夢幻∞大のドリーミングメディア

素人だから言えることもある

テロとリセット

 「テロリズムと神、幕僚長の奇妙な思想」の最後に

人を裁くために、宗教や過去の都合のよい事実を並べ立て、一気に殲滅してしまおうとする「何でこんなになっちゃった」=現代社会はもうだめだから破壊して、新しい自分に都合よい社会を作ろうというテロリズムの論理と、「それでも生きていかなければ」=確かに世の中には悪いことが一杯あるけど、少しずつでもよくしていこうという守る側の論理がある。
と述べたが、前半の「何でこんなになっちゃった」の論理は、「現状否定派」、「それでも生きていかなければ」の論理は、「現状肯定派」と呼ぶこともできる。「現状否定派」は、先行きの不安にさいなまれて、こんな社会はいやだとばかりに、「誰でもよかった」事件のように無差別犯罪に走ったり、こんな人生はリセットしたいと自殺したりする。最近のように、派遣社員の首切りが日常化すると、明日の仕事が当てにならず、「現状否定派」が増えていくのではないだろうか。ただ、「ショートカットな人生、ショートカットな社会」で引用した
「生きることに最大の関心を向ける、経済的困窮度があまりに高い国では自殺率は低い。経済発展途上の、チャンスに満ちた国も然り。経済的豊かさを一度体験した後、深刻な不況や失業の渦中に身を投じ、富裕層の生活を見ることを通じて、『自分は疎外されたと絶望感を抱く』人が増えると自殺率は急上昇する」と記している。(なぜ自殺者は増え続けるのか━雇用不安と窮乏感の病理 14年後の日本考(2))
社会学者の説で見るように、経済格差が如実に現れた日本社会では、中東のようなテロ率より、自殺率が急増するかもしれない。しかし、それではあまりにも自分の人生を否定しすぎではないか。

 「現状否定派」は、結局、「日本人はテレビを捨てられるか」で引用した「日本沈没」の

辛酸にうちのめされて、過去の栄光にしがみついたり、失われたものに対する郷愁におぼれたり、わが身の不運を嘆いたり、世界の“冷たさ”に対する愚癡や呪詛ばかり次の世代に残す、つまらん民族になりさがるか……。」(小松左京著「日本沈没・下」光文社文庫)
もちろん、テロや自殺は極端な形であるにしても、嘆きや愚痴で不満の人生を送らない「現状肯定派」でがんばり続けたい。
ブログパーツ