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素人だから言えることもある

スパコンよりもダイコン 夢に金をかける時代は終わったのか


夢よりも現実


 こんな記事があった。



ノーベル賞野依氏 「歴史の法廷に立つ覚悟あるのか」 事業仕分けのスパコン予算カットに (産経新聞2009.11.25)

 ノーベル化学賞受賞者で、理化学研究所の野依(のより)良治理事長は25日午前、自民党の文部科学部会に出席し、政府の行政刷新会議の事業仕分けで、次世代スーパーコンピューターの開発予算が事実上凍結されたことについて「不用意に事業の廃止、凍結を主張するかたには将来、歴史という法廷に立つ覚悟ができているのか問いたい」と述べ、厳しく批判した。
 野依氏は「科学技術振興や教育はコストではなく投資。コストと投資を一緒くたに仕分けするのはあまりに見識を欠く」と強調。「仕分け人」が「(スパコンは)世界一でなくともいい」と発言したことに関しても「中国やアメリカから買えばいいというのは不見識だ。科学技術の頭脳にあたる部分を外国から買えば、その国への隷属を意味することになる」と糾弾した。


 この記事は、現在行われている民主党の事業仕分けに対する予算削減の懸念を伝えている。僕は、今回の事業仕分けで、スパコン」のような、未来の「夢」よりも、今日のおかずの「ダイコン」を充実する、つまり「現実」を重視すべきだといわれたようが気がした。もちろん、「ダイコン」と「スパコン」を一律に並べるのはナンセンスである。よくある、スパコン一台あれば、何人の難民の食糧が助かる」という発想で考えられては、個人ではできない夢を国の力で達成することなど永遠にできない


 それでは、子どもたちに「大きな夢を持つな」と言う事にならないだろうか。夢を持つことはかまわない。その夢の費用対効果を考えろとか、その夢は何年で元が取れるかという、はなはだ身も蓋もないことを、その夢を語る子どもに求めていくことは、結局、子どもを萎縮させるだけである。


「子ども手当」はコストか投資か


 それなら、「子ども手当」はコストと考えているか、投資と考えているか。民主党マニフェストを読んでみる。



11.年額31万2000円の「子ども手当」を創設する
【政策目的】
次代の社会を担う子ども1人ひとりの育ちを社会全体で応援する。
○子育ての経済的負担を軽減し、安心して出産し、子どもが育てられる社会をつくる。
【具体策】
○中学卒業までの子ども1人当たり年31万2000円(月額2万6000円)の「子ども手当」を創設する(平成22年度は半額)。
○相対的に高所得者に有利な所得控除から、中・低所得者に有利な手当などへ切り替える。
【所要額】
5.3兆円程度(民主党マニフェストテキスト版)


 この「子ども手当」の本質は、藤井財務相の言うとおり、



豊かな家庭とか貧しい家庭とかは関係がない。子供は社会からの預かりものという前提にたっている」(藤井財務相 「マニフェスト断固やる」産経新聞2009.9.18)(子どもは親のものか、社会のものか)


 所得制限にすれば、足りない部分を補うという点でコストと考えられる。コスト削減するためには、所得制限をすべきである。一方、社会からの預かり物と考えれば、将来子どもたちが労働者になり、所得税を支払うための投資と考えられる。そうなると、どの子どもがどれだけの所得を上げられるかわからないので、全員に「子ども手当」を払うべきである。


 ところが、民主党政権には「雇用創出」のビジョン(夢)がない。そのため、労働者の増大=失業者の増大となる。また、そのうち何人かは、子どもの頃抱いた夢を実現するだろう。しかし、やはり「スパコン一台あれば、何人の難民の食糧が助かる」で切られてしまえば、彼らの未来はない。


子どもの夢こそ日本の未来を決める


 さらに、問題なのは、民主党には日本をどのような国にしたいかという「夢」もない。僕は、「夢物語」でこう書いた。



 眠りに落ちて夢を見るのももちろんだが、小説を読んだり音楽を聴いたり、映画を見たり、旅に出たり、人に会ったりしてもいい。それをきっかけに、未知に触れ、今まで失っていた何かを手に入れ自分を大きく開くもの、それが「夢」なのである。「夢」は非現実的で、はかなく幻のようなものだと人は考える。だが、現実には「夢」の産物があふれかえっているのである。映画も音楽も演劇も小説も、すべての文化・文明は自らの「夢」を他人に伝えようとした者、言い換えれば、「夢」の世界から戻ってきた者によって作られているからだ。(夢物語)


 したがって、政府の役割は一つしかない。子どもたちの夢を見つけて、現実化することである。その「夢」に費用対効果があるかどうかは、政府自らが考えればよいことだ。政府がしてはいけないことは、子どもたちを萎縮させて「夢」を語れなくすることである。なぜなら、『夢』がもてない国には未来がないからだ。


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