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素人だから言えることもある

作りたいものを作っているか

話題になっている自動車はできるのに、家電はなぜできないか? というブログを読んだ。話は単純、自動車メーカーは、自動車が好きな人が集まっている、家電メーカーはそれほど家電が好きな人はいない。だから、家電メーカーの上司がそれを作れといったから作ったという。アップルのジョブズが成功したのは、ジョブズが作りたかったものをつくったから。なるほど、そういえば、ソニーの盛田会長がこんなことを書いているのを思い出した。

盛田 組織が大きくなるとフレキシビリティがなくなる。人間も年をとるとフレキシビリティがなくなりますね。“ソウイ”という意味は二つあって“総意”と“創意”がある。企業というのはクリエイティブの方の創意でなければならんのですよ。コンセンサスの総意では、進歩もないし改革もできない。

だけど、クリエイティブであるということは、なんでも人と変わったことをやればいいということじゃない。ときどきわが社でもこの風潮がある。自動車は毎年毎年、新型車が出るけれども、ブレーキとアクセルの位置は必ず同じです。ブレーキは左、アクセルは右と決まっとるわけです。あれを逆にしたらえらいことになる。

ところが、ときどきソニーの中では、とにかく何でもいいから変えればいいというので、ブレーキとアクセルの位置を逆にしたようなものを作ってる。やっぱりクリエイティブにも基本はあるわけでね、思いつきでは困る。(井深大著/柳下要司郎編「ものづくり魂 この原点を忘れた企業は滅びる」サンマーク出版)( ソニーのものづくり魂(2)(ホームサーバの戦い・第88章)

この“総意”と“創意”の問題、総意は結局、意見の集約で、おかしなところはないけれど、とがったものはできない。創意は個人のアイデア次第で面白いものができる。会社が大きくなればなるほど、一つのものを作るのに対して、コストが莫大になる。失敗したら大変だということで、誰もリスクを取れなくなった。“創意”がいつの間にか“総意”になってしまったのである。SCEの社長を退任したころの久夛良木氏はこんなことを言っている。
今、僕は世の中がリスクをとらない風潮に向かっていることをすごく心配している。産業界に共通してリスクをとらずに、確実に利益をとりにいく風潮があるよね。例えば、かつてのソニーは、失敗を恐れずにどんどん挑戦した。大きな失敗もいろいろとしたけど、いろんな挑戦の中からキラッと光るものが生まれた。挑戦をやめたら、進化は止まるし、未来はつくれない。僕のSCEでの人生は、未来への挑戦の歴史だと思う。リスクを背負って、果敢に挑戦してきたつもり、SCEを離れた後も、そういう僕の生きかたは変わらない。(週刊東洋経済 2007/5 /19号「僕がやめる本当の理由を語ろう」)( 「昔のソニーには猛獣がたくさんいたし猛獣使いもたくさんいた」)

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