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素人だから言えることもある

数年中に、ゲーム機メーカーの収入は、ゲームソフトのロイヤリティー収入と、ハード機収入と、映像配信の3本柱になる(ホームサーバの戦い・第39章)

ソフトが頭打ちになるとハードを変えたくなる

 11月21日より任天堂は、DSi LLという4.2インチの画面を2つ持つDSiを売り出すという。当然ながら、携帯サイズではない。今までのDSソフトを使う以上、画質が向上するわけではない。これは、
もっと大きな画面で」「みんなと一緒に」DSを楽しみたいというお客様の声にお応えし、(ニュースリリース
という理由があったからだという。このお客様とは誰か。それは、内蔵されているソフトを見ればわかる。
 更に、ニンテンドーDSi本体内蔵メモリにダウンロード購入していただけるニンテンドーDSiウェアの中から、「ちょっと脳を鍛える大人のDSiトレーニング文系編」、「ちょっと脳を鍛える大人のDSiトレーニング理系編」、「明鏡国語 楽引辞典」の3つのソフトを本体にあらかじめ内蔵しています(ニュースリリース
 明らかに高齢者向けである。僕は、老人ホーム認知症予防用とにらんでいる。ともかく、少子高齢化の時代、子ども相手ではどうしても売り上げが限定される。だから、こういう発想は理解できる。だけど、僕は、ソフトで売り上げを上げるよりも、ハードを変えることで支持層を広げようという姿勢はいささか気になる。

 僕は、「地デジが生まれた本当の理由(読者ブログ版)」でこんなことを書いている。

 メディアが変わるときはいつも供給側の都合である。決して需要側の要望を受けたものではない。たとえば、レコードがCDに変わったときも、レコードの売れ行きが落ち、ある程度いきわたってしまったためであり、これ以上需要を掘り起こせなかったからである。レコードを手に入れたものは、また同じレコードを買おうとは思わない。CDになれば、また同じ曲であっても買ってくれる。映画においても同様である。DVDが一通りいきわたると、今度は安売り合戦が始まっている。数千円で売っていたものが今では千円以下で手に入れることもできる。したがって、ブルーレイディスクやHD DVDで同じ映画をもう一度高く売ろうと考えるのである。
 もちろん、DSiばかりではない。PS3やWiiやXbox360の値下げもそうだろう。一種のてこ入れが入るときは、ソフトの伸びが頭打ちのときが多い。PS3は、そのてこ入れが成功した数少ない例だ。ソフトが頭打ちになれば、もう一つ変わることがある。アメリカではそのことが顕著に起こっている。それは、ゲーム機の収益スタイルが変わることである。ゲーム機メーカーは、ソフトで収益が取れなければ、着実にテレビとゲーム機をつなぐ方法を考えざるを得ないからだ。

ゲームがパッケージで売れる時代はまもなく終わる?

 こんな言葉が聞こえてきた。
 EA SPORTSの最高責任者であるPeter Moore氏は「ディスクによる現在の流通はあと10年保たないのではないか」と予想します。

 「物理的なディスクを中心とするビジネスモデルは焼けるような状態だ」「我々が今いる所を見て欲しい。この焼けるような場所にこのまま留まって確実な死に直面するか、水中に飛び込んで死ぬか。あなた方の多くは水中へ飛び込み、デジタル配信のハイブリッドモデルを選ぶだろう」と、現在の流通モデルに対する危機感を表明。

 氏はディスクを売るという現在の形式が10年保たないだろうと考えているようです。「10年後、我々が子供達に“昔は輝くディスクをお店に買いに行ったんだ。ディスクをトレーにセットするとくるくると回ったんだ”と語ると、子供達は“なにそれ?”というだろう。賭けてもいい」「ゲーム産業としては物理的なディスクにさよならをいうには10年くらいはかかるだろう。重要な問題は、次世代ゲーム機がディスクドライブを持っているかどうかだ

 流通コストを低く抑えることができ、在庫問題に悩まされないデジタル配信(ダウンロード販売)はEA SPORTSのような大手パブリッシャーにとっては夢のような話。同時に「ゲームという実体」(ディスクやカートリッジ)を買いたい・贈りたい・贈られたいという消費者感情もあるのは確かで、デジタル配信と現行の販売形態のバランスをどう取るかは重要な問題といえるでしょう。
(「物理的にゲームを売るビジネスモデルは死に直面している」−EA SPORTSのドンが語る)

 そんな馬鹿なと思う人もいるかもしれない。だが、アメリカのように映像配信が日常化すれば、十分考えられることだ。一方で、10月27日にアメリカでこんなニュースが流れる。
 DVD宅配レンタル大手の米ネットフリックスは26日、ソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション3(PS3)」向けに、来月から映画などの動画のインターネット配信を始めると発表した。同社はテレビや米マイクロソフトのゲーム機「Xbox360」向けの配信も手掛けている。音楽と同様に、映画でも流通・レンタルのネット化が加速しそうだ。

 ネットフリックスが、ソニーのゲーム部門の米国子会社であるソニー・コンピュータエンタテインメント・アメリカ(SCEA)と提携した。PS3を介して、ネットと自宅のテレビを接続し、映画やテレビドラマなど視聴できるようにする。来月から配信を始め、会員は追加料金無しで「ターミネーター」や「フォレスト・ガンプ」などの人気映画を中心に1万7000作品以上を視聴できるようにする

 ネットフリックスは全米で900万台普及したPS3を配信先に取りこむことで「会員数を増やし、収益を拡大したい」(リード・ヘイスティングス最高経営責任者=CEO)としている。 (PS3に映画配信 米ネットフリックス、ソニーと提携 日経新聞10月27日)

 驚くことに、Wiiについてもこんなニュースが流れた。
 任天堂が国内でWii向け有料動画配信サービス「シアターの間」を年内開始すると伝えられているが、米国でも同様のサービスが始まるとうわさされている。米国ではオンラインレンタルビデオサービスのNetflixと提携して、Wiiに映画などをストリーミング配信する計画だ。この計画は現在、テスト段階まで来ている。当初は年内開始の予定だったが、任天堂は、2010年初めにHD(高精細)対応の新型WiiをリリースするまでNetflixサービスを延期することも考えているという
 Netflixは既にXbox 360とPS3に動画を有料配信するサービスを開始している。(米国でもWiiに有料動画配信か)
 このHD(高精細)対応の新型Wiiだが、それについてこんなニュースもある。
 海外サイトより、Wii 2のスペックがリークされたという驚きの情報が入ってきています。ここで「Wii 2」と呼ばれている新型Wiiは、Blu-rayドライブを搭載し、映画と同様にゲームでも1080pをサポート。2010年の第3四半期にも発売予定で、旧型のWiiを下取りしてくれるサービスも始まるとのことですが……。
 海外サイトLogic-sunriseからMaxconsoleへ送られたこの情報は、実際は任天堂フランスのマーケティング部からリークしたものと言われています。
 もう一度Wii 2の概要を振り返ってみます。

*Wii 2はBlu-rayドライブを搭載、二義的には海賊行為を防ぐ目的
*最大1080pをサポート、Blu-rayで映画とゲームの両方に対応
*2010年の第3四半期に世界同時発売
*Wiiを下取りに出すと安価でWii 2を買えるサービスを計画
*任天堂は発売の一ヶ月前に大々的に発表する

 任天堂は新型を発表しておらず、「Wii 2」という名称はあくまで便宜的に使われているものです。今回の新型Wiiについて、あるひとつの海外サイトから出た情報ということで、当然ですが噂として受け止めておく必要があります。(噂:「Wii 2」のスペックがリーク、Blu-rayドライブ搭載で2010年に世界同時発売…?)

 後半のWiiの記事は、あくまでも噂であるが、アメリカでは、PS3もXbox360も映像配信がテレビとゲーム機をつなぐ主要な要素と捉えていることは十分予想できよう。Wiiにしても、世界で一番売れているゲーム機であるので、これをしっかりとテレビと結び付けたいと考えれば、どうしてもHD化は避けられまい。

 一方、このような映像配信に馴れたユーザーのかなりの多くが、ゲームをわざわざゲームショップで買うより、デジタル配信で済まそうと考えるのではないだろうか。当然、パッケージよりかなり安価であるという条件が必要としても。EA SPORTSの最高責任者であるPeter Moore氏の嘆きは、決して絵空事ではないのである。そして、日本もまたこの波は、避けられないだろう。

 断言しよう。数年中に、ゲーム機メーカーの収入は、(ディスクドライブがあろうとなかろうと)ゲームソフトのロイヤリティー収入と、ハード機収入と、映像配信の3本柱になる、と。

 思えば、最近、3D映画が増えている理由は、映画館の入場者が激減しているという映画館経営者の悩みがあり、入場者を増やすための企画であった。ところが、今度は、ゲームでも3D対応になるという(対応したテレビが必要)。これでは元の木阿弥である。<

 この調子で行けば、映画は映画館に行かず、自宅のテレビで見るものという習慣が根付いてしまうかもしれない。同じように、CDショップ、レンタルショップ、ゲームショップに行ったことのない子どもも増えていくだろう。新たな巣ごもり時代の到来である。
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