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ひょっとしてハイブリッド車の時代はあっという間?(未来の読み間違い・2)


CO2 25%削減+高速道路無料化=電気自動車のみ走行?


 民主党マニフェストのCO2 25%削減と高速道路無料化は矛盾している。高速道路で自動車をバンバン走らせたら、CO2の削減に逆行しているからだ。それでも可能にするには、電気自動車のみ走行可にするしかない。
 しかし、電気自動車はやっと日産で発表されたばかりである。ましてや、バンバン走っている宅配便やトラックはガソリン車のみである。すると、民主党はCO2税をとるのではないか。そうなると、宅配業者は、CO2税を上乗せした送料を利用者から徴収しなければならなくなる。電気自動車は割高なので、しばらくは様子見をしているだろうが、電気自動車が比較的買える価格になればどんどん切り替わることになるだろう。トヨタのプリウスやホンダのインサイトは意外に短い運命ということになるかもしれない。


 というのは、こんな記事を読んだからだ。



増産したくてもできない、好調ハイブリッド車の間の悪さ

プリウスもインサイトも、Ni(ニッケル)水素2次電池を使う。次世代は間違いなくLi(リチウム)イオン2次電池になる。
(中略)
 同じことはすぐにもう1回起こる。炭化ケイ素(SiC)である。モータを回すインバータに使う半導体として、今はSi(ケイ素)を使っている。これが近い将来、SiCになる可能性が高い。何しろ損失がSiの半分しかない。これもタイミングを誤ると、切り替えに失敗する。(増産したくてもできない、好調ハイブリッド車の間の悪さ)


 電池と半導体の話である。増産となれば、そのために大きな工場を建てなければならない。それなら次世代の電池や半導体を作ればよいと思うが、まだ実用化されておらず、いつになれば実用化されるかがわからない。



 SiCの開発が間に合わなければ、とりあえずSiを使うしかない。自動車用インバータは家電、情報家電に比べて巨大である。モータの出力はハイブリッド車で10〜165kWある。1台に使う量がエアコンの10倍、100倍という数字になる。普及が本格化すれば、大量の半導体が必要になる。
 だからと言って自動車のためだけに、Siパワー半導体の生産設備に大きな投資をするメーカーはないだろう。すぐにSiCが追ってきて、余剰設備になることが分かっているからだ。結果として「SiCは間に合わない、Siは品不足で高値」という、自動車メーカーにとって最悪の事態になる可能性がある。ハイブリッド車、電気自動車の時代までには、まだいくつも越えなくてはならない山がある。(増産したくてもできない、好調ハイブリッド車の間の悪さ)


 僕は、このような関係が、ハイブリッド車と電気自動車の関係にも現れていると思う。おそらく、日産も、ホンダやトヨタのようにハイブリッド車の開発をしていたのだと思う。しかし、いずれもやがては電気自動車の時代が来る。後出しでハイブリッド車を出していては、注目されない。そこで、電気自動車の発表をしたのではないか。


未来を読み間違っているのは日産かトヨタか


 ぼくは、「未来の読み間違い」でソニーの出井前会長の文章を引用した。ソニーが薄型ブラウン管WEGAがヒットしたころ、次世代の薄型テレビの開発を間違えた時の話である。



 「時間軸の誤算」だと思います。当然起こるはずだと見込んでいたことがなかなか起こらない。まだ来ないだろう、と予測していたことがあっという間に来てしまう。そういう時間軸の判断がちょっと遅れただけで、結果としては1年、2年の遅れがすぐに生じてしまいます
 たとえばテレビ。97年発売のフラットトリニトロンWEGA(ベガ)」が大ヒットして、98〜(20)00年の間、ソニーはテレビ市場で圧勝しました。それまでは12%だったシェアが倍以上の25%に達し、ついに松下を抜いたのです。
 これはソニーにとっては画期的なことでしたが、私は手放しでは喜べませんでした。というのも「これで次の競争に遅れるのではないか」と危惧したからです。
 テレビの画面をめぐってはすでに、液晶かプラズマか、という開発競争が始まっていました。シャープが液晶、松下がプラズマ、ソニーはプラズマトロンと、それぞれ異なった技術の薄型テレビを開発していたのです。それが、従来方式のトリニトロンでフラット化に成功したために、次への切り替えがやりにくくなり、結果として他社に遅れをとるのではないか……私はそう危ぶんだわけです。
 実際、ソニーが液晶テレビを市場に投入するのは、他社より遅くなってしまいました。液晶か、プラズマか、プラズマトロンか、3つの選択をどう評価するのか決定が遅れたせいです。(出井伸之著「迷いと決断」新潮新書)


 今回は、トヨタとホンダがハイブリッド車の発売で売り上げを上げた。しかし、次の電気自動車では、日産が大きく水を開けるかもしれない。それも民主党の高速道路無料化政策のために。それとも、民主党はまったく別の政策でCO2 25%削減を実施するつもりなのか。


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