欽ちゃんの笑いから全員集合の笑いへ(NHK「そのとき、みんなテレビを見ていた」第二部より)(2)
加藤茶編
徳井義実(チュートリアル) 「全員集合」いろんなところで、公開収録とか、地方に行かれていました加藤茶 そうね。地方はあちこち行きましたね。
徳井 それで京都会館、僕地元京都なんですけれど、京都会館にいらした時に、見に行きましたもん。
加藤 ええっ。京都会館で。
徳井 相撲のコントをやってらっしゃって、見てましたし。今日のスタッフの中にも当時、「8時だョ!全員集合」で、ADをやってらした方もいらっしゃるんですよ。
加藤 そうなんですか。あのころ、ずいぶんいじめましたからね。
徳井 当時は、加藤さん、ご自身でね、最高視聴率はどのくらいだったか、ご存じですか。
加藤 最高視聴率、あの頃ですと、30か40ぐらいですかね。
徳井 全然、そんなんじゃないです。なんとね、50.5%。
加藤 50.5ですか。
徳井 当時、子供の世界に住んでいましたから、大人のことはわかりませんけれど、子供はとにかく全員見てましたから。100パーじゃないかというくらい。
加藤 民放で50.5というと、ほとんどが見ているということですね。
徳井 そうですね。
<VTR>ドリフの母ちゃん!家の中でも交通安全
徳井 あれが生でやっていたわけですからね。
加藤 そうです。
徳井 あの当時、ご自身で、すごい人気というのは、びしびし感じるものですか?
加藤 あのね、人気を感じるんじゃなくて、人気がどうだとか全然関係なく、あのどうやったら、受けるだろうということばかり考えていましたね。
徳井 逆に、あまりその人気を感じる余裕は、あまりなかった?
加藤 なかったですね。とにかく受けることばっかり考えていて、で、会場に来ているお客さんに受けないと、絶対に受けないから、会場のお客さんに受けようと、そのことばかり考えていたんです。
徳井 はあ、そうなんですか。
加藤 ええ。
徳井 メンバー皆さん。
加藤 メンバー皆さんといいますか、一人だけ寝てましたけどね。
徳井 ブーさん。
加藤 メンバーみんな集まれというと、一人だけ(寝ているポーズ)。必ずいましたから。
徳井 ブーさんは寝ててもOK。
加藤 ブーさんは寝ててもOK。はい。
徳井 大ヒット番組になると、理由というのはいくつもあると思うんですけれど、やっぱり、一つは、ほとんどが公開生放送であるということ。ライブ感というか、そういうのって緊張感があったんですか?
加藤 そうね。ライブ感で、緊張、あの、ライブで受けないと、このテレビの向こうの人は絶対受けないだろうと。で、ライブで受けて、会場でドーンと笑いがあれば、テレビの向こうでも笑ってくれるだろうと。
徳井 まず、お客さんを最優先で。面白かったもんなあ。
加藤 さっき、欽ちゃん出てましたけど、あの裏番組で欽ちゃんたちがやってたんですよ。「欽ちゃんの世界は笑う」とか「55号の世界は笑う」かな。やってたんですよ。それで、37、8ぐらいとってたんですよ。それで、あの欽ちゃんたちに負けないようにやろうというんで、一生懸命やりだしたんですね。ですから、いいライバルがいたから、やっぱりいいものができたんじゃないかなと思うんですよね。
高橋英樹 稽古がしっかりしていた、あれは。
加藤 稽古はやりましたね。もう、稽古、稽古、稽古って、本当にねチョーさん(いかりや長介)のために稽古するんですよ。
徳井 それはどういうことですか?
加藤 チョーさんは、年取ってて、物覚えが悪いんですよ。チョーさんが覚えられないから、また、リハーサルをやると。そういうことなんですよ。
徳井 あ、そうなんですか。他の人はもう稽古すると覚えている。
加藤 僕たちは、もうすっと覚えているんですよ。学校コントなんて覚えているんだけど、チョーさんが次はなんだっけとやるんで、しょうがないからやるんですよ。リハーサル、もう一回。あの人、すぐ忘れるんですよ。
徳井 僕らから見たら、チョーさんがしっかりして仕切ってはると思ってたけど。
加藤 チョーさんが一番だらしないんですよ。
中川翔子 生放送ならではのトラブルとか奇跡とかもやっぱり、あったんですか。
加藤 ありました、ありました。火事があったり、停電があったり。
高橋・森 停電、あれ有名ですね。
加藤 停電は10分だったんですよ。10分。でも、停電なんだけど、音声が入っているんですね。音声が入っているということは、停電じゃないじゃないですか。ねえ、あれ。停電じゃないとしたら、誰かがなんかやってるんだなと。でもそうか、音が入ってるんだから、なんとかしなきゃならないと懐中(電灯)を持ってきて、今日のゲストは西條秀樹さんでしたーなんつって、そして高木ブーさんでしたーと言ったら、(寝ているポーズ)。
全員 (笑い)
徳井 暗いからちょうどええかなと思って。
加藤 あの人は、すぐ。
徳井 懐中電灯でやってましたね。
加藤 やってましたもの。
徳井 8時だよのコールも8時
加藤 10分だよってやって。コントも歌も全部やって、10分遅れで。あのコントが早かった、早かった。最初からマキですから。ゲストが気の毒なんですよ、歌ってるんだけど、普通はもっとテンポが遅いのに、もう早いんですもん。(歌真似)早送りですよ、本当に。もう最後の、「風邪ひくなよ、ナントカするなよ」も、何言ってるか全然分かんなかったです。
森公美子 全部。どこか抜くんじゃくてマキだったんですね。
杉浦太陽 ネタは誰が考えられるんですか。
加藤 ネタは全員で考えるんです。全員で集まって、必ず高木さんは寝てます。
徳井 高木さんはいつ起きてるんですか。
加藤 高木さん、起きているときというのは、なんか、飯を食ってるとき。飯を食って寝て、お茶をもらう時に、ここからお茶をもらって、(手元に湯呑が)来る間に寝ちゃうんですね。(湯呑を落として)そうすると熱いもんだから、熱いって言ってそれで起きるんですよ。
徳井 加藤さんといえば、いろんなギャグが。僕らも真似しましたけど、
加藤 やりましたね。カトちゃんぺとかね。
森 あたしは、本物にやっていただいたんですよ。「ちょっとだけよ」を。以前に舞台ご一緒した時に、ひとこと言ってくださいって言って。
徳井 本番じゃなく、プライベートで。
森 プライベートです。お会いした時、本当に失礼だったんですけど、そしたらやってくださいましたよ。本当に、いつもやってくださるんですよ。
加藤 サービスが旺盛ですから、本当に。カトちゃんぺというのが、このぺがね、定まんないんですよ。手が揺れ揺れしちゃって。ピッと決まらないとまずいんですよ。
徳井 あとは、ヒークションみたいな。あれ難しいんですよ。
加藤 あれはもう普通にヘックション。
徳井 カトちゃんや。
加藤 これは普通のくしゃみなんですけど、スギ花粉のくしゃみがあるんですよ。(これは文章で表現しにくい)どんどん足していくんです。それから、おやじがやるやつ。ヒークションなんだこのやろう。
徳井 これもやったなあ。(中川翔子に)できる、ヘクシー。
中川 ヒークションこのやろう。でも流行りました。私たちの世代になっても、リアルタイムでは見えてなかったんですけれども、先生とかが教えてくれたりしてたので。学校で教わっていましたね。
山田五郎 おれたちは学校でやるなって言われたよ。
森 禁止令が出てたんですよね。
山田 「ちょっとだけよ」も禁止令。
加藤 あれだけ何十万の人が見ていたのに、あの反対というのが200人ぐらいいたんですよ。あの、やっぱり、なんですか、
徳井 PTAとか。
加藤 PTAのああいう人たちが、おい、何百万人の人が見ているのに、200人の反対の人がいるぞ。嬉しいな、おいって。おれたち、言ってたんですよ。やっぱり、ダメだっていう人も見ているわけじゃないですか。
徳井 そうですね。
加藤 ダメだって言いながら見てるってことは、結局、皆見てるんだと。だから、もっともっと下品なことももったいないこともやろうとやってましたね。だって、スイカ一個ね、まあその、高いかもしんないですけど、スイカ一個千円で、ボーンと爆発させると、お客さんがドーンと笑うわけですよ。そこでもう許してんですよね。笑った時に。千円で何百万人の人が笑ってくれたら、こんな安いこと、ないじゃないですか。
徳井 確かにね。褒めてはいないかもしれんけど、ちゃんとこうスイカとしての命は全うしているかもしれん。
加藤 その時、俺たちは、もったいないから食べようと、食べたんです。火薬臭くて食えねえ。
徳井 そりゃ、そうでしょう。
加藤 こりゃ、もう笑いましたね。
徳井 うんこ何とかね。いろいろね。うんこちんちん。
加藤 うんこちんちんは、子供さんが両方喜ぶんですよね。
徳井 僕も大好きですもん。
加藤 大好きでしょう。うんことちんちんは、これもう絶対、
中川 NHKで聞けるとは。
徳井 ギャグですから、これは。
加藤 そう。あの時は、NHKに来てもあれはやめてくださいと言われました。
徳井 さすがに。今は、大丈夫かどうかわかりませんけど。すいません、あやまります。伝統芸能ですから。
加藤 芸としてやってますんで、これは一応、言葉だけで、形はやりません。