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ストリンガー会長は久夛良木氏の後継者?(ホームサーバの戦い・第24章)

ストリンガー会長、社長を兼務する理由

 ソニーのストリンガー会長が、社長を兼務し、今まで社長をしていた中鉢氏が副会長に回るという。
ソニー、ストリンガー氏が社長へ--ネットワークサービス事業を強化


 ソニーは2月27日、4月1日付けで実施する新経営体制を発表した。現在代表執行役会長兼CEOであるハワード・ストリンガー氏が社長職も兼務する。また、新事業グループを2つ発足し、エレクトロニクスとゲームの両事業を統合。ネットワーク製品とサービスの体制強化を図る。

 現在代表執行役社長兼エレクトロニクスCEOの中鉢良治氏は代表執行役副会長へ、代表執行役副社長、コンスーマープロダクツグループ担当の井原勝美氏は業務執行役副社長へと就任する。

 新規事業部として立ち上げる、ネットワークプロダクツ&サービス・グループには、ソニー・コンピュータエンタテインメントSCE)社長兼グルー プCEOの平井一夫氏がプレジデントとして就任。デビュティプレジデントには、米国ソニー・エレクトロニクスのコンスーマーオブアメリカ・グループプレジ デントの鈴木国正氏が就任する。

 今までより、ゲームの立場が強化されたようだ。今まで、ソニーはエレクトロニクス、ゲーム、ソフト、それぞれバラバラの対応だった。言わば、ソニーの特徴であるハードとソフトのシナジーを活用することができなかった。中鉢氏はエレキのCEOであったが、今回の赤字の多くの部分を占めている。ストリンガー会長は、かねてから、ソニーがゲームを持つことの意味を強調していた。たとえば、ロイターでは
ソニーのストリンガー会長が社長兼務へ、中鉢社長は副会長に

 中鉢社長は現在エレクトロニクスCEOとして同事業のトップを務めるが、4月1日にこの肩書きが外れる。ストリンガー会長はかねてから、エレクトロニクス製品とネットワークとの連携や、ゲームソフト、映画や音楽などコンテンツとの相乗効果を狙う事業路線の志向が強い。同会長がエレクトロニクス分野を統括することで、製造業としてのソニーが今後どのような姿を目指すのかも注目される。

と書かれているし、僕もソニー・ストリンガー会長の会見を読み解く(ホームサーバの戦い・第23章) の中で、ストリンガー会長は、
コンテンツとエンターテインメントとハードウェアを1つにすることによって、ほかのエレクトロニクス会社が提供できないような体験を提供する」、これが目標であり、将来であり、イノベーションということになります。

(中略)

 「ソニーは多くの教訓を学んできた」と思います。私どもはもうハードウェア会社だけではないわけです。ソフトウェア会社でもあり、娯楽のエンターテインメント、ゲームの会社でもあると。そしてそのすべてを1つに統合することによって、素晴らしい力になるということです。

を引用した。ソニーが他の家電産業と違う部分。それは、ソフトとハードを持っているということだ。このハードはコンテナーであり、ソフトはコンテンツのことである。

 今回の金融危機で明らかになったのは、前回「コンテナー(入れ物)大国からコンテンツ(中身)大国へ変換するとき」に書いたように、今、テレビなどAV機器が売れない理由は、今までのように多機能高価格製品が売れなくなり、低機能低価格製品しか売れなくなったことだ。そこで他社と同じ対応では勝てない。ソニーは、これに対して、どういう機能を盛り込むか。

PSNというネットワーク

AVウォッチのソニー社長交代。ネットワークを軸とした新経営体制に−会長社長兼務に。PSNを核にゲーム/VAIOなど集約によれば、
 事業グループのうち、「ネットワークプロダクツ&サービス・グループ(NPS)」は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)やパソコンのVAIO、ウォークマンを含むモバイル製品、ソニー製品の共通サービスプラットフォームを開発するソニーメディアソフトウェア&サービスで構成される。

 同グループでは、ネットワーク対応製品やサービスに積極的に取り組み、サービス収益力の強化を図る。また、社内の先端技術を結集し、新たな製品創出に取り組むとしており、PS3向けに展開しているネットワークサービス「プレイステーション・ネットワーク(PSN)」のプラットフォーム活用/拡大が一つの要となるとする。グループのプレジデントにはSCE社長兼グループCEOの平井一夫氏が執行役EVPとして就任する。

 おそらく、アップルのiTunesのようにゲームだけでなく音楽や映画のダウンロード販売などを目指すのではないだろうか。ますます、久夛良木氏の言うPS3をホームサーバとして活用する時代が近づいている。
 ネットワークで配信(再配信)可能なコンテンツには、ゲームの他にも、映画・音楽、許諾を受けた放送番組、あるいは個人が撮影した膨大な数の写真や動画などがあるだろう。今後、家庭において「プレイステーション3」自体がホーム・サーバーとなり、他の携帯機器やネットワーク接続されたデジタル家電機器、さらにはパソコンにも、ゲームや映像や音楽を配信することも可能になる。(「PS3が創るリアルタイムコンピューティングの未来」)(PS3のホームサーバ時代が始まった)
 今回の金融危機は転換のチャンスだ。今まで消極的であったテレビ局もネット配信に力を入れ始めている。ソニーも、久夛良木氏のPS3をハブとしたホーム・サーバに方向を向けざるをえなくなった。
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