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素人だから言えることもある

人はなぜ、ダークサイドに惹かれてしまうのか・6

聖なるものとは何か

 映画「スター・ウォーズ」とゲーム「ファイナルファンタジー7」の世界を通して、現代社会のダークサイドを探っているが、僕は「人はなぜ、ダークサイドに惹かれてしまうのか・2 」で、聖職者のことを取り上げたが、ゲームや映画では、聖なるものはたびたび登場するのに、現実社会では、彼らの姿がなかなか見えない。

 そもそも「聖職者」とは何であるか。たとえば、教師。生徒の前では、公平に扱い、その生徒の向かうべき方向を指し示す。たとえば、裁判官。弁護と検察の間の弁論を聞き、どちらが真実に近いかを判断する。たとえば、医師。患者の病状を的確に判断し、その治療法を施す。たとえば、宗教者。信者の悩みを聞いて、その信者の真の心の闇を明らかにする。いずれもが、他人に対し、中立の立場に立ち、あるべき方向を示す点では「指導者」とも言い換えることができる現代社会では、その「指導者」が見えず、お互いを疑いあう世の中、まさに暗黒世界になってしまっている。

 また、僕は「先のことを考えられない人たち」でも、

考える人とは、空間的に全体を客観的に捉え、時間的にも将来への展望を持ち、それに沿った行動に責任を取る。ところが、考えない人はいずれもが欠けている。
(1) 自分勝手の論理(客観性の喪失)
(2) 明日のことを考えない(展望の喪失)
(3) 自分が何をしなければならないのかを考えない(責任の喪失)
と書いたが、この「指導者」の要件もまた「考える人とは、空間的に全体を客観的に捉え、時間的にも将来への展望を持ち、それに沿った行動に責任を取る」ことなのである。

古代種の知識とグーグル

 「ファイナルファンタジー7」では「ライフストリーム」という言葉が出てくる。
 ライフストリーム—それは星をめぐる命の流れ。星と、星に生きるすべての命の源です。
 神羅カンパニーは、ライフストリームを資源として使う方法を見つけました。そのおかげで、私たちの生活はとても豊かになりました。でも、それは星の命を削ること—そう考える人も大勢いました。神羅は、自分たちに反対する人々を力で抑えようとしました。(スタジオベントスタッフ編「ファイナルファンタジーVII 10thアニバーサリー アルティマニアスクウェアエニックス) (セフィロス=ダース・ベイダー論)
 ここまで読むと、なんだか「石油資源」のような環境問題のようにも思えてくる。ところが、同時に「古代種の知識」というものが出てくる。
 本作の世界には、あらゆる生物が死によって星の中心に還るときに、持っていた知識やエネルギーが蓄えられ(このエネルギーを精神エネルギーと呼ぶ)、世界全体が栄え再び新しい命を生み出す源となっている、という死生観が存在する。

なおこのような死生観はIXやXにも見られる(後述するが、この死生観の共通点はVIIとX系列のつながりの根拠ともされている)。この蓄えられた知識とエネルギーは常にあらゆる方向に流れており、この流れはライフストリームと呼ばれている

 神羅カンパニーは精神エネルギーを魔晄(まこう)と名付け、星の中心からこれを汲み取り、それを魔晄炉と呼ばれる施設で電力などとして都市に供給し人々の生活を豊かにしている。

しかし神羅が魔晄と呼んでいる精神エネルギーの源はライフストリームであり、そこに蓄えられたエネルギーを横取りする形になるため魔晄炉を中心に土地がやせていくことになる。後述する「星命学」はこの点から神羅の活動を批判している。(ファイナルファンタジー7 goo-Wikipedia記事検索

 つまり、ライフストリームとは、単なる資源問題ではなく、古代から続くあらゆる知識が埋蔵されていることになる。神羅カンパニーは独占的にこの知識を一括管理することで、利益を得る。この知識を関するということで思い出されるのはグーグルのことである。僕は、「ダークサイドに堕ちているのはグーグルか、マイクロソフトか。」で、
 世界中すべての情報を検索可能にし、指先一つで呼び出せるようにする——。そんな壮大な目標に突き進んでいるのがグーグルだ。その舵(かじ)を取る。
 インターネット上の文字や画像はもちろん、世界中の地図や航空・衛星写真を閲覧できる。まだごく一部だが、月や火星の表面写真も見られる。今や世界中の人が、グーグル経由で情報にアクセスする。いわば、グーグルを通して世界を見ている。 (人びとが世界を見る「目に」グーグルCEOエリック・シュミットさん(52歳)
 知識を管理することができるのは、「指導者」だけである。そしてその指導者は、人々から尊敬され、信頼されることが必要である。グーグルは世界の「指導者」になりたいのだろうか。グーグルはマイクロソフトを批判して「グーグルは邪悪にならない」と言っているのだが、それだけでは「指導者」の要件を満たしたことにはならない。グーグルは神羅カンパニーとどう違うのかを証明しなければならないのだ。


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