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素人だから言えることもある

流行語から明確になる「マス感性の消失」

2008年と2010年の流行語

2010年流行語大賞候補60語をあげてみると、
iPad (クロス)カップリング  無縁社会  3D  AKB48  K‐POP  〜なう  いい質問ですねえ!  名ばかり高齢者  イクメン  家庭内野党  ガラパゴスガラケー)  ゲゲゲの〜  白戸次郎もよろしく  生物多様性  ダダ漏れ  ととのいました  どや顔  なんで一段一段なんだろう  ネトゲ廃人  バイクコンシャスライフ  パウル君  はやぶさ  パワースポット  フェニックス  ブブゼラ  ホメオパシー  もしドラ  もってる  モテキ  リア充  ルーピー  一兵卒  岡ちゃん、ごめんね  壊し屋  検察審査会  見える化(可視化)  ・・ぜよ!  剛腕  国技を潰す気か  酷暑  最小不幸社会  山ガール  終活  女子会  食べるラー油  生きもの会議  待機老人  脱小沢/親小沢/反小沢  断捨離  東京スカイツリー  年金パラサイト  買い物難民  ゴルコン  本田△(ほんださんかっけー)  アジェンダ  33人の奇跡  (W杯)ベスト16  イラ菅/ダメ菅/○○菅  2位じゃダメなんですか(2010年候補語一覧
知らない言葉も多い。たとえば、ルーピーとは、
21日午前の参院本会議で、鳩山由紀夫首相が地球温暖化対策基本法案の答弁に立った際、野党議員とみられる女性の大声で「ルーピー」とヤジを飛ばされる場面があった。
ルーピー」とは、米紙ワシントン・ポストが4月に首相を酷評する際に使用した言葉で、「愚か」「気が変な」などと訳される。首相をルーピーと書いた同紙記者は「現実と変に遊離した」という意味だと解説している。
すでに、首相夫妻をモデルにしたルーピーTシャツなども発売されており、今回、とうとう国会のヤジでも登場した。国会では、普段からさまざまなヤジが飛び交うが、ルーピーは前代未聞だ。さすがに与党議員からは「失礼だ」との声が出ていた。(産経新聞社5月21日国会で鳩山首相に「ルーピー」のヤジ 女性の大声、与党は「失礼だ」)
実は、2年前、僕は2008年に「今年の流行語大賞は? 」で2008年の流行語の60語を引用している。
ねじれ国会 糖質ゼロ サブプライム ミシュラン オワンクラゲ キターー!!  アゲ嬢/あげあげ  姫電  せんとくん/まんとくん グ〜!  アキバ系  ローゼン麻生  ポ〜ニョ、ポニョポニョ、さかなの子〜♪  メーク・レジェンド  千年紀(源氏物語千年紀)  おなごの道は一本道にございます。 オネエマン(ズ) 言うよね? 霞ヶ関埋蔵金 朝バナナ 蟹工/蟹工船 エア芸 婚活 カレセン   くいだおれ太郎  おバカキャラ 世界のナベアツ ホームレス中学生/解散! 私もあなたの作品の一つです これでいいのだ  キモティー 屁の突っ張りでもないですから アラフォー 居酒屋タクシー 一斉休漁 ゲリラ豪雨 汚染米/事故米 名ばかり管理職  チョリ〜ッス  後期高齢者  サイバンインコ  ゆるキャラ  再発防止検討委員会   毒入りギョーザ   チェンジ(CHANGE)   あなたとは違うんです メタミドホス  ロスジェネ(宣言)  ゆとり世代/脱ゆとり教育  ねんきん特別便  燃料サーチャージ フィルタリング 上野の413球 よし、よし、よーし! 神様 仏様 上野様 ささやき女将(つぶやき女将) ガソリン国会 暫定税率  フリーチベット  何も言えねー
わずか2年の違いだが、マスメディア発の言葉よりネット発の言葉が激増している。2年前の方が、今でも覚えている言葉が多いのではないか。

流行語とは、全国民のうちその言葉がどれだけ知られているかを計る物差しである。今までは、テレビや新聞などのマスメディアを通して知られていた言葉が、現代では、インターネットを通して流行する。そうなると、ネットに触れられない高齢者には、聞いたことも見たこともない言葉が、流行語大賞に登場するとなれば、その言葉に違和感を感じるようになるだろう。

さらに、面白いことに2つの言葉の変遷が見事に現代社会を象徴している。

婚活(2008)→終活(2010)
名ばかり管理職(2008)→名ばかり高齢者(2010)

2つの流行語、名と実の乖離

そこで、これらの言葉を調べてみる。たとえば、婚活とは
結婚活動(けっこんかつどう)とは、結婚するために必要な行動。略称は婚活(こんかつ)。就職活動(就活)に見立てて社会学者、山田昌弘が考案、提唱した造語。(結婚活動−Wikipedia
一方、終活とは、
ところでタイトルの「終活」ですが、ずばり、より良く「終わる」ための活動です。
いえいえ、終わりと言っても決して暗い話ではありません。
ましてや怪しげな秘密結社の活動報告などではありませんのでご心配なく(゚ー゚;
実は終活と言うのは私の勝手な造語でして、あまり(と言うかまったく)お聞きになった事がないと思います。
エンディングやエンディングノートなどのキーワードの方が通りがよろしいかと思うのですが、それらも含めて、自分らしい終わりを迎えるためにはかなり周到な準備が必要な世の中になりつつあります。
就職するための活動が就活
結婚するための活動が婚活
そして第三の大きな節目、人生の最期をより良く締めくくるための活動が「終活」と言うわけです。(司法書士 安田祥子の終活ひろば・いざ「終活」)
就活、婚活、終活が人生をマニュアルにしたがっての、周到な準備活動とすれば、名ばかり〜は、それらの準備も現実には役に立たないことを表しているのではないか。

名ばかり管理職とは、

十分な権限も報酬も得ていないのに管理職扱いされて残業代を支給されない従業員のこと。「偽装管理職」とも呼ばれている。(はてなキーワード)
一方、名ばかり高齢者とは、
都内最高齢とされている113歳の女性まで所在不明ということが分かり、「名ばかり高齢者」がその辺にゴロゴロいることが露呈しつつある。日本は長寿国として知られ、特に女性は世界一だが、ちょっと待ってほしい。“架空”のお年寄りを除いて計算し直したら、正確な平均寿命はもっと低かったりして!?(名ばかり高齢者続出…日本の平均寿命、実はインチキ!?)
というような、所在不明の高齢者が続出し、マスコミによって「名ばかり高齢者」と名づけられた。

パラサイト・シングル」と言う流行語を作り出し、2006年に流行語大賞トップテンに選ばれた「(希望)格差社会」などの言葉でも有名な、山田昌弘氏は、婚活を流行させてパラサイト・シングルを減らそうと努力しているが、2年後の今、そのパラサイト・シングルたちは、「名ばかり高齢者」の年金に群がる「年金パラサイト」に変貌したというのは、相当な皮肉である。

マス感性の消失と流行語

僕は、「マスメディアの「マス」が消えるとき」で佐々木俊尚氏の「電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)」の言葉を引用している。
最大の原因は、「みんなでひとつの感性を共有する」という「マス感性」の記号消費自体が疲労し、行き詰ってしまったことです。
90年代の終わりというこの時代は、日本社会にとっては大きな転換期でした。高度経済成長をベースにした戦後の総中流社会が、長引く不況によって崩壊し、これ以降日本社会は格差社会への道をまっしぐらに走っていきます。
「サラリーマンと専業主婦、それに子ども4人」といったかつての標準家庭が少数派に転落し、単身家庭が増え、都市と地方の文化は別の進化を遂げるようになり、そして貧富の差も拡大していきます。
こういう事態が進行していく中で、「みんなと同じものを買う」というようなマス感性モデルが存続できるわけがありません。
従来のような「モノで自己実現する」「モノで自分を語る」といった思考が消滅していったのが、2000年代に起きた日本の精神風景の大きな変化なのです。
マスメディアが垂れ流す商品の記号は神通力を失い、お仕着せのイメージ、お仕着せの記号に誰もついていかなくなりました。(佐々木俊尚著「電子書籍の衝撃 本はいかに崩壊し、いかに復活するか?」ディスカヴァー携書)
流行語ほど「マス感性」が必要になる。だが、人々に「マス感性」が消えてしまった今、マスメディアは国民全体に広がる流行語を生み出せず、それぞれのネットワーク内の小さな独自の流行語が頻発するだけとなった。これから、全員が知っているという「流行語」がどんどん減っていくのではないだろうか。
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