夢幻∞大のドリーミングメディア

素人だから言えることもある

メディアの望んだ世界

 「メディア」は人間関係の煩わしさから逃れ、または現実の苦境から逃れさせる。それぞれの持つ「個性」という「とげ」を「メディア」という綿でくるんでいる。そのため、決して、他の人間を理解しようとはしないが、一方では他人に対し、「自分」を理解してもらいたいと考えている。行き着くところ、一人一人が孤立化する結果となる。

このような「脳化社会」の特徴を「無痛文明」と論じた学者がいる。
「家畜は環境を快適にコントロールされ、毎日食料を与えられ、ひたすら食べて眠ることをつづけながら生きています。その姿は、空調の効いた快適なオフィスで日々決まりきった仕事をする現代人の姿によく似ています。苦痛を避け、快適に暮らすことを目標に進んできた現代文明は、じつは人間を家畜化するだけなのではないか? 我々は安全と快適を得る代償に、生命の輝きを奪われてしまったのではないか?」(森岡正博著「無痛文明論」トランスビュー社の紹介記事より)
 また、「自己家畜化社会」と喝破した学者もいる。
「現代の社会や文化のあり方は、カプセル化と称されるようにヒトの飼育方法(?)が人工環境に囲い込まれていることである。同じような家畜飼育の場合でいえば、設備の整った近代的な家畜工場によるのと似ている。これは利用の面が強いので、人間が工場や職場でソフトに管理されている場合に当てはまるようだが、最近の子供は整った設備の中で「甘やかされ、大切に」飼育されているペットにより近いのではなかろうか。ひたすら柔らかな食物?それは多くの場合、顎の能力を弱め、短く細くする。また歯槽膿漏を生む可能性がある。人間では暖房は、過暖房といえるほどに温度を上げるし、個室利用を主にした部屋は、カプセルに似る。作物ならば温室栽培とか、盆栽に似た扱いとも言える。その上、教育熱心に「ハサミ」を入れるかと思えば、まったく「大切に」「自主的」に放置するというわけだ。」(小原秀雄・羽仁進著「ペット化する現代人・自己家畜進化論から」NHKブックス
 メディアの発達した文明先進国はいずれも、少子高齢化に悩んでいる。特に、家族や地域のつながりが切れた現代日本では顕著である。

 もちろん、僕はここでメディアの悪い部分を掲げて「自然に帰れ」と叫んでいるわけではない。今の状態でひ弱になった人間たちが、自然の中に立ち向かっていても絶滅するだけである。

 「脳化社会」は孤立化を促進し、少子高齢化社会を促進する。その前提でどのように人間として豊かに人生を送っていくか。メディアは人間界に深く入り込んでいる。したがって、このメディアをどのように活用していくか。そのプラスの面を考えていこうと思う。


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