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素人だから言えることもある

勝ち馬に成りたがる中国(ホームサーバの戦い・第33章)

CBHDはHD DVDの落とし子

 昨日(7/9)のWBS(ワールド・ビジネス・サテライト)で、中国の次世代DVD規格のCBHDの話題が出た。このCBHD、実は東芝のHD DVDの規格から作られた中国独自の規格だった。日経ビジネス・オンラインの「時流超流」にこうあった。
 HD-DVDの撤退によりソニーなどが主導するブルーレイ ディスク(BD)勝利で決着したはずの新世代DVD規格争いに、異変が起きている。

 舞台は13億の人口を抱える中国市場。中国政府機関は新世代DVDの独自規格「CBHD(チャイナ・ブルー・ハイ・ディフィニション)」を打ち出し、その対応プレーヤーを、中国のTCL集団と江蘇新科電子集団が4月末に相次ぎ発売した。米映画大手ワーナー・ブラザーズもCBHD支持の姿勢を打ち出しており、年内に「ハリー・ポッター」など100タイトル以上の人気映画ソフトを揃える。(新世代DVD規格、再対立反ソニー陣営が、中国で敗者復活)

 相変わらず、東芝と縁が深いワーナーがここにも噛んでいる。このCBHDの製造をするのは、
 「HD-DVDは死んでいない」。東芝と一緒にHD-DVDを支えてきたディスク製造大手、メモリーテックの川崎代治社長は気炎を上げる。(新世代DVD規格、再対立反ソニー陣営が、中国で敗者復活)
 何しろ、中国といえば13億の人口を抱える巨大マーケットである。ここを無視してブルー・レイの勝利を祝うわけにはいかない。

中国はなぜ勝ち馬に乗ることを嫌ったか

 これは、ある意味、東芝と中国の発想が似ている点でもある。ともかく、僕が言う「勝ち馬に乗る」と「勝ち馬に成る」の違いを再びおさらいしておこう。ホームサーバの戦い・中間報告(ホームサーバの戦い・第30章)でまとめたのでそれを引用する。
 「勝ち馬に乗る」とは、今回のブルーレイvs HD DVDの場合、ブルーレイを支持する映画会社やシャープや日立など二番手以降の家電メーカーである。「勝ち馬に成る」とは、松下・ソニーのことである。
 東芝は、ブルーレイを選べば「勝ち馬に乗る」ことはできたが、「勝ち馬に成る」ことはできなかった。東芝は、HD DVDによって「勝ち馬に成る」ことを目指したのではないか。(東芝が勝ち馬に成れなかった理由(ホームサーバの戦い・第6章) )

 勝ち馬に成れば、そのディスクの莫大なロイヤリティが入る。一方、勝ち馬に乗るには、そのロイヤリティを支払わなければならない。わずかな可能性を目指して勝ち馬を目指していたのではないだろうか。(ホームサーバの戦い・中間報告(ホームサーバの戦い・第30章

このロイヤリティの問題、中国のように物価の安い国にとってかなりの影響を発揮する。DVDの苦い経験が独自規格に走らせたという。日経BPネットの「中国版高精細光ディスク「CBHD」が始動」によれば、
DVDに関して、中国メーカーは非常に手痛い経験をした。DVDの中核技術の特許を保有していないため、ディスクプレーヤーメーカーはソニー、フィリップスなどからなるパテントプールの「3C連盟」と、日立製作所松下電器産業などからなる「6C連盟」に巨額の特許使用料を支払わなければならず、苦労して生産したにもかかわらず、多くのメーカーが倒産に追い込まれた


(中略)


DVDがわれわれに残した最大の遺産は、知的財産権は、自分たちで持たねばならないという教えだ」と清華大学国家光ディスクセンターの潘龍法主任は言う。「わが国の光ディスク産業が今後も外国のブルーレイ技術に依存していたら、いつまでも外国の制約を受け続け、DVDに特許使用料を支払ったのと同じ轍(てつ)を踏むことになる」と警鐘を鳴らしている。(中国版高精細光ディスク「CBHD」が始動)

しかも、このCBHD、日本のHD DVDの技術者が多数流入しているという。
中国独自の次世代DVD規格であるCBHD(旧名称CH-DVD)対応製品が近々発売されるようですが、中国大手電機メーカー新科電子(Shinco)が9月に発売を予定しているCBHDプレーヤーの正体は東芝の第3世代HD DVDプレーヤーでした。

山田とリーバファーブが中国企業と手を組んで、東芝からHD DVD関連の部材や金型など一式を安く買いたたき、それを使って作っているようです。

部材だけならいいんですけど東芝で光ディスク関連の仕事をしていた技術者まで大量に中国側に渡っているようで、余った部品だけでなく光ディスク関連の技術までかなり流出している模様。(ポケットニュース中国独自次世代DVD規格「CBHD」用プレーヤーの正体)

 家電産業の製造の大半が中国に依存している現在、中国の13億の国民は同時に巨大マーケットである。ところが、ブルーレイ製品は中国国民にはあまりにも高くて手を出せない(ソフト1枚あたり、ブルーレイ2800円に対し、CBHDは7〜800円)。それなら、中国独自の規格を認めたら、今度はその安さを武器に日本の家電産業は荒らされるだろう。しかし、まるでCBHDは、HD DVDの落ち武者が中国で狼煙を上げたようにも思えてくる。次世代DVD戦争、果たして、残り火がどこまで燃え盛るか。
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