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ようやくテレビはネットの重要性に気付いた(1)(ホームサーバの戦い・第110章)

放送記念日に放送された2つのスペシャル

3月22日はNHKの放送記念日である。NHKで2つのスペシャル番組が放送された。一つは、地上デジタルのNHK総合「放送記念日特集 NHKと東日本大震災〜より多くの命を守るために〜」とBS1で放送された「放送記念日特集「広がるスマートテレビ〜テレビはどこへ向かうのか〜」である。一つ目は、東日本大震災のNHK報道の検証番組、2つ目は、アリカやイギリスで普及している「スマートテレビ」をリポートを交えてこれからテレビの未来はどうなるかということについて考えていこうという番組である。僕は、この2つの番組のVTRからネットの重要性について語った部分をピックアップしてみたい。

ツイッターで知ったきめ細かい報道の重要さ

まず「NHKと東日本大震災〜より多くの命を守るために〜」から。1時間15分の番組のうち、1時間過ぎから書き起こしてみる。


<スタジオ>

森本健成キャスター 広い範囲に及んだ今回の震災では、くまなく被災地すべてのことを伝えるには限界がありました。地域に密着したコミュニティFMなどほかのメディアと連携することで、被害の情報を被災地の外に伝えて支援に伝えていく。その重要性が、今回の震災で改めて浮き彫りになりました。

首藤奈知子キャスター それと同時に、被災地の人たちが生活をしていく上に必要な情報をどう伝えていくかも今回課題となりました。給水が行われる場所や、食料が手に入る場所はどこか。医薬品や燃料は、いつ届くのか、こうした情報をどう伝えていけばいいのか。

森本キャスター 今回の震災をきっかけに課題とともに新たな可能性も見えてきました。

<VTR>

(映像はNHK仙台局)

NA 震災発生三日後、仙台放送局は、生活情報を取材するプロジェクトチームを発足させました。東京からの応援職員や、外部プロダクションのスタッフなど、30人以上が参加しました。集めたのは給水所の場所や医療機関、入浴施設の状況など、いずれも被災した人に欠かせない情報です。仙台局は、東北地方の拠点として、宮城だけでなく、岩手や福島、青森の生活情報も取材する役割を担っています。
実際に放送が始まると、大きな課題に直面します。東北6県に向けて放送した55分の生活情報番組、日が経つにつれ、伝えるべき情報が増え、時間内で対応できなくなっていったのです。震災六日後の放送では、仙台市内の給水所の情報が51か所、ほかの県を合わせると、給水だけで20分以上かかり、必要な情報を十分に伝えることはできませんでした。

仙台局チーフアナウンサー杉尾宗紀 お風呂の情報もあるし、どこに行けば下着が手に入りますとか、そういうね、大事な情報がいっぱいあるんですよね。だから、そこは苦労しました。取捨選択をどうするか。

NA 福島県内で放送された総合テレビの映像です。

(映像はテレビ画面。災害情報の帯が3重になっている)

NA 膨大な生活情報を画面を小さくして文字で伝えました。発信元は内側から東京、仙台そして福島、全国放送の時間帯でも、地域の情報を届けようという、苦肉の策でした。

(映像は「情報得られず不満に感じたのは」岩手・宮城・福島4000人の複数回答)

NA 去年5月、被災した人たちにNHKの放送からどういう情報が得られず、不満だったか尋ねました。最も多かったのが、食料やガソリン(33%)、2番目が電気や水などのライフライン(22%)、いずれも生活に欠かせない情報でした。

(なお3位は放射能汚染18%、4位は安否情報17%)

被災者Aの感想 テロップか流れて、いろんな情報が流れているくらいですよね。それを見ているというだけで、こちらの要望とかそういうのは別にわからないですよね。

被災者Bの感想 あまりに情報が広すぎた。自分勝手な考えを言えば、自分のいた場所の情報が欲しかった。

NA 避難所で取材にあたっていたアナウンサーも、放送で生活情報を伝えることの難しさを感じていました。
地震発生からしばらくの間は、停電のため、ほとんどの避難所でテレビを見ることができませんでした。その後、見られるようになっても、いつ流れるかわからない自分の地域の情報をずっと待つのは難しかったといいます。

仙台局アナウンサー和田政宗 青森から福島までの情報が流れるというようなことでしたので、ずーっとやはり見ていないとならない。果たして、そのずーっと見ていられる時間が皆さんにあったかどうか。家の後片付けですとか、そういった、またお仕事に出られる方もいましたので。

NA 最大で45万人を超えた避難者に向けて、どう必要な情報を伝えたのか。NHKが力を入れたのがインターネットです。ホームページに特設コーナーを設け、地域ごとに最新の生活情報を取り出せるようにしました。
今回、災害時に初めて活用したのが、ツィッターです。140字以内の短い文章で、必要な情報を伝えることができます。NHKでは、広報や報道の各部所が、被災地に向けて様々な情報を発信しました。
その一つ生活情報部のツィッターを担当した記者の山下和彦。NHKが各地で取材した情報を多い時で1日200件以上ツィッターで発信しました。生活情報部のツィッターを登録した人は、新しい情報が欲しい時に、携帯電話などでいつでも受け取ることができます。利用者は急増。最初の一週間、1日1万人のペースで増え続け、11万人を超えています。

生活情報部記者山下和彦 瞬間、瞬間じっとしていなければわからないということではないですね。後から確認することもできます。これは放送メディアにはない、大きな特徴ではないかと思います。

NA ツィッターで発信する情報を広くリスナーから集めていたラジオ局があります。ラジオ福島です。震災発生直後から情報提供を呼びかけました。情報の信頼性を高めるため、相手が特定しやすい電子メールで送ってもらいました。集まった情報は多い時は1日1000件以上。ツィッターを使えない人たちにも伝わるように、放送でも読み上げました。

(映像はラジオ福島(https://twitter.com/#!/radio_rfc_japan)のツィッター例
郡山市逢瀬町勝音寺(しょうおんじ)から給水に関するお知らせです。郡山市で断水が続いているという事で境内の井戸水をお使い下さい。市街地より少し遠いですが、もしよければお使い下さい。容器は持参でという事でお知らせ頂ければと思います。」
「リスナー情報。郡山市の若葉町辺り、うねめ通り沿いにあるシミズストアが営業しています。お店の方が頑張ってお弁当やお惣菜を作って下さっています。」)

NA ラジオとツィッター、その相乗効果で支援の輪が広がっていきました。原発周辺から避難していた人たちの元には、ラジオを聴いた人から生活に必要な品々が届きました。炊き出しを求めていた避難所には、ツィッターを見た洋食店の店主が二日後、ボランティアで駆けつけました。

ラジオ福島企画事業局小野則昭次長 一般のユーザーの皆さんは、その私どものツィッターを一つのプラットフォームととらえてですね、情報を見たり、自分で書き込んだりていふうな形でうまく使っていただけたんだろうと。

NA 放送に加えて、新しいメディアをどう活用していくのか、NHKは、生活情報の伝え方を大きく見直そうとしています。

編成局副部長(生活情報放送プロジェクト)小形修一 東日本大震災で、被災者のために十分必要な情報が届いてなかったんではないかというような教訓というか反省点を出発点にしてます。ここで取材から制作、放送まですべて行ってネットへの発信だとか、データ放送も含めてすべてこちらで完結させる。

NA 目指すのは、放送とインターネットのさらなる連携です。新しい仕組みでは、まず生活情報を集める専用のサーバーを作ります。それぞれのメディア(テレビ、ラジオ、データ放送、ホームページ、ツィッター)の特徴に合わせて、必要な情報が必要な人に届くように発信します。大きな災害が起きた場合、より細かな情報をできるだけ早く発信できる体制を作ろうとしています。

編成局副部長(生活情報放送プロジェクト)小形修一 お年寄りの方もいらっしゃいますし、ネットを使い慣れた方もいらっしゃるでしょう。それぞれの方に応じた情報の提供の仕方をやっていきたい。多角的に情報を発信していかないと、情報を必要とされている方たちに情報がなかなか届いていないということで、あらゆるチャンネルを利用していこうと思っています。

<スタジオ>

森本キャスター 地震や津波を乗り越えても、待っているのは不自由な避難先での暮らし、そうした人たちにとって、生活情報はまさに命を支えるため、生きていくための情報です。そう心に刻んで新たな伝え方を模索していきます。


なお2つ目の「広がるスマートテレビ〜テレビはどこへ向かうのか〜」については次回のエントリーで
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