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素人だから言えることもある

働くことしか才能がない人々

「女性は産む機械」に並ぶ名言

 麻生首相は、7月25日、こんなことを言ったという。
麻生首相:高齢者「働くことしか才能がない」…会合で発言
 麻生太郎首相は25日、横浜市内で開催された日本青年会議所(JC)主催の会合であいさつし、「元気な高齢者をいかに使うか。この人たちは皆さんと違って、働くことしか才能がないと思ってください。働くことに、絶対の能力がある。80歳過ぎて遊びを覚えても遅い。働ける才能をもっと使い、その人たちが働けば、その人たちは納税者になる」と述べた。
 高齢者にも働いてもらい活力ある長寿社会を作ろうとの持論を述べたとみられるが、誤解を受ける表現に批判も出そうだ。(毎日新聞2009/7/25)
 これを名言とまで言うのは、安倍政権の時の柳沢伯夫厚生労働相の発言「女性は産む機械」と対になっていると思われるからだ。そして、これは日本人の生き方、考え方までつながっていると思うからである。つまり、この「働くことしか才能がない」というのは、主に男性高齢者を意識しているのだろう。したがって、「女性は産む機械」の対と考えると、「男性は働く機械」になる。そして「その人たちは納税者」とは、「働く機械は税金を払う機械」と読み替えることが出来る。そして、「女性はその『税金を払う機械』を産む機械」ということになる。政治家や官僚にとって、国民とはたかだか税金製造機に過ぎないとも読めるのである。

昔から、高額納税者に手厚い福祉

 確かに侮蔑的かもしれないが、そこで怒って思考停止してしまっていては、機械となんら変わらない。その本音を見通すことが必要である。僕は、麻生首相のこの言葉を聞いて、なんといいことを言ってくれたと思った。

 「働かざるもの食うべからず」とはいうが、昔から「生かさぬように、殺さぬように」日本人は働いてきた。現代でもそうだ。いや、高度経済成長期に比べ、かなり厳しくなってきたのが実情である。ただ、仕事にありつけるのも大変で、正社員は、過労死寸前まで働いて、派遣社員は明日の仕事がどうなるかわからない。

 若いころは、仕事に夢を描いていて、アフター5には趣味に精を出す。それが人生だと思っていたが、仕事に入ってしまえば、そんな暇はない。まさに「働くことしか才能がない」人に成り果てる。かつては、大手企業になればなるほど、うらやましいほどの手厚い待遇の保養施設があったが、今では、それすらも売り払い、青息吐息の状態。明日の自分のイメージすらわかないほどだ。一方で、年老いた両親の介護や子供の教育費に少ない賃金をむしりとられる。

働くだけが人生か

 働くとは「ハタがラク」になるから働くという。だが、ちっとも「ハタがラク」にならない。むしろ、不安と不満が渦巻いている。もう一度、「人生とは何か」を考えることを勧めたい。そして、「忙しいことはそんなによいことか」から次の言葉を贈りたい。
南太平洋にこんな小話があります。先進国の人があくせく働いているのを見て、南太平洋の住民が聞きます。「なんのためにそんなにあくせく働くのか」と。すると先進国の人間は「こうしてカネをかせぐのだ」と答えます。南太平洋の住民は「そんなにカネを稼いでどうするのだ」と聞きます。先進国の人間は「こうやってカネを稼いだら、そのカネで毎日海に来てゆっくり過ごしてやるんだ」と答えます。南太平洋の住民はいぶかしがりながらさらに聞きます。「我々はカネを稼いでいないが、毎日海に来てゆっくり過ごしているぞ。そのままこの生活に加わればいいじゃないか」とオチがつきます。(「世界から貧しさをなくす30の方法」田中優ほか編

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