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素人だから言えることもある

キャリアやスキルがなくてもブログは書ける

日経ビジネスオンラインでこんな記事を読んだ。

あなたの「持論」は文章に書けますか?
「経験から生まれ行動を導く方法論」と共にプロへの旅を続けよう
この文章の中で、プロの定義として
「あの人はプロフェッショナル(プロ)だ」と言う場合、何をもってプロと呼んでいるのだろうか。
一般にはスキルとキャリアで語る傾向がある。
スキルについては「あの人の○○技術は凄い」(テクニカルスキル)、「難しいと言われる顧客でも必ず納得させる」(ヒューマンスキル)、「発想豊かな提案ができる」(コンセプチュアルスキル)といった具合である。
キャリアについては「どの地域を担当しても成果を挙げてきた」「10年間、売り上げを伸ばしている」といったように業績を含めて語ることが多い。(あなたがプロなら持論を作れ、持論を磨け)
確かに、他人に、自分を売り込むためにはキャリアやスキルは必要だろう。でも、僕のブログはサブタイトルに「素人でも言えることがある」と書いているように、キャリアやスキルは全くない。ただ、この記事で納得したのは、学び続けるという事だった。プロでも素人でも学び続けることはできるのだ。ロケットを開発した糸川英夫氏は、60歳の時、バレエを始めた。(糸川英夫-Wikipediaによるとバレエ(60歳の時、貝谷バレエ團に入団)・占星術・チェロ・ヴァイオリンなど様々なことに興味を持った。)

プロになって凝り固まった思想にとどまるより、積極的に様々なジャンルに首を突っ込むことが大事だ。しかし、学んだことをそのまま書いたのでは、ただのコピーだ。僕は、必ず過去のエントリーと比較して組み合わせることが必要だと思う。

あらゆる知識・アイデアはクロス・カップリングであるで、

アイデアとは既存の要素の新しい組合せ以外の何ものでもないということである。(ジェームス・W・ヤング著/今井茂雄訳「アイデアのつくり方」阪急コミュニケーションズ)
と書いてあるように、ジャンルにこだわらずに組み合わせるほうが、ユニークなアイデアが生まれる可能性が高い。ところで、このアイデアの成功率について、失敗学の畑村洋太郎氏の
私の経験からいって、何か新しいことや未知な分野に挑戦しようとすると、99.7%は失敗します。そう考えると、物事がうまくいく確率は0.3%。日本に昔から“千三つ”という言葉があって、「何かの賭けをしたとき、うまくゆくのは千に三つぐらいしかない」という手意味で使われてきましたが、私の経験からすると、新たに挑戦したことが成功する確率もまさに“千三つ”です。(畑村洋太郎著「決定版 失敗学の法則」文藝春秋)(「成功とは、意欲を失わずに失敗に次ぐ失敗を繰り返すことである」)
という言葉を引用したことがあるが、実は「はやぶさ」のプロジェクトマネジャー川口淳一郎氏も同じことを言っている。
当然ながら全部のアイデアが実を結ぶわけでないことも理解してください。提案したものを上司がすべて理解しろというのも無理な話です。しばしば「めったに起きないこと」の代名詞として「3シグマ」という言葉が用いられます。統計的にあらゆる事柄は3シグマ――約99.7%以内に収まるという意味です。ということは、特別なアイデアは飛びぬけた部分にあるからこそ成功するので、ヒット作に結びつく企画は3シグマの外の部分、つまり約0.3%の確率で生まれることになります。会社側が理解するだけでなく、企画を出す側も採用の道が遠いことを覚悟したうえで臨む必要があります。(川口淳一郎著「疑え、常識。」KKベストセラーズ)
なお、この3シグマについて、注釈にこう書いてあった。
3シグマ
シグマとは標準偏差を意味し、平均からのずれや偏りの度合いを示す数学用語。平均から3シグマをずらして拡大した範囲には全体の約99.7%が含まれる。また日本では古くから、商談が1000件あっても、そのうち成立するのは3件ほどという「千三(せんみつ)」という言葉が感覚的に使われた。(川口淳一郎著「疑え、常識。」KKベストセラーズ)
面白いことに、この「疑え、常識。」にスティーブ・ジョブズスタンフォード大学の有名なスピーチについて川口氏が解説していた。(なお、そのスピーチについてはスティーブ・ジョブズのセレンディピティなど参照)
スティーブ・ジョブズの話題が多くなったので、最後に彼が引用した有名な言葉を紹介したいと思います。2005年、ジョブズスタンフォード大学の卒業祝賀スピーチにおいて“Stay Hungry, Stay Foolish.”という言葉を繰り返し使いました。これはジョブズのオリジナルではなく、彼自身が若いころに強い影響を受けた『Whole Earth Catalog』の著者、スチュアート・ブランドの言葉です。彼はこの言葉を引用する前に、スピーチで「挑戦を忘れてはいけない」と述べています。そして「落ち着いてしまってはいけない。ずっと探し求めろ(Keep Looking, Don’t Settle.)」といった言葉の締めくくりとして先のFoolishを用いました。つまり、このStay Foolishは「愚かでいろ」というよりも、「無知であれ」と言っているのです。ここにおける無知とは、不思議なものを不思議だと感じ、疑問を持ち続ける姿勢です。無知を自覚することで純粋に新しい方向を考え、新しいものを生み出すことができ、その感覚が大切だと言っています。私は座右の銘は持つなという考え方ですから、他人の言葉を引くのは本意ではありません。ですが、説明のために引用します。
今回、私が話した“型を破ること”、“枠を外すこと”は、彼の言うところのStay Foolishと同じ意味です。心をフラットな状態にしておかないと、人の感性は鈍ってしまうと私は考えます。「感性を研ぎ澄ますために自分を追い込む」という意見もあるけれど、追い込まれている状態というのは、いわば自分で何かしらの規制・制限を設けている状態です。そうなると新しい発想は出にくいのです。(川口淳一郎著「疑え、常識。」KKベストセラーズ)
この言葉から考えると、プロと名乗る人ほど、キャリアやスキルで自分のアイデアに制限を設けていることにはならないだろうか。いろんなことを考えるためには、自分は素人だから貪欲に学ぼうという姿勢になり、つまり無知に戻ることで新しいアイデアが生まれるということになるのだと思う。
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