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パナソニック「愛情サイズ」ビデオカメラはブルーレイディスクに衝撃を与えるか?

 「愛情サイズ」ビデオカメラ は SD メモリーカードを使ったフルハイビジョンビデオカメラだ。このカメラは家電業界にとって衝撃を与えることになりはしないかという記事を見つけた。ジェイスター株式会社代表取締役の豊崎禎久氏の「デジタルビデオカメラ市場に見るパンドラの箱」 (アットマーク・アイティモノイスト) という記事だ。

  SD メモリカードを使うメカレス型デジタルビデオカメラは技術的に製品化が容易となり、この領域での差別化が難しくなるだろう。この事象は、すでに薄型テレビのファブレス型液晶テレビのビジネスモデルなど、デジタル家電製品で証明されている。  メカ機構が搭載されているが故に、そこに独自の自社技術が存在し、自社の製品を守り、海外メーカーの参入障壁を作り上げ、かつ製品に付加価値を生み出してきた。優秀な日本技術者は模倣されにくい技術を作り上げることが、技術者自身のモティベーションを高め、日本企業の利益を守り続けてきたのである(メカ機構が多いカーオーディオ分野はこの模範事例であった)。

  SD メモリカード搭載のデジタルビデオカメラの開発主導権は、システムメーカーから、サムスン電子や東芝など NAND 型フラッシュメモリメーカーに移ったといえよう。今後、この製品の差別化は、 SD メモリカード容量と「ブランド(これは次ページに関係)」でしかないであろう。 SD メモリカード型 AVCHD デジタルビデオカメラの市場投入は、国内家電メーカーの戦略のミスである。

( 中略 )

 ジェイスターでは、こうした携帯型音楽プレーヤ・メーカーなどの市場参入を未然に防ぎながら、 AVCHD 対応機市場をさらに拡大する方策としてブルーレイディスクの採用が有効だと提言してきた。ブルーレイディスクは、 GaN (窒化ガリウム)系材料を使う青色半導体レーザーという最先端部品を採用する。 GaN ウェハを供給できる材料メーカーは、現在国内に 2 ? 3 社体制でしかない。この青色半導体レーザーの調達は、特許と製造できる企業数が世界で少ないため、一筋縄ではいかない。しかも青色半導体レーザーに対応する光ピックアップ・モジュールに加えて、本来メカのローダー開発には、非常に高い技術力とノウハウが必要になる。半導体レーザーや光ピックアップ・モジュール、ディスク駆動装置の開発・製造は、日本企業の最も得意とするお家芸である。

 従って、これらの電子部品が欠かせない日立製作所が市場投入したブルーレイディスクのデジタルビデオカメラが主流になれば、国内デジタル家電メーカーが世界のデジタルビデオカメラ市場を支配しやすくなるはずであった。

 ところが SD メモリカード型メカレスという “ パンドラの箱 ” を開けてしまった以上、国内デジタル家電メーカーは、世界市場での地域製品戦略を考え、電子部品を大量調達し、価格下落とアップル社など強力なライバル企業との競争に打ち勝つために、画像エンジンなど SoC のプラットフォーム化と微細化に依存しない(シリコン貫通電極技術などを活用した)大容量メモリデバイスの開発を促し、海外企業の新規参入に備えをしておく必要がある。

 豊崎氏が危惧するのは、ブルーレイなどの日本独自のメカを使っていればいいものを、 SD メモリーカードのような海外メーカーが参入しやすいシステムを使ったのは、戦略的に失敗だったというのである。

しかし、日本の家電が発表しなくても、サムスンなどがそれほど時間を置かずに発表するだろうことは明らかである。それほど、韓国の家電業界の強さは目を見張るものがあるからだ。

 ビデオカメラがテープやディスクを使ってる限り、駆動装置 ( モーター ) が必要である。そのことが、カメラのサイズをこれ以上小さくできなかった理由でもある。しかし、デジカメがメモリーカードを使っている以上、デジタルビデオカメラがメモリーカードを使うことは予測できたことでもある。もっとも、メモリーカードはもうひとつ信頼性に欠くため、問題がないわけではないが。

 これからはアップルやサムスンなどの反転攻勢が続くだろう。メモリーカードが4ギガ、ブルーレイが 50 ギガ。確かに、差はあるが、メモリー増量がどんどん増えていくことは間違いない。そうなると、わざわざブルーレイなんか買わなくても HDD やメモリーカードで済んでしまうなんてこともありうる。これもまた、「本当に次世代 DVD 、華開くのか」のもうひとつの悪夢である。
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