ブログがなぜ続かないのか
最近、素人とプロの違いについて書いているが、ブログの書き方についてもその発想の違いがあることに気がついた。CNET Japanにも100人以上の読者ブロガーがいるが、結構長続きしないで悩んでいるのではないだろうか。ブログがなぜ続かないのか。それは簡単である。面白くないからだ。その問題点はどこにあるか。その要点を書き溜めてみる
共感を当てにするな
ここ、CNET Japanの読者ブロガーのほとんどは、IT業界で飯を食っているもの、つまりプロが多い。僕は、「素人だから言えることもある」とプロフィールで名乗っているとおり、まったくの業界素人である。パソコンは持っているものの、文科系であり、プログラムなど書いたことはない。したがって、他の読者ブロガーと違って、仕事上の共感からの話で書くことが出来ない。だが、読者ブロガーの多くが、その共感から初めている人も多いのではないだろうか。 「映画の感想」や「書評」などを書いている人にも言えることだが、彼らは、なぜ同じ映画を見た人や同じ本を読んだ人向けに文章を書くのだろうか。圧倒的に、それ以外の人が多いのに。むしろ、その映画の肝の部分(これは、ストーリーを明らかにするということではない。監督が言いたかったこと、作家が書きたかったことを自分なりにまとめることだ)を書くことで、読者にその映画を見てみたい、その本を読んでみたいと思わせることである。また、肝の部分を書かなければ、忘れてしまう。よく、書評を読んで、美辞麗句の羅列で、結局何の本かわからないものがある。おそらく、引用を避けて自分の言葉で書こうとしたのだろうが、それではおそらくその評論家の文章は、何の本を読んでも同じ言葉の羅列に違いないと思わせるだけだ。
同じように、プロの共感から初めてしまえば、結局、自分の小さな世界に終始することになる。同じ業界であっても、職種が違えば、それなりに驚く部分があるはずである。ところが、それに言及せず、むしろ共感をとっかかりにしているので、どの読者ブロガーのエントリーも似たようなものになっているのではないか。週刊誌で連載の小説家のエッセーが面白いのは、文章がうまいのも当然だが、作家の世界が特殊な面もある。いわば、読者に対して、この特殊な世界のおかしさを引き出すことで面白くなるのだ。IT業界とて、一般の世界から見れば特殊な世界である。それぞれのブロガーの感性で、この世界を面白がり、一般読者に向けて橋渡しになることを考えてみよう。
1%のプロと99%の素人
僕は「なぜ過去に学ばないのか」でこう書いている。いつも考えていることは「1%のプロ、99%の素人」ということです。どういうことかというと、専門家というのは、人生経験のうちわずか1%の世界の中からものを見ているんじゃないか、自分の精通していることなら、誰にも負けない自信があるということですね。でも、それ以外の99%はまったくの素人。僕は、素人ですから、この1%の世界にはとても太刀打ちできない。そこでこの「99%の素人」の部分を使えば、どんなテーマでもこなせるんじゃないか。「1%のプロ」ではたちまちいきづまってしまうけれど、「99%の素人」の部分を使えば、いくらでも発展できる。大学の教授たちの発表会が、いつもつまらないのは、自分たちの専門分野に凝り固まって、素人の観客に対してのメッセージが届かないのではないだろうか。多くのブログのエントリーが、なんだか大学の研究発表のように思えてくるのである。