夢幻∞大のドリーミングメディア

素人だから言えることもある

「助けて」と言えない理由

 本日、NHKのクローズアップ現代「“助けて”と言えない〜いま30代に何が〜」を見た。番組解説に

今年4月、福岡県北九州市の住宅で39歳男性の遺体が発見された。男性は死の数日前から何も食べず、孤独死していたとみられる。しかし、男性は、困窮する自分の生活について、誰にも相談していなかった。いま、こうした命に危険を及ぼしかねない状況に陥っても、助けを求めない30代が増えている。彼らは「家族に迷惑をかけられない」「自分で仕事を見つけ、何とかする」と誰にも相談できずにいる。家族、友人、地域との繋がりを断ち切り、社会から孤立する30代。番組では、厳しい雇用情勢で先行きが見えないなか、静かに広がる「助けて」と言えない30代の実像に迫る。
 ホームレスに30代が増えているという。彼らは、仕事で自立を目指しているのだが、昨今の就職難の中、なかなか就職できず、ギリギリの生活をしている。それでも、誰にも「助けて」と言えないのは、仕事につけない自分は、ダメな自分だと「自己責任」で自分を責めているからである。これは、おそらく、子供の頃から、「男は仕事第一」とか「仕事につけない人間はクズ」とか父親から言われてきたのではないだろうか。また、この年代の父親も、自分の子とのコミュニケーションが下手で、結局「家族との会話」よりも仕事に紛らわしていることが想像できる。いわば、父と子が分断されているために、他人に頼ることが恥だという孤立化の過程を作っているのである。前項「亀井さん、文句を言う相手、間違っていませんか?」で、家族の時間の大切さを強調したのも、このような家族内の孤立を止めなければ、「子供手当て」ぐらいでは現状は打開できないと考えたからである。

 ところで、前項「亀井さん、文句を言う相手、間違っていませんか?」に対し、こんな反響があった。

それで生活が成り立つなら誰も苦労しないよ。低賃金長時間労働で夫婦共働きじゃないと生活できない家庭にそれを言うのは無配慮、無責任が過ぎる。(noha’s mark)
 もちろん、現実問題、できない夫婦もあるだろう。だが、その夫婦の子はどうなるのか。少なくとも、人間的なつながりの温かさを知らない子は、結局孤立の連鎖から抜けられない。つまり、緊急時に「助けてと言えない」子供を新たに作ってしまうかもしれないのだ。親子が互いに信頼できる関係になれば、孤立に閉じこもるより、他人に救いを求める勇気もできる。せめて、家族内だけでも、「家族の時間」を築いていく方向で考えてもらいたいのである。


ブログパーツ