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素人だから言えることもある

iPadによってアップルはデジタル時代の覇者になれるか(ホームサーバの戦い・第50章)

iPadは30年ロードマップの集約形

 iPadがどんなものかは、様々な記事を見ていていただくとして、僕が思ったのは、音楽や映画・テレビなどのビデオを取り扱うiTunes Store、アプリケーションを取り扱うApp Store、本を取り扱うiBookstoreの3つのStoreから電子コンテンツをダウンロードして楽しむ情報端末だということだ。それは、「アップルのホームサーバ計画(ホームサーバの戦い・第43章)」で引用した、
映像・画像・音楽・書籍・ゲームなどのあらゆるコンテンツがデジタル化され、同時に通信コストが急激に下がる中、その手のコンテンツを制作・流通・消費するシーンで使われるデバイスやツールは、従来のアナログなものとは全く異なるソフトウェア技術を駆使したデジタルなものになる。アップルはそこに必要なIP・ソフトウェア・デバイス・サービス・ソリューションを提供するデジタル時代の覇者となる」(アップルの30年ロードマップ)
をそのままなぞって出したことになろう。確かに、ガジェツトとしては大変魅力的だ。だが、アップル自身は、「シンプルイズベスト」とでも思っているのか、本当に活用しようとすると、「もっとこんな風になればいいのに」と思わせるのがアップルの製品の特徴でもある。

iPadはテレビ放送のない携帯テレビ?

 ギズモードにこんな記事が出ていた。
アップルiPadが嫌な8つのこと 大きすぎる
マルチタスクじゃない
カメラ非搭載
タッチキーボード
HDMI端子無し
iPadという名前
Adobe Flash非対応
アダプター
 ないものねだりではないが、バッテリー問題も含め、もう一つ受け入れない点がある。僕も考えて見た。iPadは持ち運びには大きすぎるし、映画を見るには小さすぎる。それだったら、自宅のテレビに映せればいいのだが「HDMI端子無し」ときた。

 そういえば、iPhoneが発売されてしばらくたって、ソフトバンクは、ワンセグアプリを作らせた。そもそもアメリカの地デジにはワンセグ機能はない。ケータイでテレビを見ようなんていうのは日本だけである。iPadは720Pという高画質である。ビデオだって、HD画質も見ることができる。もし、ワンセグアプリを作ったとしてもワンセグではあまりにももったいない。地デジチューナーが欲しい。PS3だって、torneがあるではないか。でも、あれは、モバイルじゃないけど。

 つまり、ビデオをダウンロードしたところで、9.7インチではあまりにももったいない。やっぱり、HDMIのあるApple TVしかないか。日本じゃ、不発だったけど。ところが、アメリカでも

 こと「テレビ向けの配信」について、アップルが厳しいのはこの点だろう。ゲーム機から始めるソニーとマイクロソフトは、圧倒的な「普及台数」をベースにユーザー数を増やせるが、アップルの場合には、テレビ向けソリューションである「Apple TV」が今ひとつ有効に働いていないのが厳しい。しかも、同社はDRMや配信システムを他社に公開しないため、「テレビへの組み込み」が難しい。(西田宗千佳の — RandomTracking — CESで見た、米国で活発化する“もう1つの潮流” 〜テレビ・BDプレーヤーで進む「映像配信対応」〜)

(3月より9980円でPS3がハイビジョンレコーダーになる理由(ホームサーバの戦い・第47章) )

ということで、アップルのテレビ嫌いがたたっている。確かに、アップルは「デジタル時代の覇者」をひた走りに走っている。もっと普及を目指すには、他の業種との連携も必要になってくる。

 電子書物にしても、日本の書籍業界がそんな友好的だとは思えない。「メディア不況がやってくる(ホームサーバの戦い・第46章)」で、考えたのは、これから著者の取り合いとなる世の中だ。おそらく、アマゾンとアップルでベストセラー作家の取り合いになるだろう。アマゾンが、普通日本の出版社では印税10パーセントのところ、70パーセントも払うという話もある。

 米アマゾンが2010年1月20日発表した印税の追加オプションは、価格破壊で一気にシェアを拡大しようとするものだった。印税を2倍にも引き上げる代わりに、書籍の販売価格を安く設定できるようにしたのだ。
 印税7割の条件として、販売価格を2.99〜9.99ドルに据え置き、紙の書籍の最安値より2割引以上にすること、ほかの電子出版サービスより安くできるようにすることなどが挙げられている。
 つまり、著作者を囲い込んで紙の書籍を駆逐し、電子書籍でも覇者になろうという意図が見え隠れしている。これまでの印税35%の枠組みは残して利益を確保しながら、バーゲンセール品で売り上げを伸ばそうという作戦らしい。(キンドル「印税70%」の衝撃 不況の出版界には大脅威)
 これが、現実化すれば、ますます紙の書籍は消え去る運命になるかもしれない。アップルも、それに対抗するだろうが、ともかくiPadに日本の電子書籍が登場するのは、かなり先かもしれない。

 日本でiPadは売れるだろうが、iPhoneほどではないだろう。おそらく、インターネットに触れたことのない高齢者がこう思うだろう。「雑誌かなんかと思ったけど、テレビも映るのね」と。でも、それはビデオの画面であり、テレビ放送は見れないのだ。
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