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ソニーの生きる道はコンテンツ配信しかない(ホームサーバの戦い・第86章)

日経エレクトロニクス5月16日号に「モバイル・ゲーム、新ステージへソニーの賭け、任天堂のこだわり」という特集があった。ソニーが、PSSSNSに進出する理由が書いてあった。

ソニーをスマートフォン向けゲーム(モバイル・ゲーム)市場へと駆り立てるのは、同市場が今後、急成長する可能性があるためである。

スマートフォンの中でもAndroid搭載機からPSSのサービスを開始するのは、「台数の多さを追求した結果」(SCE 代表取締役社長 兼 グループCEOの平井一夫氏)だという。(日経エレクトロニクス5月16日号29頁第1部<提言>総力戦に挑むソニーAndroidゲームに命運賭ける)

中の記事によれば、
米国の調査会社であるGartner社によれば、2010年に2億9700万台だったスマートフォンの年間出荷台数は、2015年には約11億500万台にまで伸びる見込みだ。タブレット端末の年間出荷台数も、2010年の約1760万台から、2015年には3億台に近くになるという。中でもAndroid搭載機は、スマートフォンで2015年に約5億4000万台、タブレット端末で約1億1000万台と、計6億台を超えると予測している。(日経エレクトロニクス5月16日号29頁第1部<総論>総力戦に挑むソニーAndroidゲームに命運賭ける)
現在、世界中のゲーム機の台数は、サイトによって違うが、Worldwide Weekly Chartによると
PS3 50,253,597
X360 53,657,005
DS 147,217,834
PSP 67,938,024
3DS 2,618,719
Wii 86,323,772
PS2 142,903,463
とある。5千万台クラスのPS3やXbox360にとって、6億台のアンドロイド端末は参入するうまみがある。また、スマートフォンの進化が現在のハイビジョン画質を可能にしつつある。また、アップルがゲームの主導権を離さないのに対し、グーグルのアンドロイドは、参入障壁が低い。さらに、ソーシャルゲームが比較的低料金のゲームが中心であるが、Androidの利用者をPSSでPS3の高度なゲームに導くことができる。一方で、ダウンロードが主体のSNSでは、今までのパッケージ商法を破壊する可能性もある。それでも、ソニーがアンドロイドに参入するのは、ソニーなりの理由がある。
ソニーは音楽配信や映像配信といったコンテンツ配信の分野で、Apple社に大きく差を付けられた。その同社にとっては、ゲーム事業こそがApple社に対抗し得る「伝家の宝刀」である。この武器を最大限に活用することで、Apple社のサービスに一歩でも近づくことを目指す。スマートフォン向けゲーム・ソフトの配信を入り口にソニー・グループの扱う音楽や映像、電子書籍などのコンテンツ配信サービスのユーザー数を拡大するというシナリオを描く。

現在ソニー・グループは、複数のコンテンツ配信サービスを手掛けている。AV機器に映像や音楽などを配信する「Qriocity」や、PS3やPSPといったゲーム機向けにゲームや映像、コミックなどを配信する「PlayStation Network(PSN)」、そして電子書籍端末向けに書籍コンテンツを配信する「Reader Store」などである。

将来的には、これら複数の配信サービスをQriocityに統合し、すべてのコンテンツを、Qriocityを通じてソニーのデジタル家電に配信することにもなりそうだ。将来的には、PSSもQriocityにつながるだろう。

(中略)

「Qriocityが失敗すれば、ソニーは単なる『ハード屋』に終わる」(ソニー関係者)だけに、スマートフォン向けゲーム配信事業の成否は、ソニーのデジタル家電事業全体の命運を握っているといっても過言ではない。(日経エレクトロニクス5月16日号33頁第1部<総論>総力戦に挑むソニーAndroidゲームに命運賭ける)

アジア各国の低価格家電の進出で、急速にコモディティ化する家電。今回の情報流出では、1億件以上、損害は1000億円程度になると言われる。だが、PS3の開発に5000億円以上かけたソニーが、このコンテンツ配信に未来を賭けるしか生きる道はないのである。
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