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素人だから言えることもある

映画のようなゲームFF13考

FF13は1本道?

 12月17日に売り出されたファイナルファンタジー13が日曜日までに151万本売れたそうだ。ネットでは、1本道だとか自由度がないとか言われているが、当たり前のことである。なぜなら、FF13は地デジ化とハイビジョンのため(というより家電会社であるソニーのため?)に、PS3を代表するゲームとして生まれたものであるからだ。

 FFシリーズは発売されるたびに、「映画のようなゲーム」と言われるが、よく考えて欲しい。映画とゲームとはまったく違うものである。映画は監督の思うとおりのストーリーで、いかに観客をその世界に引き込むかを狙って作られている。当然ながら、観客の思うとおりにストーリーが作られているわけではない。むしろ、観客の興味を引くために、予想を裏切り続けていかなければならない。

 一方、ゲームはどれだけユーザーを自由に遊ばせるかに心を配る。さまざまな、仕掛けは、ユーザーを楽しませることにある。つまり、映画はストーリー本位、ゲームはユーザー本位である。FFは昔から、映画を目指して作られたところがある。(本当に映画を作って失敗したことはあるが。)したがって、ストーリー中心のFFは1本道にならざるを得ない。

 任天堂作品やドラゴンクエストは、いつも同じ形式でありながら、そのたびに新しい楽しみを膨らましてくる。「任天堂とソニーの15年戦争(ホームサーバの戦い・第41章)」で紹介した山内元社長の言葉に託せば、「FFはハード体質・ドラクエはソフト体質」ということになる。同じスクエア・エニックスの作品でありながら、ゲームの作り方は、それぞれ旧「スクエア」旧「エニックス」の作り方(FFは内製型・ドラクエは外注型)は変わらない。FFは常に新しく、ドラクエはいつもの老舗の味でというわけだ。

戦争のある国のゲームと戦争のない国のゲーム

 ハイビジョンのゲームが普及すると、どれだけリアルかが問題になる。欧米産のゲームは、FPSが主流であり、ある意味、いかに現実の戦争を模していくかということになる。とりあえず、敵はゾンビか宇宙人にしても、いかに残酷にリアルに破壊されるかを競っている。一方、日本のRPGは、どこかアニメの延長で、なぜかミニスカートが戦闘服だったりする。これじゃ、日本のRPGは売れないという人もいれば、欧米のFPSは多すぎで食傷気味だから、日本のRPGは売れるという人もいる。これは、やっぱり、日常的に戦争があるかどうかの違いだろうと思う。特に、日本の場合、少年少女が戦闘するというのは、アニメの影響もあるが、多分に「青春に命をかける」ということに真実味を感じられない社会が影響しているのではないか。

 ところで、今回のFF13のバトルは、今までの三人分のコマンドをいちいち選んでいた時代からすると、非常にスピーディーになり、特にオプティマという名の作戦がうまくできており、欧米のFPSの戦闘全体が見えないゲームがいやという人や、日本のちまちました操作でかったるいという欧米のゲーマーたちにも影響を与えるのではないだろうか。

 FF13は1本道といったが、11章だけは、十分にゲーマーにもやりこめる要素がある。なにしろ、60位のミッションがあるらしい。その部分は、クリア後も楽しめるという。

HDは映画のようなゲームを生かすか殺すか

 最近の映画は、DVDはもちろん、ゲームやフィギュア、プラモデルなどを念頭において作られる。それだけ映画館入場者だけでは制作費の元が取れない。FF13の場合も、あらかじめ、Xbox360(海外版)にも使えるように、マルチ化するためのグラフィックエンジンが作られた。FFのような大作は5年間に1000人の関係者がかかわっているという。FF13にしても単独の作品ではなく、それに関係した「ヴェルサス」「アギト」が作られる。これは、FF7でスピンオフ作品が作られたようなものである。そういえば、PS3の新作の半分は、シリーズものだ。大作であればあるほど、資金がかかり、当たらない作品は作りにくい。一方でケータイゲームを狙えば、少ない制作費ですむが、それほど儲かるわけでもないらしい。ゲーム産業にとって、ますますマルチ化、多角化は避けられないだろう。

 また、おそらく来年、任天堂はHD化のハードが生まれるに違いない。なぜなら、2011年7月にアナログ放送が終わり、かなりのテレビがHDMI端子しかつかなくなるからだ。(おそらく映像入力端子は残ると思うが、映像出力のD端子は2013年に廃止)

しかしHDMI非搭載の薄型テレビ等が既に大量に普及しており、消費者や家電メーカーから反対意見が強く、結局は2005年12月に実質的にアナログ出力を全面許可する決定がなされた。しかしながら、アナログ出力を制限する機能自体は残され、2011年に再検討される予定であったが、AACSAACS Final Adopter Agreementで2013年12月31日以降の製造機種ではアナログ出力自体が禁止されることが決まった。(High-Definition Multimedia Interface-Wikipedia)
 そのとき、ソフトメーカーは三機種のマルチ化が始まるだろうし、それは新たなゲーム機戦争の始まりかもしれない。
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