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素人だから言えることもある

ネットとテレビの融合、悲願と不安

一連のニュースを見ていると、ライブドアの堀江事件のとき、あれほど「ネットとテレビの融合」について批判されていたのに、今では何事もなかったかのように融合が進んでいるように思える。

ここで、今まで述べてきた各業界の立場を僕なりの想像で明らかにしてみたい。

悲願(1) リビングのOSを制覇したい(マイクロソフト)

 オフィスや書斎の90パーセントのパソコンをウィンドウズで制覇してきたマイクロソフト。次は、リビングのホームーバとして君臨することを狙っている。リビングのOSを握れば日本の家電産業は、そのOSのライセンス料を払わなければならない。これは、日本の家電産業に主導権をとられたアメリカの家電産業の悲願でもある。

(「アップルとマイクロソフト、家電への擦り寄り方」)

悲願(2) 映画のダウンロード販売をしたい(by アメリカ映画会社)

(「ホームサーバーの意味するもの」)

悲願(3) ハイビジョンのテレビやレコーダーを売りたい(日本の家電産業)

 なお、ソニーに関していえば、コンテンツの映画(SPE)と音楽(SME)、レコーダーやテレビを製造するソニー本体、プレイステーション3を販売するSCE、それぞれ思惑が違う。コメントで書いたように「SCEとソニー本社の立場の違いだと思います。ソニー本社としては、BDを製造するライセンス料、レコーダーを作って売る収益、BDグループ家電会社の収益など、もろもろのお金が発生します。そうじゃなければ、cell開発に5000億円なんて出しません。なぜならホームサーバーだけなら儲かるのは、SCEと映画会社だけですから。」そこが「ソニーが何を狙っているかわからない」原因のひとつになっている。

  一方、不安材料だがこれは結構ある。

不安(1) 広告収入が落ちる(by テレビ局)

 リビングの同じテレビを使ってネットが見られるようになれば、ますます視聴率が落ちるし、広告もネットに獲られてしまう。ただでさえ、ハイビジョンや地デジでコストがかかった分、特に地方局の体力が落ちている。テレビは許認可事業なので参入する異業種がいなかった。そこに、ネットが参入すれば、広告収入は半分以下に落ちるだろう。地方局は合併して県によっては民放1局なんてことにも。

不安(2) パソコンとテレビの視聴形態の違い

 かつて「インターネットテレビ」なるテレビが売り出されたことがある。このときは、回線も電話回線のみで遅く、日本語のホームページもあまりなかった。結局あまり売れなかった。その後、インフラが整備し、光ファイバーが普及してきたのだが、パソコンとテレビは視聴形態があまりに違う。はたして、離れた場所からインターネットを見るつもりになるであろうか。せいぜい、レンタルビデオ代わりにホームサーバを通して映画を見るくらいではないだろうか。

不安(3) 団欒を破壊する

 この問題は、テレビが登場してきてから言われてきたことだ。しかし、かつての大家族制度のもとであればそういうこともあるかもしれないが、現在のように核家族の時代においてはむしろ団欒を作ってきた部分もある。テレビがなければ会話が弾まないなんて家庭も多い。しかし、インターネットの場合、団欒というよりもパーソナルな部分が多く、むしろオフィスの延長として捉えられかねない。インターネットはリビングより、個室で見るという場合も増えそうだ。

 ひとつのメディアが増えれば、ひとつのメディアは消え去る。人間が増えない以上、パイは小さくなるばかりだ。言えることは、確実に「脳化」の深度が深まっていることだけである。
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