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素人だから言えることもある

小泉の呪い・2(またはワイドショー化する日本・2)

また、小泉元首相が吠えた。(このエントリーは小泉の呪いワイドショー化する日本の続編である。)

 12日に開かれた「郵政民営化を堅持し推進する集い」での小泉純一郎元首相の発言要旨は次の通り。

 わたしは最近の麻生太郎首相の発言について、怒るというよりも笑っちゃうくらい、ただただあきれているところだ。一昨日も、首相から話がしたいと電話でお話ししたが、その時に、たまたま小野次郎衆院議員のブログと言うんですか、「総理それはないでしょ」というのを読んでいた。もう一つね、世耕弘成参院議員の「それを言っちゃあおしめえよ」。だからね、首相にこういう意見が耳に入ってないと思うから、官邸に、「この小野次郎さんの文章と、世耕さんの文章をファクスで送るからよく読んでおいてくれ」と言っておきました。

 だいたい、首相の方針とか、執行部の方針に批判的な意見を若手が出すと、執行部から「後ろから鉄砲撃つな」と押さえ込みにかかるが、最近の状況は、首相が前から、これから戦おうという人に鉄砲を撃っているんじゃないかと。発言は気を付けてとよく言っておいた。

 わたしについても、(首相が)常識の通じない男だとかね、奇人変人とか言っているようだが、わたしは自分では常識をわきまえている普通の人だと思っている。これから、選挙を戦わなければならない。自民党がどうなるか、みんな心配している。わたしも、たまには非常識なこともするかもしれないが、だいたい政治においては常識的な、「あ、そういうもんか」というところに持っていくために、よく各政党と話し合うことが必要だと思う。

 現在、ねじれ国会と言っているが、これは決してそんなに悪いことじゃない。これからも衆院の多数意見と、参院の多数意見が違う場合があるかもしれない。そういうことを考えると、今、政局より政策優先だという国民の声が強いから、衆院の意見、参院の意見が違ったら、どういう政策ならば、対策ならば、国民が満足(するのか)。納得できるような案をよく協議してもいいのじゃないかとわたしは思っている。

 定額給付金についても、首相が「さもしい」と、また「自分はもらわない」と、「いやそんなことは言ってない」とか、いろいろ言っているが、この問題についても、わたしは本当に、3分の2を使ってでも成立させなきゃならない法案だとは思ってないんです。

 もうわたしは引退表明してますけどね、あんまり多くのことは言いませんけども、「あの時賛成したが、実はそうではなかったんだ」とは言いたくないから、定額給付金についてはもっと参院の意見を聞いて調整して、妥当な結論を出してほしいなと思っている。

 これから皆さんは選挙を戦わなきゃならないし、国民に理解を求めなきゃならない大事な時期だ。ぜひとも、9月までには国民の信を問わないとならないんですから、特に首相の発言が、信頼がなきゃ選挙は戦えないんだから、信頼が大事だということを肝に銘じていただいて、何とかこの難局を乗り越えるよう、皆さんとともにいい知恵を出していきたいと思う。(時事ドットコム:小泉元首相発言要旨

 そこで、小泉元首相の送ったというブログのFAXの文章を並べてみる。
「まさか!」5日夜、自宅でニュースを見ていて、飛び上るほど驚いた。衆議院予算委員会での麻生総理と民主党議員とのやり取りである。郵政民営化決定当時の総務大臣が、「オレは、民営化に反対だったから、民営化担当からはずされていたことだけは記憶に留めて欲しい」と、質問者に懇願している。

見たくないものを見てしまった気がする。郵政民営化が争点となった2005年の解散・総選挙の後、現在に至るまで、総理は三人代わった。しかし、これらの政権を選び出した権力の母体は、常に前回総選挙で与党が得た国民からの大きな支持にある。そして三回の総裁選挙に毎回出馬して、やっと誕生したのが現総理である。その間、いずれの機会にも、今日の発言内容を公然と訴えかけた形跡はない。

党内の総裁選挙で一国の総理を交代・選任する以上、総理総裁に選ばれる資格として、総選挙での与党に対する国民の支持を継承する者であることが前提である。このことをご本人はご理解できているのだろうか?

一般の国会議員の場合なら、今日の発言も、「内心の表明=独り言」位の説明で通るかもしれない。しかし、民営化の検討段階から常に深く関与し、三度の総裁選出馬を経て一国の総理総裁にまで上り詰めた方の言動である。わずか4年前の国策の決定に関して、今になって、「実は反対だった」と言い始めたのだ。これから国民が、為政者の言動を信じることは一層難しくなるだろう。

衆議院議員が国民の審判を受ける次期総選挙も、確実に数カ月以内に迫っている。政治的リーダーに対する信頼がくずれるなか、「党」という看板に頼って多くの有権者の信頼を繋ぎとめることは難しい。結局、個々の政治家が自己の政治的信念と国家の危機に挑む決意について、有権者の信頼を得られるかどうかに係っている。

その意味で、国家の重要な課題に対しては、これからも、自分の立場を率直に明らかにしようと思う。(ジローのおしゃべりサロン総理それはないでしょう)

次に世耕弘成議員のブログ。
 子供の頃の我が家族の恒例行事の中に毎年夏休みと冬休みに映画館に出かけ「男はつらいよ」を観るというものがあった。今、車寅次郎のあの決め台詞を思いっきり叫びたい心境だ。

 それを言っちゃーお仕舞ぇよ!!

 2005年7月。私は参議院の郵政民営化特別委員会の理事を務めた。郵政民営化こそが改革の本丸と意気込む小泉純一郎総理を支持する立場で郵政民営化法案の成立のため1ヶ月近く国会内を走り回って反対派の説得などにあたった。その過程でそれまで非常に仲が良かったにもかかわらず、絶縁状態になってしまった議員も複数いる。地元和歌山でも初当選以来熱心に応援してくださった多数の郵便局関係者とは、郵政民営化が原因で今なお没交渉となっている。他の多くの議員と同様、いろいろな人間関係に悩み、しがらみを乗り越えて、苦しく、嫌な思いもしながら、しかし政治家として決断して郵政民営化に賛成してきたのである。

 「実は反対でした」などとは口が裂けても言えない。「委員会の理事は議事進行が役割で法案の中身には関与していませんでした」とも絶対に言えない。それこそが政治家の「矜恃」というものだろう。(2月8日雑感世耕日記)

 小泉元首相としては、首相まで成った立場の者が、いまさら実は反対でしたなんていうのはないだろうということである。「あの時賛成したが、実はそうではなかったんだ」という言葉をわざわざ定額給付金問題に絡めたのは、麻生首相にNOを突き付けたのだ。まるでブレまくっている麻生首相に対して、私が水戸黄門だといわんばかりに印籠を突き出しているように見える。

 僕は、小泉の呪いでこう書いた。

小泉氏のような主流派でない人間にとって有権者を味方につける唯一の方法である。テレビを通して、わかりやすい言葉で国民に呼びかけるという方法しか選挙に勝てる方法がなかったのだ。
 麻生氏と小泉氏の違いは、麻生首相が安倍元首相や福田元首相と同じような自民党内の仲間を集めて派閥を組む調整型の政治家か、 小泉氏のように直接、国民に訴える脱調整型の政治家であるかだ。本来なら、調整型の政治家は、ほとんど本音を語らない。ところが、麻生氏はべらんめい調で結構、本音を語る。だが、このタイプは、脱調整型の政治家であるべきなのに、なぜか、小泉氏の選挙で3/2をとり、その尻馬に乗ってしまった。そこで、本来の本音がぼろぼろ出るためにひどくブレているように見える。その点では、小泉氏以降の脱落した首相たちと同じく、小泉改革を維持するのにひどく苦労しているのだ。

 さて、ワイドショーの発想から見れば、政治をより面白くするために小泉元首相がわざわざ登場してきたのだともとれるのだ。麻生首相が低調になってきたので、カンフル剤をうつために誰かが小泉復活をしくんだ。本来だったら、「わかりにくい麻生」VS「わかりやすい小沢」だったはずなのに、民主の小沢は未だに国民から「何を考えているかわからない小沢」である。そこで、「わかりにくい麻生」と「わかりやすい小泉」を対比して出してきたのである。だが、このままでは「小泉復活論」が登場してしまう。そこで、引退表明している小泉氏ではなく、次に来るのは誰か。まさか、小池百合子衆議院議員でなくて、このブログの小野次郎衆院議員か世耕弘成参院議員だったりして。
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