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アメリカ国内の次世代DVDはもう終わってる?(ホームサーバの戦い・第4章)

アメリカでレコーダーが売れない理由

 日米のホームサーバの戦いを連載しているわけだが、アメリカ国内の事情を、日本国内からどれほど知ることができるのか、かつ正確に伝えることができるのか、はなはだ疑問であり、躊躇していた。そんな時、こんな情報があった。スラッシュ・ドット・ジャパンなぜアメリカではDVDレコーダーが売れないのか
 本家/.の記事より。ヨーロッパやアジアでは売り上げ好調のDVDレコーダーだが、なぜかアメリカでは売れ行きが鈍い。CNET News.comの記事によれば、その理由はケーブルテレビの浸透度の違いだと言う。
CNETの記事では日立の江幡誠氏の発言として、アメリカのようにケーブルテレビが普及している場合、視聴者は同じ番組が何度も放映されることを知っているので、わざわざ録画する必要がないという点を指摘している。また、すでにアメリカではTiVoが大きなシェアを握っているため、機能的にかぶる部分のあるDVDレコーダーがなかなか入っていけないようだ。

強力すぎるTiVo

 TiVoについては、It mediaに「DVRの“事実上の標準”になるか——全米を虜にした「TiVo」の秘密」として小寺信良氏が取材している。
 TiVo成功の秘密は、米国の放送事情と密接な関係がある。全米には地上波、ケーブル、衛星含めて18000にも上るチャンネルがあり、それぞれが独自の番組を作成し続けている。もはや視聴者が番組表の中から自力で何かを検索するのは不可能だ。それをTiVoがやってくれる。視聴者の“脳みそ”の代わりなのである。

 一方日本ではそれほどチャンネル数はないし、ほとんどのローカル局やケーブル局は、中央の番組を中継しているに過ぎない。従ってトータルのコンテンツ数は、米国とは比較にならない。必要性という意味では、まだ各メーカーやインフラ会社が独自に展開している番組情報サービスで間に合っている。だが将来的には、TiVoのようにメーカーや放送局をクロスオーバーしての番組情報サービスが必要とされる時も来るだろう。

 アメリカのチャンネル数の膨大な中から、選び取って保存していくシステムだという。そのシステムとは、
 TiVoマシンの動作は、日本のHDDレコーダーと似て非なる部分が多い。TiVoマシンの目的は、「ユーザーの好みに合う番組でHDDを常に一杯にしておくこと」である。従って一度電源を入れたら、OFFになることはない。電源ボタンがないのである。

 TiVoを購入したユーザーは、番組表で好きな番組の予約を入れる。TiVo用の番組表は、マシン背面にあるモデムポート、常時接続のインターネット、あるいはEPGで受信する。録画した番組を見てユーザーが気に入れば、サムズアップ(親指を上に向ける)ボタンを、気に入らなければサムズダウン(親指を下に向ける)ボタンを数回押して、番組を段階評価する。この評価によってTiVoは、そのユーザーの傾向を分析し、好きそうな番組を自動的に録画するようになる。

 どこかで聞いたことはないだろうか。そう、CoCoonの動作原理と同じなのである。実際にCoCoonは、TiVoのライセンスを受けて作られている。だからCoCoonの背面には、TiVoのロゴマークが付いているのだと言う。

 だがTiVoの番組録画システムは、これだけに留まらない。「Season Pass」という予約方式は、一度の予約操作である番組の1シーズンを全部録画してくれる機能だ。これは単なる「毎週録画」とはレベルが違う。例え野球延長で時間がずれても、放送時間や曜日が変わっても、執拗に番組を探し出し、自動録画してくれる。

 WishListは、ユーザーの細かい好みに対応する機能だ。例えば誰かがクリント・イーストウッドのファンだったとする。だがその中でも、西部劇にしか興味がないとする。するとクリント・イーストウッドのさらにサブカテゴリー、“Western”を選択しておけば、彼の西部劇だけしか録画しない。『スペースカウボーイ』や『ダーティハリー』は録画しないのである。

 これらの動作を可能にするベースは、TiVo社が供給する徹底した番組表だ。TiVoは1時間に数回といったペースで番組表をダウンロードし、イレギュラーに変更される放送スケジュールに追従するのである。

 コピーの問題はないだろうか。副社長は、こう答える。
「われわれはこう考えています。HDDは、番組をいつでも何度でも見るためのタイムシフト装置である。だからセキュリティが保証されていれば、家庭内で別のTiVoにコピーすることは許させると。コピーワンスのコンテンツは、その情報を保ったまま暗号化され、別のTiVoにトランスファーされます。TiVoのHDDは高度に暗号化されており、われわれはそのセキュリティに絶対の自信を持っています。ですが別のメディア、例えばPCのHDDやDVDなどにコピーするのは、許されるべきではないでしょう」
 つまり、複数のTiVo間のコピーは許されるといっている。現実に、圧倒的な浸透率を持っているTiVoならではの意見であり、現実に訴訟を仕掛けるものもいまい。日本では著作権法で私的複製の権利として認められている法律はアメリカではないが、フェアユースとして比較的弾力的に認められる。訴訟国家アメリカではの強気さがうらやましい。(参考エントリー肖像権とフェアユース)

アメリカはコピーフリーか

 「コピーワンス問題からほの見える日米のテレビと映画の立場」で指摘したように、アメリカでは
 実は米国を始め諸外国では地デジ放送にコピーガードなどはかけていない。ハリウッド映画も、ディズニー作品も放送局が放送すれば普通にパソコンで録画できる。(フリーライター・南部健司氏)
 そのことは、PC Watchの後藤貴子の米国ハイテク事情「ブロードキャストフラグ敗退。コピーフリーになった米DTV」にこうある。
 米国の地上波デジタルTV(DTV)が当面ずっとコピーフリーで行くことになった。違法コピー防止策「ブロードキャストフラグ」が、裁判所の判決により無効になったからだ。

 今現在、米国の地上波DTVには何のコピー防止もかかっていない。この7月から出荷するAV機器を全部「フラグ対応」にして防止するはずだったのだが、それがとりあえず消えてしまった。むろん、コピーした番組をネットに上げれば放送局などに訴えられるだろうが、アンテナから地上波DTVを受信する場合、個人でのデジタルコピーはし放題がしばらく続くことになる。B-CASカードやコピーワンスで固められた日本の地上波DTVとは方向が180度違うものとなった。

 これは2005年5月の記事である。ところが2006年1月になるとアナログ・ホール法案なるものが現れる。「アナログホールをふさいでブロードキャストフラグが敗者復活?」それによると、
米国の規制強化への動きは、日本のDTVの規制緩和への動きに影響する可能性がある。

 なぜなら、日本でDTVのコピー防止をゆるめようという提案が出た背景には、米国とのギャップがあったからだ。ユーザーの実際的な不便のほかに、「(ハリウッドのある)米国がコピーフリーなのに日本は……」という不公平感が日本の家電/PC業界関係者やユーザーの間で募り、総務省や放送業者に対する提案の動機と根拠の1つにつながった。

 ところがその米国で管理強化の方向が出てきた。しかも、DTCSA法案で使う予定の技術の1つは日本のコピーワンスで使われているのと同じ、CGMS-A(詳しくは後述)だ。そのうえ、法律と政府機関による規制という、どちらかというと“日本的”な規制パターンなのだから、これは日本の管理強化派を勇気づけることにつながりかねない。

 現在、この法律がどうなっているかわからないが、アメリカのデジタル機器は、日本と違って、HDMIが標準装備であり、アナログ端子であるD端子でハイビジョンを見るということができない。
次世代DVDと日米のテレビ事情

D端子はD1からD5まで解像度にあわせた規格があり、日本では大々的に普及したのだが、アメリカでは、代わりにデジタルのHDMIが普及している。それが今回の話題の中心。従来、アナログ信号用のコピープロテクションにはマクロビジョンという技術が広く使われ、セルビデオのコピー防止に一役買って来た。が、この技術はSDのみでHDには対応していない。となると、HDのアナログ出力を許すと、簡単にコピーされてしまう可能性がある。

そこで、ハリウッドの映画会社は次世代DVDなどが採用する著作権保護技術AACSで、HDのアナログ出力を禁止しようとした。が、そこで困るのは、日本などすでにアナログHDインターフェースが普及してしまった国。高い金出して買ったHD対応テレビでHDパッケージが見れないなんて詐欺みたいなもの。かといって、TVメーカー側に、後から出来た規格のための責任を要求するのもお門違い。TVメーカー側に出来るのは、アナログHD出力制限を何としても阻止すること。一方、アメリカでは、アナログHD出力は普及していないので問題は起こらない。となると予想されるのは日本の家電業界とアメリカの映画業界の間のすったもんだ・・・

 もっともそのコピープロテクトが破られれば、いたちごっこが始まるわけだが、ともかく、アメリカの現在のテレビ生活はどうなっているんだろう。

あるアメリカの主婦のテレビの一日

パラダイス鎖国」の言葉で有名なシリコン・バレー在住の海部美知さんのブログ「Tech Mom from Silicon Valley」から「ネット・テレビ Hulu.comを試してみた」を読んでみよう。
NBCのドラマ「Heroes」を見ている。例の、日本人俳優マシ・オカが出ているやつである。連続ドラマを毎週一回、決まった時間にきちんと見るということは私には不可能なので、昨年からの第一シーズン分は、NetflixとiTunesのダウンロードの組み合わせで見た。特にこのドラマは、登場人物が多くて話が複雑で、順番に見ていかないとワケがわからない。で、9月から始まった第二シーズンは、最初の2回まではなんとか、放送しているものをTiVo(DVR)で録画して見たが、そのあと仕事が忙しくなり、1ヶ月ほど間が空いてしまった。気がつくと、我が家のTiVoでは亭主がやたらいっぱい録画しているスポーツ番組が優先され、最後の1回分ぐらいしか残っていない。

NBCのウェブサイトで新しいエピソードがストリームで見られるので、それでいいやと思ってまたしばらく放っておいたら、抜けた分の最初のほうはもう見られなくなっている。iTunesも、NBCとアップルがケンカしたおかげで、新シーズンの番組はラインアップされない。くそぉっ、NBCめ!!この不便さ、まるで日本のテレビぢゃないか!!となると、シーズンが全部終ってDVDが出るまで待たないといけないか・・?冗談じゃない。YouTubeで見ちゃうぞ!でも、YouTubeだと画面きたないし・・・

・・と、調べてみると、NBCとNews(FOX)の合弁でやっている、Hulu.comがあった。でも、まだベータなので招待オンリー。2週間ほど前にサイトで登録して、すっかり忘れていたら、一昨日ベータご招待が来た。(日本から使えるかどうかは不明。なんか、ダメそうな気がする。)


ほくほくして、早速、昨夜試してみた。ちなみに、我が家のネット環境は、ケーブル・ブロードバンド+WiFi。固定イーサーもあるので、本当はそっちのほうがクオリティがいいのだろうが、つなぐのがめんどくさいので、とりあえずこのまま。

サイトはきれいに作ってあるが、スカスカしていてちょっとまだ、いかにも「ベータ」っぽい。見たい番組が決まっている場合はサーチすればいいが、ブラウズするのがちょっとやりづらそう。番組数はけっこう多く、100ぐらいはありそう。「24」などの人気番組のほか、昔の「コジャック」とか、映画「サイドウェイズ」などもあって、見たいものがワリとたくさんある。で、「Heroes」をサーチして見る。

サイトの中の一部にストリームで見られるようになっていて、テレビ画面の下には、前や次のエピソードのサムネイルが並んでいる。カーソルを画面に載せると、「フル画面」「友達に送る」など、いくつかの付加機能ボタンが両側に表示される。でも、「フル画面」にしたら、CMになったとたん、画面がブラックアウトして元に戻らなくなった。このあたりは、固定イーサーでつなげば解決すると思うが、この種のものは素人さんが相手なので、まだ改良の余地あり。でも、ウェブ画面で見ている限りは、映像はスムーズでストレスはない。見終わると、YouTubeと同じように、「オススメ」のサムネイルが表示される。

さて、問題のCMは、テレビ放送と同じタイミングで15分ごとにはいる。一回のエピソードにはスポンサーが一つだけ。番組の最初に「この番組は、この会社の提供で限られたCMでお送りします」というメッセージが出て、最初15分目のCMが30秒、その後の繰り返し分は短くなる場合と同じ30秒の場合があった。同じエピソードでも、途中でやめてもう一回最初からやり直したりすると、別のスポンサーが出る。固定的についているわけじゃないので、公開間近の映画の宣伝や期間限定キャンペーンなどによさそう。日産自動車ベライゾン・ワイヤレス、映画「ナショナル・トレジャー」、謎のスタミナドリンク・・・などがスポンサーとして出てきた。CMは繰り返し分が短いほうがいい。ベライゾンは全部30秒のものが流れたが、全く同じCMを延々4回見せられるとさすがにイヤになる。もちろん、この種のストリーミングに共通なように、CM早送りはできない。

私は、テレビドラマでもDVDで見るのに慣れているので、テレビを録画して途中CMが長くはいるのが面倒でたまらない。それも、やたら長い。DVDで先送りする操作も面倒。なので、CMひとつだけ、というのはありがたい。特に、繰り返し分が短いCMは、結構いい。

以前試したJoostは、ネット環境のせいか、私のパソコンのスペックが足りないせいか、うまく動かなくて、一度でやめてしまった。そういえば、最近Joostの話をあまり聞かないけれど、どうしてるのかな???で、Huluに関していえば、まだ改良の余地はあるけれど、少なくともYouTubeで細切れ・低画質で見ているより、ずっとよい。

とにかく、いつでも見られるというのはありがたい。事前にセットアップする必要もない。一方、iTunesで映像をダウンロードすると、パソコンのハードディスクがすぐにいっぱいになってしまう。どうせそんなに何回も見ないのだから、こうやってストリームで見られるのはとてもよい。このぐらいのCMだったら、無料でストリームで見られる代償としては、それほど気にならない。

 まあ、こんな感じ。海部美知さん、CNET Japanを読んでいるそうなので、長々と引用してごめんなさい。何か、コメントあったらお願いします。ともかく、日本とアメリカのテレビ事情が全く違うのを紹介したかったので。

 この中で、アップルのコンテンツ配信が始まると果たして、次世代ディスクが立ち入る隙があるだろうか。
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