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久夛良木氏とジョブズ氏の共通点(ホームサーバの戦い・第101章)

アクセスが増えた久夛良木氏、PS4で復活か

なぜか、この2日間、久夛良木氏、PS4で復活かのアクセス数が増えている。調べてみれば、アルファルファモザイクのついにPS4キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! 久夛良木が去って4年 ついに久夛良木が帰ってくる件に載っていた。しかし、僕のエントリーは、元記事のソニー、プレイステーション4向けのプロジェクトを複数の内部スタジオで開始かのおまけとして載っているもので、ニュースには、久夛良木氏の復活の記事は載っていない。

つまり、この「ついにPS4キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! 久夛良木が去って4年 ついに久夛良木が帰ってくる件」というのは、2011年10月21日の記事と2007年5月2日の僕のエントリー記事を強引にくっつけたものだ。「ソニー、プレイステーション4向けのプロジェクトを複数の内部スタジオで開始か」自体、英国のゲーム業界紙Developの憶測記事の後追い記事にすぎない。しかし、そこまでして、久夛良木氏の復活を望んでいる人が多いのだろうか。ジョブズ氏が亡くなって追悼記事が各誌に載っているさなか、僕はジョブズ氏と久夛良木氏の共通点を考えてみた。

トップになると独裁者になる?

たとえば、前項日本社会はどこまで失敗を許すかで取り上げた田原総一朗×夏野 剛「立ち上がれ!ガラケー日本!!の後段でこんな会話が出てくる。
田原:決定の早さでいけばね、孫さんはその強みをよく知ってます。それに三木谷さん。いずれも、夜役員たちに電話がかかってくるんです。「こういうことやりたい、お前ら調べろ。明日の夕方会議やって決定する」と。日本の経営者はね、こういうことをやろうとまず思いつかない。下から上がってくるの待ってるだけです。思いついても、会議、会議で数ヵ月、下手したら1年以上かかっちゃう。
夏野:でも、例えば、ソニーのプレイステーション。あれをつくったのは副社長にもなった久多良木健さんという方なんですが、あの人は、まさにそのスタイルなんです。
田原:そうなんですか。
夏野:PSPのデザインなんて、デザイナーと自分でやってました。「こうしたほうがいい、これでいけ」と。だからやろうと思えばできるんです。でも、そういう人が上に上がっていくのは難しい。
田原:常務、専務どまり。
夏野:みんなが怖いんですよ。久多良木さんが社長になるっていう噂はずっとあった。でも結局は社長になれなかった。ソニーの中で反対がたくさんあったと新聞に書いてあったんです。その反対の理由は何かと言うと、ソニーのためじゃなく、自分のためなんです
田原:怖いんだ。
夏野:政治家は国のこと考える、社員は会社のことを考えなきゃいけない。自分のことを考えて人を選んだら、人事は失敗ですよ。(ソニーの社長になれなかった男/田原総一朗×夏野 剛「立ち上がれ!ガラケー日本!! )
久夛良木氏が社長になると怖いという感覚。例えば、「昔のソニーには猛獣がたくさんいたし猛獣使いもたくさんいた」で引用した久夛良木氏の言葉、
今、僕は世の中がリスクをとらない風潮に向かっていることをすごく心配している。産業界に共通してリスクをとらずに、確実に利益をとりにいく風潮があるよね。例えば、かつてのソニーは、失敗を恐れずにどんどん挑戦した。大きな失敗もいろいろとしたけど、いろんな挑戦の中からキラッと光るものが生まれた。挑戦をやめたら、進化は止まるし、未来はつくれない。僕のSCEでの人生は、未来への挑戦の歴史だと思う。リスクを背負って、果敢に挑戦してきたつもり、SCEを離れた後も、そういう僕の生きかたは変わらない。(週刊東洋経済2007/ 5 /19 号 「僕がやめる本当の理由を語ろう」)
失敗と言えば、副社長の時のPSXの失敗。PS3の開発に5000億円もかかったこと…。型破りだったが、リスクをとって果敢に挑戦してきた。トップになれば、当然社員にもそれを求めるだろう。社員たちはそれを恐れていたのではないか。アップルでいえば、ジョブズ氏の行動にもそれが表れている。
部下に対して高い目標を提示し、精力的に優れた仕事へと導くため、理想の上司として評価されることも多い。と同時に、ジョブズの要求する水準を満たさない者に対しては放送禁止用語だらけの罵声を浴びせたり、その場で即クビにすることでも知られる。前アップルPR担当チーフのローレンス・クレィヴィアはジョブズとのミーティングの前には必ず闘牛士と同じように「自分は既に死んだ」と暗示をかけてから挑むと同僚に語っていた。また、ジョブズのアップル復帰後に次々と社員がリストラされた際には「スティーブされる」(=クビになる) という隠語が生まれた。リーアンダー・ケイニーのINSIDE STEVE'S BRAINによれば、これらは部下にプライドと職を懸けさせなければ最高の仕事をしないからというのが理由であり、部下の意見を何度か却下した後に採用するのも同じ理由である。発案者が信念を持っていない意見やアイデアは無視すると決めている。例えば"iPod"という名称も採用する前に2度却下している。(ステイーブ・ジョブズ-Wikipedia)
リスクをとって自分の行動をとる社長は、結局、社員にもリスクを求める。リスクを取らない社長は、社員にとって最も安泰である。

二人のビジョンは共通する

2006年の記事で久夛良木氏は、既にアップルとの競合を予測していた。
【Q】 SCEIのPS3ビジョンで競合するのは、Appleのように見える。
久夛良木氏】Microsoftよりは直接ビジョンが近いのはAppleだね。でも、競合よりというより、同じところにいて逆に楽しい
【Q】 でもPS3がコンピュータなら、将来のApple製品と実際に家庭で競合するようになる可能性があるのでは。
久夛良木氏】確かに、今の時点では競合していないけど、将来はわからない。2007、8年になって、AppleIntelとコラボレーションしている成果が花開いて来ると、当然、狙うのは音楽プレーヤーだけではないだろうから。
【Q】 家庭のエンターテイメントコンピュータという領域でぶつかるかもしれない。
久夛良木氏】 うん。ジョブズ氏は、きっとコンピュータが好きなんだと思う。すると、ビジョンが自然に重なる。(後藤弘茂のWeekly海外ニュースビジネスモデルを変革するためのPS3の価格戦略〜SCEI 久夛良木健氏インタビュー(2) )( PSP goの隠された使命(ホームサーバの戦い・第29章) )
久夛良木氏のビジョンとは何か。僕はすでに、ホームサーバの戦いシリーズの最初にそれを掲げている。
ネットワークで配信(再配信)可能なコンテンツには、ゲームの他にも、映画・音楽、許諾を受けた放送番組、あるいは個人が撮影した膨大な数の写真や動画などがあるだろう。今後、家庭において「プレイステーション 3」自体がホーム・サーバーとなり、他の携帯機器やネットワーク接続されたデジタル家電機器、さらにはパソコンにも、ゲームや映像や音楽を配信することも可能になる。(久多良木健氏からの手紙、「PS3が創るリアルタイム・コンピューティングの未来」)(家電屋VSコンピュータ屋、ホームサーバーの戦い)
アップルの30年ロードマップにおいても
映像・画像・音楽・書籍・ゲームなどのあらゆるコンテンツがデジタル化され、同時に通信コストが急激に下がる中、その手のコンテンツを制作・流通・消費するシーンで使われるデバイスやツールは、従来のアナログなものとは全く異なるソフトウェア技術を駆使したデジタルなものになる。アップルはそこに必要なIP・ソフトウェア・デバイス・サービス・ソリューションを提供するデジタル時代の覇者となる」(アップルの30年ロードマップ)( アップルのホームサーバ計画(ホームサーバの戦い・第43章))
彼らのビジョンが、iPhoneであれ、PS3であれ、あらゆるデジタル情報が流れていく端末のシェアを拡大していく戦いにあることは明確である。
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