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素人だから言えることもある

メディアと沈黙の螺旋

 今度は「行列のできる法律相談所」(日本テレビ)で有名な丸山弁護士が東京都知事選に出馬するという(サンケイ新聞 )。宮城県元知事の浅野四郎氏に続いて、5人目の出馬だ。

 選挙では後出しじゃんけんが有効である。というのは、メディアは新鮮なものしか興味がないからだ。視聴者つまり、有権者はメディアを通して、候補者の人物を推測する。だが、メディアが見せているのはほんの一面である。直接であったこともないのに親近感が沸くのは、メディアの功罪である。

 さて、投票日直前に、突発的な出来事が起こって、今まで優勢な候補がガラッと崩れることがよくある。人は、自分の応援している候補が優勢だと喜ぶものだ。しかし、劣勢だと黙りがちになる。ここに、『沈黙の螺旋』といわれる構造がある。このことは「テレビ人間論」で紹介したが、少し詳しく見ていこう。

沈黙の螺旋」の構造とは

(1) 社会的存在として自分の意見の孤立を恐れる。

(2) 社会を観察し、自分の意見が優勢か否かを判断する。

(3) 自分の意見が優勢と判断した時には、自分の意見をよく表明する。劣勢と認識した時は、意見表明を差し控え「沈黙する」というものだ。(高尾建次著「沈黙の螺旋-成熟社会の広報戦略」TBSブリタニカ)

 今までこのような現象を「勝ち馬効果」と呼んでいた。この候補が勝ち馬だと思った候補に乗り換えることだからである。だが、「沈黙の螺旋」はこの勝ち馬効果より、沈黙のほうを重視する。沈黙=孤立で、人間はまず自分の立場が孤立してないかを判断し、孤立しているときは発言を控えたり、優勢なほうに乗り換えようとする。

 たとえば、学校で起こるいじめ問題がそうだ。いじめていなくても、孤立を恐れるあまり、いじめっ子に加担する。

そこにメディアが加わるとどうなるか。ちょっと最近の問題を取り上げてみる。

亀田問題 これは、「亀田はなぜ叩かれたか」 というタイトルでで書いたことがある。亀田とランダエタの対戦は判定がおかしいという意見と、こんなものじゃないかという意見があった。それがいつの間にか「絶対に変だ」ということになり、メディアの報道が増幅する。

生む機械発言 柳沢氏のこの発言は別に辞任まで追い込まれるものではないが、メディアがその後も発言に注目するものだから、何も発言できなくなる。

いじめられる側も変わらなくては これはNHKの「日本のこれから」の中での発言。いじめられる側が変わったところでいじめが減るわけではない。

安倍首相の従軍慰安婦問題 安倍首相が「事実はなかったんだろう」と発言したことが世界中に報道を通して広まった。このように、その事実があったかどうかにかかわりなく、メディアが増幅することで一方は優勢になり、一方は沈黙する。

 メディアは真実を報道するわけではない。どちらが優勢かを報道するだけである。したがってメディアは真実を隠し、真実を語るものが沈黙しているときは見過ごしてしまう危険を持っている。しかし、真実を知ってるものが語るには大変な勇気が必要なのも事実である。
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