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素人だから言えることもある

民主党政権は何を壊すのか(「プロにお任せ」の時代は終わった・2)


政治のプロ、自民党・官僚への怒り


 このエントリーは「プロにお任せ」の時代は終わったの続編である。


 民主党は衆議院選挙で308議席という歴史的大勝利で政権交代を達成した。民主党によれば、今までの自公政権官僚に丸投げして国民のことを考えていなかったから、国民の怒りが爆発したのだという。


 近年の景気低迷による生活逼迫に対して、何の手も打たれない、もちろん、手は打たれているのだが、庶民の実感には程遠い政策では、不満が高まったのも十分理解できる。もし、景気悪化がなければ、このような政権交代はなかっただろう。プロである自民党の政治に頼りきって、ほぼ素人の民主党の主張など、一顧だにされなかったことは予想できる。つまり、生活不安が、「政治を変えなくては」という国民の怒りを生み出したのである。


官僚主義にどっぷりと漬かった日本


 そこで、自民党が丸投げしているという官僚=プロとはどんな特徴を持っているのだろう。


 官僚制の特徴としては、



多くの政党・政治団体の他、私企業労働組合、社会福祉団体、非政府組織(NGO)などの民間団体にも見られるヒエラルキー(位階、階層)構造を持ったシステムである。基本的な特徴としては、以下の点が挙げられる。
形式的で恒常的な規則に基づいて運営される
上意下達の指揮命令系統を持つ
一定の資格・資質を持った者を採用し、組織への貢献度に応じて地位、報償が与えられる
職務が専門的に分化され、各部門が協力して組織を運営していく分業の形態をとる。 (官僚制-Wikipedia)


 つまり、ほぼすべての企業・団体が採用しているシステムである。普通、言われる国家公務員だけの問題だけではない。組織として最も効率的な制度、それが官僚制である。職務が専門的に分化されれば、他の部門に口出すことはしなくなる。そうなると、セクショナリズムの弊害が生まれる。また、責任が限定されると、今度はますます自ら責任をかぶろうとする積極的な意見が言えなくなる。メディアの世界でも、その官僚制が採用された弊害が指摘されたのも「プロにお任せ」の時代は終わったで見たとおりである。そして、同じような制度を使っている企業は何であれ、同じような弊害が現れる。官僚制-Wikipediaではこう書いている。



規則万能(例:規則に無いから出来ないという杓子定規の対応)
責任回避
自己保身
秘密主義
画一的傾向
権威主義的傾向(例:役所窓口などでの冷淡で横柄な対応)
繁文縟礼(はんぶんじょくれい)(例:膨大な処理済文書の保管を専門とする部署が存在すること)
セクショナリズム(例:縦割り政治や専門外の業務を避けようとするなどの閉鎖的傾向)
これらは、一般に官僚主義と呼ばれているものである。例えば、先例がないからという理由で新しいことを回避しようとしたり、規則に示されていないから、上司に聞かなければわからないといったようなものから、書類を作り、保存すること自体が仕事と化してしまい、その書類が本当に必要であるかどうかは考慮されない(繁文縟礼)、自分たちの業務・専門以外のことやろうとせず、自分たちの領域に別の部署のものが関わってくるとそれを排除しようとするセクショナリズム)、というような傾向を指し示している。


(中略)


この他にも、イギリスの歴史学者・政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンによる指摘もよく知られている。パーキンソンによる官僚組織の非合理性についての指摘は「パーキンソンの法則」と呼ばれている。これは、実際にこなさなければならない仕事量に関係なく、官僚の数はどんどん増え続けていくというもので、官僚組織の肥大化の特質を示している(成長の法則)。もちろん官僚が増えれば、その分仕事がなければならないが、それは実際に必要ではない仕事を創造することでまかなわれる。つまり、無駄な仕事ばかりが増えていくということである(凡俗の法則)。(官僚制-Wikipedia)


 これらの弊害は当然、国家官僚だけの問題ではない。一般企業においても、極端なセクショナリズムと複雑化によって、隣の課が何の仕事をしているかわからないなんてことも多い。「同一労働同一賃金の道(福祉と政治・2)」で企業内失業者の問題を取り上げた。



企業内の潜在的な失業者は経済全体で528〜607万人に達する。製造業では328〜369万人である。白書はこれを「雇用保蔵」と呼んでいるが、実態的には、企業の過剰雇用者、すなわち企業内の失業者だと考えることができる。(ダイヤモンドオンライン日本の潜在的失業率は14%!その解決にまったく役立たない各党の雇用政策)(同一労働同一賃金の道(福祉と政治・2))


この600万人もだぶついた官僚制システムを用いた企業の犠牲者ということもできる。


官僚主義をつぶすことだけでよいのか


 官僚見直しは、結局、企業の根本システムである官僚制の見直しまで考えなければ、本当の見直しとはならない。なぜなら、現在の多くの企業が官僚制の弊害ゆえんの非効率な会議システムを導入しているからだ。だが、労働組合依存の民主党ではそこまでは行くまい。一歩間違えれば、国家戦略局自身が一種の官僚システムにならないとも限らない。100人程度の政治家を各省庁に派遣するといっているが、所詮は小沢チルドレンたる素人。百戦錬磨の官僚たちによって「ミイラ取りがミイラにな」らないように祈るばかりである。ともかく、官僚主義を断ち切ることは結構、しかし日本のあるべき姿のビジョンが民主党マニフェストに欠けていたことが気になるのだ。ただ、壊すだけで壊して草木も生えない国になってしまったなんてことは願い下げである。


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