夢幻∞大のドリーミングメディア

素人だから言えることもある

選手を追い詰めるのは誰だ

アメリカメディアの意向

 北島康介選手が金メダルを取った。しかし、決勝が北京時間の午前中だったのはなぜか。そして、バレーボール中継がいつも深夜なのはなぜか。
YAHOO知恵袋

質問 水泳の北島選手が「明日の準決勝は午前中なので…」とインタビューに答えていたのですが、午前と午後ではタイムが違ったりするのでしょうか???

回答 通常、競泳の決勝は夕方など午後がほとんどですし、みな小学生の頃などからずっと学校が終わってから、スイミングクラブに練習に行くので練習も夜に行うのがほとんどです。それに朝は体が動きにくいので午後の方が慣れているしタイムも出やすいです。

今回はアメリカメディアが高いお金を払ってアメリカのゴールデンタイムに合わせた為に決勝が午前となりました。

YAHOO知恵袋


質問 北京オリンピック女子バレー、日本対アメリカ試合開始時間がなぜあんなに遅いのですか?

回答 日本にとっては夜遅くの午後11時でしたね。しかし、アメリカにとっては朝早すぎるのです。

ニューヨーク州では朝の9時、カリフォルニア州にとっては朝の6時です。

アメリカの放送局では、もっと遅い方が視聴率も良くなるでしょう。

しかし、1時間遅くなると、日本では深夜0時となって視聴率はメチャクチャ悪くなるでしょう。試合をする国の時差を考慮に入れて、日程が組まれているということです。

 どうやら、この時間調整は、アメリカメディアの意向のようだ。特に、アメリカの視聴者が一番関心を持っているスポーツ、一番視聴率の取れるスポーツが関係しているようだ。
フェルプス8冠へいきなり五輪新/競泳 (サンケイスポーツ8/10)

400個混決勝は、10日午前。今大会の決勝レースが午前開催となったのも、フェルプス効果だ。約1000億円で放送権料を買った米テレビ局のNBCが、米国時間のゴールデンタイムに決勝を放送できるよう競技スケジュールを昼夜逆転にしてしまった。

 「最初のレースが終わってホッとしている」という怪物が夢の8冠へ−。全米、いや全世界の期待に応えてみせる。

このNBC、インターネットでも放映権を持っている。
 「五輪漬け」の中継だが、あくまでもテレビ放送が優先される。インターネットで生中継送信されるのはテレビ放送されない競技だけで、それ以外はテレビ放送後に初めてインターネットに解禁される。競技結果はすでにニュースで伝えられるため、「独占的な立場を利用しての情報操作」という陰口もきかれる。NBCユニバーサルは、半日遅れの開会式が放送される前に、動画投稿サイト数社に関係映像の取り下げを緊急要請したという。


 五輪映像を威信をかけて守るのは「金をかけて買った金のなる木」だからだ。今回の放映権だけで8億9400万ドルで、制作費は推定1億2500万ドルだが、広告収入はアテネ大会の10億ドルを超えることは確実視されている。NBCの親会社の電機大手ゼネラル・エレクトリック(GE)も中国ビジネス拡大に今回の五輪を利用する方針で、グループ全体での五輪効果が期待されている。(【さきどりニューヨーク】独占放映権握る米NBC)

この8億9400万ドルの権力は絶大のようだ。たとえば、2006年のブログにこんなことが書かれていた。
五輪中継でテレビが大もめ(まっちゃんのスポーツピックアップ2006年11月 6日 (月) )

北京五輪の中継についてもめてるようです。

アメリカの放送局NBCが、いくつかの競技をアメリカ時間に合わせて決勝を行ってくれ、と要望を出したのが発端です。

IOCは当初、話し合いの結果により、水泳の決勝、および、体操の団体、個人総合の決勝を、北京時間の午前中に行う、としました。

競技団体、特に国際水連は、抗議などしなかったようです。

この決定に対して、まずヨーロッパのテレビ局が噛み付きましたが、11月1日の段階で、ヨーロッパからの抗議は却下されました。

そして、6日になって今度はNHKを筆頭としたアジアの抗議です。はっきり行って反応が遅すぎて、おそらく却下なのでしょう。

そもそも、選手の万全の体調を考えれば、午前決勝はありえないのですが、そんな議論も、スポンサー(最も金を出しているNBC)の意向には逆らえないということのようです。

NBCはテレビとインターネットを使って確実に視聴率を高めようとしている。
北京五輪の米インターネット視聴者、アテネの7倍に  (variety japan8/15)

 北京オリンピックの開幕から5日間に、米国でインターネット配信を利用してオリンピックを視聴した人の数が、1770万人に到達したことが明らかになった。北京五輪の独占放送権を握る米NBCが発表したもので、2004年のアテネ五輪では17日間の開催期間中にストリーミング視聴を利用した人が220万人だったことから、わずか5日間で前回よりも705%のアップを記録している。

(中略)

 ただし、あるスポーツ局の元重役によれば、NBCは注目の競技に関しては生放送のストリーミング配信を行っていないと指摘する。「テレビの視聴者を確保するための作戦ですよ」

 ちなみにストリーミング配信でもっとも人気があったのは、男子競泳の400メートルリレー。同種目で金メダルを獲得したマイケル・フェルプスは史上最強のスイマーとの呼び声が高く、フェルプスの出ている競技は軒並み人気が高い。

 オリンピックが世界に放映されるとき、どうしてもゴールデンタイムに生中継できないところが出てくる。そうなると、放送料の金額が高い順番になることが選手生命を縮める結果になるのではないだろうか。

2006年ワールドカップに何が起きたか

 オリンピックのときばかりではない。2006年のワールドカップ・サッカー日本・クロアチア戦で0対0で引き分けになった。ジーコ監督がインタビューにこんなことを語った。
ジーコ監督(日本) 

「負けたら終わりという難しい状況での試合になったが、引き分けという結果になった。簡単なパスミスもあり、クロアチアに反撃されてしまった。ボールコントロールがあまりよくなかった。ただ、選手はよくやったと思う。敬意を表したい。

15時からの試合が2試合続いた。誰もが動けなくなるほど暑いなかでの試合だ。サッカーはビジネスの側面が大きくなってきている。それによって選手が犠牲になっている部分もあると思う。30度という暑さのなかでの試合。選手は暑さにやられた部分もある。(YAHOOスポーツ6/19)

この「サッカーはビジネスの側面が大きくなってきている」とは何か?

ジャーナリストの神保哲生氏のブログでは

 ワールドカップ、クロアチア戦の直後の共同インタビューでジーコが、「2試合連続で炎天下での試合になったのは、日本にとっては厳しい条件となった。しかし、テレビがそれを望んでいる以上仕方がない。」と語っていましたが、なぜか日本の通訳(テレビ朝日)はその部分だけ訳しませんでした
しかし、テレビがそれを望んでいる以上仕方がない。」を「ビジネスの側面」と記事では言い換えているのである。
天漢日乗というブログでは「W杯 クロアチア対日本 0-0 日本苦戦の戦犯は電通か?」とのタイトルで
試合後のジーコは怒っていた。

 こんな暑い中試合をするなんて。テレビ局の都合だが。ピッチの上は35度を軽く越えていたはずだ。恐ろしいことに グループFのすべての試合で、現地15:00開始という酷暑の試合は二試合だけで、かつ その二試合はすべて日本戦なのである。意図的なものを感じる。テレビ局の都合。日本国内の放映権を持っているのは電通である。

(中略)噂では、日本の視聴率が上がる時間に合わせて、現地ドイツでは酷暑で試合が行われるはずのない時間帯に、日本の2試合をごり押ししたのは電通と言われている。なぜ日本の広告会社にそんなことが可能なのか。

 電通は、日本・東アジア・東南アジア・オセアニアのスポンサー権の販売も手がけている(欧米でも協力はする)からだ。

 なるほど、アメリカでは放送局、日本では広告代理店・電通の意向が絡んでいるとしたら、結局、選手生命は彼らが握っているということになる。NBCにくらべて電通が表面に出ないのは、日本のマスメディアがもうひとつ明確にならない点である。スポーツ選手にとって、視聴者の意向が握っているのは仕方がない。しかし、本当は、媒体側が握っているとしたら、選手にとってはあまり望まれることではない。
ブログパーツ