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素人だから言えることもある

朝日新聞が変わるか、CNET Japanが変わるか、ブログについて考える。

朝日新聞の事業継承記事

 7月1日の朝日新聞に、朝日新聞がCNET Japanの事業継承について書かれていた。
 朝日新聞社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:秋山 耿太郎)と、米メディア大手CBSのウェブ事業部門であるCBS Interactive(本社:米国カリフォルニア州サンフランシスコ、CEO:Quincy Smith)は1日、同社日本法人のシーネットネットワークスジャパン(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:神野 恵美)が運営するITビジネス分野の専門情報サイト「CNET Japan」「ZDNet Japan」などの事業を朝日新聞社が引き継ぐことで合意しました。(朝日新聞7/1)
 だが、この記事では、どう体制が変わるかわからない。そこで、ほかの情報を探してみる。
シーネットネットワークスジャパンは引き続き、CBS Interactiveの日本拠点として存続する。現在「CNET Japan」「ZDNet Japan」などの編集・営業などに携わっている社員ら約50人は、全員新会社に引き継がれる予定となっている。当面は現在のサイトの形を維持し、朝日側からの記者の派遣などは行わない方針。(朝日新聞が「CNET Japan」事業継承で会見、asahi.comとのシナジー効果狙うマイコミジャーナル
 わざわざ朝日新聞がCNET Japanに目をつけたのはなぜか。それは苦手なITニュースを自社の記事にフィードバックしたいと思ったのか。
朝日新聞社和気氏は今回の合意について、「今回のCBS Interactiveとのアライアンスを契機に『CNET Japan』『ZDNet Japan』をさらに発展させていきたい。当社の運営する『asahi.com』や『どらく』とのシナジー効果を生み出すことも期待される」とあいさつした。(朝日新聞が「CNET Japan」事業継承で会見、asahi.comとのシナジー効果狙うマイコミジャーナル
とか、
その上で、「ビジネスモデルもこれまで通り広告中心でやっていくが、シーネットネットワークスではWeb営業を独自に行ってきており、広告営業面での当社とのシナジー効果も狙っている。さらにシーネットではIT関連などのイベントも行っており、そうした面でのパートナーシップにも期待できる」と述べた。(朝日新聞が「CNET Japan」事業継承で会見、asahi.comとのシナジー効果狙うマイコミジャーナル
のように、頭打ちの購読料収入からインターネット収入への転換を狙ったのか。

現在の新聞とブログ

 Webニュース側では、ブログサービスをしているところは多い。ところが、新聞メディアでは、ブランドのせいか、あまり成功しているとはいいがたい。読売新聞には、ブログではないが「発言小町」という質問サイトがある。また、記者が書くPopStyleブログというのがあった。また、毎日新聞にも「まいまいクラブ」というのがある。これもまた記者のブログだ。しかも、コメントを書くにも会員登録が必要である。

 さて、朝日新聞はどうか。朝日新聞には、アスパラクラブというのがある。アスパラクラブとはというページに、

入会しないとサービスは受けられませんか?
一部のサービスは入会していなくてもご利用いただけますが、プレゼントへの応募、コメントの投稿、アーカイブの閲読などのサービスは、会員の方だけご利用いただけます。ご利用には会員ページへのログインが必要です。(アスパラクラブとは)
 さらに、アスパラクラブブログ一覧を見てみる。やはり、記者や有名人のコラムが多い。そこでひとつをクリックしてみると、
各コミュニティーのコンテンツをご覧になるには、コミュニティーへの参加登録が必要です
そこで参加をクリックして、コンテンツを読み、コメントを書こうとすると、
この記事のコメント投稿は、新聞購読者会員に限らせていただきます
 そう言えば、毎日新聞の「まいまいクラブ」にも、
まいまいクラブ」に投稿していただくには、会員登録(無料)をしていただくことが必要です。サイトによってはご購読いただいている方のみ、書き込みができるようになっているものもあります。どうか末永く毎日新聞をご購読いただき、皆さまの新聞として毎日新聞、まいまいクラブともども育てていってくださいますようよろしくお願いいたします。(まいまいクラブとは)
とあったし、読売新聞の「発言小町」でも、
発言小町は、「ありのまま」の投稿を掲載することを原則としています。編集作業は極力避けたいと思っていますので、以下のようなルールを、ご理解された上で、投稿してください。投稿はリアルタイムで掲載されません
投稿は、大手小町編集部がすべて目を通し、必要がある場合には編集をしているため、すぐに掲載されません
。とくに投稿本数が多い場合には、掲載されるまで時間がかかることがあります。 (発言小町の投稿ルール)
と書いている。面白いのは、「発言小町の投稿ルール」とタイトルが付いているのに、そのページのタブをよく見ると、「編集方針:発言小町大手小町YOMIURI ONLINE(読売新聞)」となっていることだ。つまり、投稿者向けではなく、編集者向けになっている。

 これらのことをまとめると、新聞社の姿勢がよく現れている。

1.Webサイトといえど、あくまでも購読者へのサービスである。

2.ブログは、記者や編集者の記事の延長であり、ただ見の読者には紙面を提供しない。

3.投稿記事やコメントも、結局紙面に載る関係上、やはり記事であるから当然編集する。


これから始まる新聞とブログの関係

 だが、現在、新聞は曲がり角に来ている。自分のところの購読者限定では、収入を広げることは出来ない。むしろ、紙面を離れた発想によってのみ、読者を増やすことが出来る。今回、朝日新聞がCNET Japanとのシナジー効果を期待するのなら、アスパラクラブを広く読者に開放することを期待する。さらに、僕は次の言葉をささげよう。
 新聞協会発行の雑誌『PRESSTIME』は、こんな社説を掲げている。 新聞社の電子版の広告は爆発的に伸びる。だから電子新聞に掲載する情報は出し惜しみするな。サイトに壁を作るな。そんなことをすると、検索エンジン経由でせっかくアクセスしてきた読者に悪い印象を与え、広告集めにマイナスの材料を自ら作ることになる。タダで閲読しているからといって「電子版」の読者を馬鹿にしてはいけない。「紙」「電子」にかかわらず読者は本来利口で熱心で協力的なのだ。コミュニティーのニュースや写真を提供してもらい、電子新聞の内容をもっとコミュニティー密着型にして新規の閲読者を獲得せよ。(「サイバージャーナリズム論」第一章 新聞ビジネス崩壊の予兆/歌川令三著)(コンテンツはコントロールできるか、そしてコンテンツは消耗するか)
 また、「ブログ・ジャーナリズムは誕生するか」で取り上げた湯川鶴章氏の「ネットは新聞を殺すのかblog」から、
米国のウェブログブームの仕掛け人、デーブ・ワイナー氏を取材したことがある。そのときに将来の新聞社の形はどうなると思うのかを聞いてみた。

そのときのインタビュー記事からの抜粋

 わたしは新聞社を経営しているわけじゃないので分からないが、もしわたしが経営者なら次のようにします。まず記者全員にウェブログを開設するように命じます。それから読者にもウェブログを開設するように勧めます。エディターに記者と読者のウェブログの両方を読ませ、エディターのウェブログ上で面白いニュースへリンクを張らせるようにします。記者の情報、読者の情報は問いません。重要な方、面白い方の情報にリンクを張るわけです。読者と同じ程度の情報量や分析力さえ持たない記者のウェブログにはリンクが張られなくなる。その記者は廃業です。読者が集めてこれない情報、オリジナルな視点、解説を提供できる記者だけが生き残れるのです。これが読者を巻き込んだ新しいタイプのジャーナリズムの形です。

 エディターの役割は、図書館の司書や、タレントスカウトのようなものになるわけです。(共同ブログ騒動にみる参加型ジャーナリズムの形)

ここに新たなニュース・メディアのヒントがある。「非常識な時代には非常識な発想が必要だ」のタイトルと同じく、新聞の常識はインターネットの世界では非常識になりつつある


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