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素人だから言えることもある

魔法の杖と携帯端末(ホームサーバの戦い・第31章)

モーションコントローラは魔法の杖

 モーション・コントローラ(カメラ)戦争(ホームサーバの戦い・第28章)でとりあげた、「PSMC(プレイステーションモーションコントローラ)」のYouTubeを見ていて、何かに似ているなと思った。7月にも上映される「ハリー・ポッター」シリーズの魔法の杖である。昔ながらの魔女が使う長い杖ではなく、ハリー・ポッターが使う短い棒のことだ。Wiiのリモコンなどもそうだ。さしづめ、マイクロソフトの「Project Natal」などは、杖を使わないので、アクションによる「呪文」とでも言うのか。

 このようにインターフェースが変わると、今まで、ひとつのイメージに固まった客層を広げることができる。たとえば、あの小さなキーボードが苦手な層に、iPhoneが取り込んだように。そして、追われる側になったWiiが広げたブルーオーシャン(Wiiの成功と限界参照)は、今、急速にレッド・オーシャンになりつつある。

ソニーとマイクロソフトがモーションコントロールを導入したことに関しては、こうした事態を既に予測しており、ブルーオーシャン(競争者のいない市場)ではなくなりつつあるという見解を表明。新たな方向性のゲーム機を作るか、Wiiの高機能版を作るかは未だ調査中であるといいます。(任天堂、既に完成していた新・携帯ゲーム機を凍結−岩田社長自らが明かす)

電話の再発明とゲームの再発明

 そういえば、iPhoneを発表したスティーブ・ジョブズ氏は、iPhoneを電話の再発明と呼んだ。
 Jobs氏は「BlackBerry」や「Tero」に代表される現在の「スマートフォン」をこう批判する。「これらはスマートではないし,使うのが簡単でもない」。特にJobs氏は,スマートフォンの多くがフル・キーボードを搭載し,操作にスタイラス・ペンを使用することを批判し,「キーボードとコントローラでは何も変わらない」と主張する。

 それに対してiPhoneは「電話に革新的な新しいユーザー・インタフェース」を提供する」(Jobs氏)という。「われわれは20年前(Macintoshを発表した1984年)に,どのような用途にも使える新しいユーザー・インタフェースと,新しいポインティング・デバイスとしてのマウスをリリースした。現在のスマートフォンのようなスタイラスは誰も使いたがらない。iPhoneは生まれたときから誰でも持っているデバイス,つまり指を使う」。 (「電話を再発明する」---Jobs氏がMac OS X搭載の携帯電話機を発表)

なぜかマイクロソフトの「Project Natal」のコメントにも似たようなものがあった。
 「我々は、モーションコントローラを付け加えることができるかとよく聞かれる。もちろんできる。コントローラは進化し続けて、ギターや杖やヌンチャクまで登場した。それでも、多くの人にとって、(ゲームをプレイできない)バリアはコントローラだ。コントローラは、ゲームプレーヤーと他の人々を隔ててしまう」。
 「そこで、ユーザー自身をコントローラにできるか考えてみた。答えはイエスだ」。
(後藤弘茂のWeekly海外ニュースXbox 360のマンマシンインターフェイスは根本改革へ)

iPhoneは携帯電話の方向性を変えた。Wiiに続き、マイクロソフトは、ゲームの方向性を変えようとしている。不思議なことに、同じような発想で。しかし、そのことは、今までのコントローラに馴れた人たちを切り捨てることではないのか。コントローラが変わるたびに新たな名人が生まれた。格闘ゲームがやたら難しくなったように。今度はハリー・ポッターのようにホグワーツ魔法の杖学校ができるんだろうな、きっと。そして不器用な人間はここでも落とされる。

iPhone vs PSP go vs Zune HD

 ホームサーバの戦いでこれから熾烈に成っていくのが携帯ダウンロード端末である。iPhone3GSは、ますます早くなり、いよいよ使い勝手がよくなる。PSP goはまだ、海のものとも山のものともわからないが、おそらくPSPが普及していない海外を狙っているのだろう。日本では、まだノンゲームには力を入れていないが、アメリカやヨーロッパでは、すでにPS3はノンゲーム(映画・テレビ番組)中心にホームサーバが始まっている。GAME SPOT JAPANでは、こんな記事があった。
家庭用ゲーム機を使ったテレビでの動画視聴が今後数年間で急増--米調査

急成長の中心になるのは、Netflixのストリーミングサービスを提供するXbox 360や、ブラウザやYouTubeが利用できるLAYSTATION 3などの家庭用ゲーム機になるという。In-Statは、25〜34歳までの米国の家庭用ゲーム機所有者のうち29%が、現在所有するゲーム機をインターネットからのビデオストリーミングの視聴に使っていることを明らかにした。同社は、2013年には1070万台の家庭用ゲーム機が、ウェブ上の動画をテレビにダウンロードするようになると予想している。In-Statは、デジタルメディアアダプター(DMA)、Blu-rayプレーヤー、HDTV、メディアセンターPC、有料テレビのためのセットトップボックスなどのデバイスに対し、家庭用ゲーム機はその年まで優勢を保つと考えている

 さまざまなホームサーバ機器がうごめく中、アメリカではゲーム機を使ったダウンロードがトップになるという。そこで、なぜ携帯ダウンロード端末が必要になってくるのか。それは、FF7がメディアを動かす(ホームサーバの戦い・第27章)で述べたセカンドセッションが主流になってくることが予想されるからだ。
セカンドセッションとは、通常、映画を楽しむ場とは別のところで楽しんでもらうことを意味している。(本田雅一のTV Style:ダウンロード配信、IT業界と映画業界の隔たり(2))
 そして、この章ではすでに、WiiやPS3からDS・PSPに転送が可能なことに触れている。ただ、タイトルにDSを載せなかったのは、将来はともかく現在は、非HDだからだ。さて、ソニーのストリンガー会長はこんなことを言っている。
>米AppleSTBApple TV」とiTunesを活用した映画のレンタルサービスを展開している。だがハワード・ストリンガー会長兼CEOは「AppleSTBを売らなければならないが、われわれには1000万台以上のインストールベースがある」と自信を見せた。(PS3を生活の一部に──新サービス「Life with PlayStation」)(いよいよPS3がアップル、Googleに反撃。(ホームサーバの戦い・第15章) )
さて、Appleには「Apple TV」というホームサーバがあり、iPhoneという携帯ダウンロード端末がある。「Apple TV」でダウンロードしたソフトを、自宅では家のテレビで、外ではiPhoneで見ることも可能だ。また、すでに述べたように、PS3やPSP、WiiやDSでもできる。それでは、マイクロソフトはどうか。実は、今年のE3で発表するのではないかといわれた携帯ゲーム機があるという。それが、Zune HDだという。
Zune HD」はマルチタッチインターフェースに対応した480×272の有機ELタッチパネルや別売りのドッキング・ステーションを用いたハイビジョン動画のテレビ出力機能、「Zune music store」から直接楽曲を購入できる無線LANマルチタッチのために最適化されたフルスクリーンインターネットブラウザなどを内蔵しており、「Xbox LIVE Video Marketplace」と密接に連携するとのこと。(GIGAZINEマイクロソフトが次世代携帯プレーヤー「Zune HD」を正式発表、iPod touchやニンテンドーDS、PSPなどに宣戦布告か)
しかし、結局、E3では発表されなかった。ともかく、今年の秋には大きな動きがあるはずである。
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