夢幻∞大のドリーミングメディア

素人だから言えることもある

アイデアの宝庫

 手塚治虫が優れているのは、ジャンルにとらわれなかったことである。過去の漫画家たちが、自分たちのジャンルにこだわり、専門化していくのに対し、いろいろなジャンルを吸収していった。「バーゲンセールするほどアイデアがある」といった本人の言葉は、彼の発想の豊かさを物語っている。もっとも、スポ根マンガは最後まで理解できなかったが。そして、そのジャンルの豊富さが、マンガだけにとらわれず、後のロボット研究や外科医の卵、テレビアニメなど、いろんな分野に影響していった。


 アイデアというのは、ひとつのジャンルにこだわるより、いろんなジャンルを行き来することで生まれるものではないか。そういえば、「はてしない物語」でも言っている。



絶対にファンタージェンに行けない人間もいる。いるけれども、そのまま向こうに行きっきりになってしまう人間もいる。それからファンタージェンに行って、またもどってくる者もいくらかいるんだな。きみのようにね。そして、そういう人たちが、両方の世界を健やかにするんだ」(ミヒャエル・エンデ「はてしない物語」岩波書店)(夢物語(異文化文献録)


 「はてしない物語」とは原題の「Never Ending Story」の直訳だが、「終わりがない物語」であり、「限界がない物語」でもある。つまり、いろんなジャンルを行き来する人間には、限界がないことを意味しているのだ。


ブログパーツ