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素人だから言えることもある

不適切な発想

 柳沢厚労相の「女性は子供を産む機械」発言を聞いていて、変な言葉を思い出した。手塚治虫の「鉄腕アトム」の中にたびたび出てくる「ロボット(機械)だって人間だ」という言葉である。

 手塚治虫の作品は、差別の問題をはらむ作品が多い。鉄腕アトムは、人間の世界とロボットの間で苦悩する物語であり、「どろろ」にしても、化け物(いわゆる魔物の世界)と人間の間で苦悩する。

いまにして思えば、この「どろろ」という作品、テレビアニメになった40年前、一度しか放送されなかった。もちろん、モノクロからカラーになった端境期という意味もあるだろう。しかし、内容がお茶の間にはちょっとエグすぎた。どうにか、映画になって認められたのかと思うが、果たしてカラー化してテレビに戻るにはまだまだ「不適切」なのかもしれない。

さて「鉄腕アトム」である。実は、「ロボット法考察」というタイトルで考察したことがあり、「アトム今昔物語」(講談社)には「ロボット人権宣言」というものが載っている。

第一条「ロボットは人間を幸せにするために生まれてきたものである」

第二条「その目的にかなう限りすべてのロボットは自由であり自由で平等の生活を送る権利を持つ」(手塚治虫漫画全集「アトム今昔物語」講談社)

よく「不適切」な言葉が問題になるのは、そこに差別の問題が絡んでいるからだ。どうしてこの言葉が不適切かを説明しない限り、その言葉が差別をはらんでいることを見過ごしてしまう。言葉の言い換えは、結局差別があるのにそれに目隠しせよといっているに過ぎない。差別をなくすことには結びついていないのだ。

今まで、ロボットは人権問題と関係ないただの道具だった。しかし、その道具も自立性を持ち、自分の権利を意識してくると、人権を考えていかなければならなくなる。まあ、それはずっと先の話であるが。

さて、Vistaが発売された。Vistaは私たちに何を産んでくれる機械だろうか。
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