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素人だから言えることもある

残らないブログより残るブログを(知識を伝える・3)

ブログは競争市場、マスコミは独占市場

 こんなブログを見つけた。「なぜ誰もあなたのブログを読んでくれないか(リンク切れ)」というタイトルだ。著者は、カリフォルニア大学のバークレー校の大学院生。話はこうだ。ブログというのは、混雑した街中で人々が一斉にしゃべりだした状態だという。そうなると、誰も聞いてくれないことになる。
誰もが発言できるということは誰も発言する権利を独占していないことだ。市場に例えれば、旧来のジャーナリズムは独占市場で、ブログは競争市場だ。なぜ新聞社がネットに対応できないのか。それは独占企業にとっての最適戦略は競争的な市場では機能しないからだ。(なぜ誰もあなたのブログを読んでくれないか)
 なるほど、ブログは競争市場なのか。前項「ホームサーバ化とマスメディア消滅(ホームサーバの戦い・第45章)」では、インターネットがパーソナルなので、マスメディアのような総合的なメディアは対応できないと書いたが、このような考え方もあったのか。確かに、新聞や放送は、受け手に対して一方的であり、ネットでは双方向で反論ができる。でも、誰でも一斉にブログを書き始めたら、今度は送り手ばかりで、誰も書いたものを読んでくれない。しかし、書く楽しみを覚えた人々を、再び受け手に戻すことは難しいし、マスメディアもネット参入に戸惑っている状態だ。
では独占企業にとっての戦略とは何か。それは値段を上げるために供給を減らすことだ。学生が授業にくるようにプリントには全ての授業内容を載せないことだ。他に聞きにいく場所のない学生はクラスにいくしかない。
しかし、競争がある市場で同じことをしたら自殺行為だ。競争相手が価格を下げてシェアを奪ってしまう。競争的な市場ではいかに必要とされている財を提示し、それに応じたプレミアムをチャージするかが重要だ。単に価格を上げたら客は逃げる。(なぜ誰もあなたのブログを読んでくれないか)
プリントには全ての授業内容を載せない」というのは、ネットに流れている情報が購読紙のすべての記事でないとか、数日たったらその記事すらなくなってしまう事を意味しているように見える。マスメディアは、こうやって、購読者には支払った分の付加価値があるように思わせる。でも、この作戦は失敗している。時間がたつにつれて、みんなネットに流れていくからだ。また、ブログにおいても、一方的にしゃべっていてはダメだという。
では企業ならどうするか。市場調査を行い人々が欲しているかを調べるだろう。ブログではそれは何に対応するか。
ブログはコミュニケーションのプラットフォームだという指摘がそれだろう。企業がアンケートを実施して新製品への反応を見るように、読者が何を言ってるのかに耳を傾ける必要がある
旧来のジャーナリズムのように勝手にしゃべって、相手が聞くのを待っていてもだめだ。殿様商売は殿様が一人しかいないからうまくいくのだ。(なぜ誰もあなたのブログを読んでくれないか)
と締めている。もちろん、優れたマスメディアなら読者の言葉に耳を傾けるのは当たり前だというだろう。事実、そうして来たに違いない。しかし、みんながみんな、一斉にしゃべっている最中に放り込まれた中で、それを本当に実施できるかは困難を極めるに違いない。つまり、今起きている事態は、今までの巨大マスコミも一ブロガーも、ブランドをかなぐり捨ててゼロから初めよという事態なのだ

それでも残るには

 読者が何を求めているかを知るというのは難しい。毎月、アクセスランキングをするのも、先月はどのエントリーがアクセス数を伸ばしたかを知るためである。それでも、過去のエントリーから未来を知ることはできない。しかし、傾向性はわかってくる。また、ブログを書いていつも心がけていることがある。それは、どうすれば残る文章を書けるかだ。「読む人が持ち帰るお土産は何か(知識を伝える・2) 」で書いたとおり、
優れた知識は、時間がたっても、心に残るものであり、決して古くならないからだ
 普通のブログは、ニュースが起これば、それについてのコメントを書く。しかし、個人の感想など、どうしても専門家のコメントには負ける。そこで「残るブログ」にするにはどうするか。僕は、エントリーをデータベースにすることだと思ってる。何度も、過去の文章を引いてくるのは、そのためである。そしてエントリーの信頼性を深めなければならない。人によっては、エントリーのたびに、新たな気持ちで書いているという人もいるだろう。だが、人間の考え方なんて、そんなに変わるものではない。だから、開き直って、いろんなところから知識を引用し、疑問があったら、このエントリーを読めば納得できるという文章にしていかなければならないと思っている。そうしなければ、一斉にしゃべっている間で残っていくことはできないと思う。
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