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素人だから言えることもある

民主党マニフェストの危険度


製造業派遣禁止と最低賃金1000円の影響


 僕は、別に民主党に政権交代するのはかまわないと思う。ただ、発表された民主党マニフェストに一歩間違えたら、大変なことになる危険があるのに気がついた。民主党マニフェストは、いろいろ間違いがあるが、雇用問題に限って見ていこう。



原則、製造現場への派遣を禁止(専門職制度を新設)。2ヶ月以下の雇用契約については労働者派遣を禁止。「日雇い派遣」「スポット派遣」も原則禁止。派遣労働者、派遣先労働者の均等待遇原則を確立。期間制限を超えて派遣労働者を受け入れている場合に、派遣労働者が派遣先に直接雇用を通告できる「直接雇用みなし制度」を創設
すべての労働者に適用される「全国最低賃金」を設定(800円を想定)景気状況に配慮しつつ、全国平均1千円をめざす
民主党の政権政策


 余裕のある企業なら別だが、やっと、社長一人と派遣社員だけで成り立っている会社だったらどうするのだろう。派遣社員は首にして、自分ひとりでやるか廃業するか、海外の安い労働力を頼って海外に逃げてしまうかもしれない。つまり、この制度は収益が派遣社員分上がらない限り、成り立たない制度なのだ。


 事実、不況で収入が落ち、どこの店も安売り合戦が可能なのも、海外からの安い輸入品で成り立っているからである。ところが、売り子まで正社員でなくてはならぬとなれば、馬鹿馬鹿しくてやっていられない。少なくとも、日本に製造業はなくなり、税収はがた落ちになるかもしれない。


本気でワーク・シェアリングを議論しよう


 この民主党マニフェストの制度が問題なのは、損失を経営者に押し付けている点だ。もし、国内産業を活性化させようとするなら、経営・労組・政府そして労働者がそれぞれ痛み分けする制度が必要だ。それがワーク・シェアリングである。


 まず「同一労働・同一賃金」の確立である。正社員と派遣社員の賃金差があれば、それを同額にする。収益が増えないので、当然、正社員の賃金を下げなければならない。これが、連合のような労組が嫌がる政策である。しかし、賃金格差があるうちは、ワーク・シェアリングなどできない。


 また、次に、待遇も共通でなくてはならない。派遣社員のように、正社員も首を切りやすくするということだ。僕は、「ワーク・シェアリングとフレキシキュリティ」で、



フレキシキュリティ」とは「何度でも再チャレンジ」できる社会だという。そもそも派遣制度ができたのも「何度でも再チャレンジ」できるはずだったのではないか。ところが、日本では、スキルアップできず、単純労働で生活できるだけ。不況になれば、簡単に放り出される。デンマーク・モデルとどう違うのか。( 「簡単に、ワーク・シェアリングと言うけれど」)


 EUがお手本にするデンマークの政策は、「黄金の三角形(ゴールデン・トライアングル)」と呼ばれ、(1) 解雇しやすい柔軟な労働市場、(2) 手厚い失業給付、(3) 充実した職業訓練プログラムを軸とする積極的労働市場政策、の三つが有機的に連携している点が最大のポイントだ。


 重要なのは、労働力の移動を容易にし産業構造転換を図りやすくするための解雇規制の緩和と同時に、手厚い失業対策を講じて労働者の不安を取り除くこと。デンマークの失業給付期間は、最長で4年。失業給付のレベルも、前職の手取り所得の63〜78%に及ぶ。低所得者層に対しては、89〜96%という手厚さだ。(デンマークとオランダが先鞭、EUが目指す柔軟な労働市場と雇用保障(1) )


 もちろん、失業給付や職業訓練には金がかかる。北欧の社会保障制度は医療費や教育費も無料だが、その代わり消費税が20%以上だという。しかし、その程度で、少子化は解消され、何度も再チャレンジできる社会のほうが優れているのではないか。最も、政治家が嫌がるのは、消費税の話だというが、日本中の企業がなくなって、就職先がなく、税収ががた落ちになるよりよほどいいと思うのだが。


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