルといった大手と正面から競争することになりませんか」と尋ねると、「ノット・IBM、ノット・オラクル(IBMやオラクルとは競争しない)」と答え、微笑した。「マイクロソフトとは競う」という意味だ。

 ネット上でサービスを動かすグーグル型モデルと、パソコン上でソフトを動かすマイクロソフト型モデル。これからのインターネット革命をリードするのはどちらなのか。本格的な戦いが始まろうとしている。

最後の朝日新聞の記者は「ネット上でサービスを動かすグーグル型モデルと、パソコン上でソフトを動かすマイクロソフト型モデル」と分けたが、明らかにヤフー・マイクロソフトとグーグルの立場は違う。「ウェブ進化論」を書いた梅田望夫氏はこんなことを語っている。(「ウェブ進化論」の梅田望夫氏が語る“Googleという隕石”)

−−インターネット関連会社は多数あります。その中で、Google社をどのように位置づけていますか?

梅田氏 Googleとは何なのか、ここ数年、ずっと考えてきました。その意味を理解することが、次の10年の行く先を占う上でのメインテーマだと認識していたからです。

 Googleは突然変異で生まれた会社です。まるで隕石が落ちたかのようなインパクトを社会にもたらしたんです。

 ですから、GoogleとYahoo!は近い存在だとも思っていない。Yahoo!でさえ、Googleの誕生によって、変革を迫られたわけです。4000億円をかけていろいろな会社を買収し、Yahoo! 1.0からYahoo! 2.0へと進化を遂げました。

 Googleを他のインターネット企業と同列に見てはいけない。おそらく、こうした企業は10年に一社くらいしか生まれない。

 IT業界の第一世代の主役がIBM社、そして第二世代はMicrosoft社中心、それについで第三世代の代表がGoogleというわけです。

 もちろん、Google1社が第三世代のIT業界を独占するという意味ではありません。Yahoo!やAmazon、eBayといった企業と共に、中核を成すことになるでしょう。

−− この本の中で、リアルな世界を「こちら側」、バーチャルな世界を「あちら側」と表現していますね。そして、Microsoft社のBill Gates氏も、あちら側には行けなかったと論評しています。Microsoft社も、かつてNetscape社との闘いで勝利したように、再びGoogleを追撃するのではないでしょうか。

梅田氏 Bill Gatesはあちら側にはなれないと思います。なぜならその出発点がこちら側にあるから。

 Googleの重要性についてMicrosoftが気付くまで驚くほど時間がかかった。遅すぎたんです。相変わらず「あちら側」の本質が何なのか,体では理解できなかったのでしょう。

 Netscapeを追いかけた時は,わずか1年遅れでした。しかし,Googleの創業は1998年です。まずYahoo!が覚醒し,Yahoo! Search Engineを作ったのが2002年から2003年。それでもMicrosoftは、この領域に参戦しませんでした。Microsoftはネット事業の会社を買収していません。興味がなかったんだと思います。視点をあちら側に移すことができなかったんです。

 こちら側(リアル)には、マイクロソフトがあり、あちら側(バーチャル)には、グーグルがある。あちら側からはこちら側にこれるが、こちら側からあちら側には行けない。住む世界が違うからマイクロソフトはグーグルを飲み込むことはできない。ただ、おびえるだけである。

 先ほど引用したWeb2.0 Expoに「ウェブ2.0」を定義したティム・オライリー氏がいた。そのインタビューが載っていた。

「グーグルの肥大を誰も止められないかもしれない…」・オライリー氏単独インタビュー

——グーグルが、インターネット広告システムのダブルクリックを買収することになった。

 同じインターネット広告を手がけているとはいえ、グーグルとダブルクリックは違う事業モデルの会社だ。グーグルはロングテール的で小さなサイトでの広告を集めてくるモデルだが、ダブルクリックは大手メディア系サイトに強い。

 グーグルはネット広告で力を持っているとはいえ、グローバルの広告マーケットを考えたらまだ小さな部分でしかない。彼らの技術力を持って、さらにラジオやテレビ、新聞の広告を変革していくことを期待したい。

——Web1.0の会社をWeb2.0の会社が買うわけだが。

 業界におけるパワーシフトが表れている。過去の例でいけば、コンパックはDECを買収したが、その後コンパックはヒューレット・パッカードに買収されてしまった。単純に言えば、グーグルはキャッシュで買う余裕があった。2.0の会社のほうが、1.0の会社よりもパワフルだということだ。

(中略)

——ウェブ業界ではアプリケーション(サービス)提供者とコンテンツを持つ事業者との戦いが数年続くと予想していたが、現在はどのステージにあるのか。

 ウェブ2.0の時代になり、インターネットの世界のルールが変わっている。オープンであり、オープンソースソフトやウィキペディアのように皆で共有することができ、多数の人が使うことで相乗的な効果が生まれる「ネットワークエフェクト」という現象が起きている。

 ただし、巨大なデータベースを用意したり、うまく扱うためのソフトウエア技術はオープンとは関係なく必要とされる。そういうところの勝負になっている。マイクロソフト音声認識技術のテルミーを買収したのがそういう動きだろう。

——グーグルとアマゾンが合併して、ニューヨーク・タイムズ紙をネットから撤退させるという将来予想があった。

 未来のことはよくわからないが、どんな話も考えれらないことはない。1993年ごろにマイクロソフトがパソコンの世界でこれほどの力を持つと考えたことがあっただろうか。競合を追い出して、独占的な地位を築いている。グーグルにだってこれと同じことがあるかもしれない。

 データベースがさらに大きくなっていったり、携帯電話などの携帯機器がより使われるようになるなかで、インターネットの重要性は高まる。グーグルがパソコンでのマイクロソフトのように止められない存在になる可能性はあるだろう。

 果たして10年後の未来、この三社のうちどれかが欠けているかもしれない。
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