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3月より9980円でPS3がハイビジョンレコーダーになる理由(ホームサーバの戦い・第47章)

いよいよ日本にも「Play TV」が登場か

 SCEは14日、こんな発表をした。
PS3®で地上デジタル放送の録画が可能にPS3®専用周辺機器 地上デジタルレコーダーキット『torne(トルネ)™』 希望小売価格 9,980円(税込) 3月発売予定
 これは地上デジタルチューナーとPS3にハイビジョン録画できるアプリケーション(BD-ROM)のセットである。プレスリリースには注釈が多いので、AV-Watchから引用する。その特徴は、
 字幕放送、2カ国語放送に対応。データ放送には非対応。「ゲーム制作で培ったノウハウを活用し、操作性を重視した」というユーザーインターフェイスを採用。番組表の操作、録画予約設定、録画番組の再生などを、ワイヤレスコントローラ(DUALSHOCK3)を使ってスピーディーに行なえるという。別売のBDリモートコントローラも使用可能。再生時は1.5倍の早見再生やシーンサーチ機能も使用できる

 EPGは1画面に最高で24時間分の番組情報を表示でき、コントローラのL/Rボタンを押すことで、拡大・縮小表示が可能。ジャンルやキーワード入力による番組検索も可能。録画予約もでき、PS3がスタンバイ状態であったり、ゲームやBD/DVDビデオを再生している間でも、予約録画は実行される。ただし、「同時に使用するソフトや周辺機器の仕様によっては正常に動作しない可能性がある」(SCE)としている。また、60GBモデル(CECHA00)、20GBモデル(CECHB00)でPS2用ソフトを使っている場合は、録画機能は働かない。

 予約録画件数は最大50件。最大1,800件の番組が保存できる。予約した番組の放送時間がずれた場合でも自動で調整。追っかけ再生はできない。

 録画モードはMPEG-2 TSのストリーム録画のみ。なお、番組の録画先はPS3内蔵HDDだけでなく、PS3にUSB接続した市販の外付けHDDにも直接録画することが可能。扱えるHDDはFAT/FAT32でフォーマットしたもので、先頭パーティションが使用可能。ただし、事前にtorneに登録しておく必要がある。録画番組の編集やチャプタ作成、CMカット/スキップなどの機能は無い。なお、外付けHDD内の番組再生は、録画に使用したPS3とtorneを接続した時のみ行なえる

 録画番組はメモリースティックPRO デュオ(Mark2)、またはメモリースティック マイクロ(M2)に書き出し、PSPで視聴する事もできる。画質もPSPに最適化されたものになるという。PSPに直接録画する事はできない。また、PS3のリモートプレイ機能を使用することで、PSPから番組の視聴や録画予約、録画番組再生など、全ての操作が行なえる。外出先からの視聴には非対応。PS3内蔵HDDに録画した番組を、外付けHDDに書き出す事も可能で、PSP、またはHDDに書き出せる回数は9回までとなる。

 なお、BDなどの光ディスクに書き出す機能は備えておらず、ウォークマンや携帯電話への転送にも対応していない。

 番組視聴中に気になった情報を、ネット検索する「見ながらネット」、番組の録画予約数や視聴状況を集計して表示する、「トルミル表示機能」も備えている。さらに、トロフィー機能にも対応。ゲームのトロフィーと同様に、獲得したトロフィー情報はプロフィールに反映され、フレンド同士で共有できる。(SCE、PS3用地デジレコーダキット「torne」−9,980円。PSP転送も可能。250GB PS3セットも発売)

 9980円という価格の割には実に充実したキットである。なお、タイトルの「Play TV」は欧州のSCEが2007年に導入したもので、「PS3のホームサーバ時代が始まった」で触れている。ただ、今回の「torne」との違いは、欧州のPS3がダブルチューナーであったくらいだ。多くのPS3が地デジ所有者である現在、HDDレコーダーを買おうと思う人にとっては、9980円で済むということは大変な恩恵であり、しかも、PS3で録画した番組を外出先PSPで見るというスタイルがよい。(僕にとっては、BS対応のチューナーも欲しいのだが。)

PS3がレコーダーになった理由

 ホームサーバといえば、映画や動画、ゲームなどを配信し、それをテレビで見ることであり、もちろん溜め込むことができるが、テレビの録画はそれには含まれていない。アメリカでは、既にXbox360もPS3もビデオオンデマンドの端末として、役目を果たしている。家電のソニーであるから、録画は本来レコーダー部門であるべきだ。ところが、今回、PS3に格安でレコーダー機能をつけたわけはなぜか。コアゲーマーもゲームもしないライトユーザーもすべての入り口をPSNにしたいと思ったのではないだろうか。それは、
今朝、ソニーの代表者が明らかにしたことによれば、PSPPlayStationに映画や音楽を配信するのと同じインフラを利用して、ゲーム、ビデオ、音楽、そして電子書籍をソニーのデバイスに届けるのだそう。ユーザーはひとつのIDを使用してSony Online Service(仮称)に接続することが可能です。つまり、今使用中のPSN IDがSony Online Service IDにも使えるということです。 (ソニーがPSNを越えるサービスを計画中:Kotaku Japan)
の記事があらわしている。すべてのユーザーをPSNへ囲い込む計画なのだ。事実、アメリカでは、このIDが映画配信でもうまくいっているという。AV Watchでこんな記事があった。
 配信サービスを始める場合、コストや開発工数の面で問題になるのは「決済とID管理」のシステムだ。今回ソニーがPSNの拡大という形を採る理由の一つも、すでにあるPSNのシステムを活用することで、効率よく、素早く配信システムを立ち上げる、ということにある。

 同様な作戦を採るのがマイクロソフトだ、Xbox向けのネットサービス「Xbox Live」で展開中の映像配信について、一度同じコンテンツを購入すると、Xbox 360だけでなく、Windows PCやZune HDでも視聴可能になっている。今後は、その範囲を映像配信からゲームへと広げる。といっても、古いアーケードゲームを配信する「Game Room」というサービスのみの、限定的な「拡大」にとどまる。

 双方に共通なのは、「圧倒的に数の多いプラットフォーム」、「統一され、すでに多くのユーザーが使っているIDと決済システム」、「購入後に、機器によるコンテンツ買い換えを防ぐ」という発想だ。テレビ側がサービスを羅列してニーズを満たす方向であるのに対し、こちらは1つのサービスの対象機種を増やし、最終的な満足度を高める、という狙いで開発されている。

 実のところ、多くのネット企業・テレビメーカーが理想とするのは後者。別の言い方をするなら、「アップルがiTunes Storeで成功させたモデル」といってもいい。

 ただし、ビジネスモデル上、この手法はメーカーや機器などで「ユーザーを集約する」ことが重要になる。そのため、テレビ側で導入されているような、「企業をサービスでまたいで使う」形が導入しづらい。

 こと「テレビ向けの配信」について、アップルが厳しいのはこの点だろう。ゲーム機から始めるソニーとマイクロソフトは、圧倒的な「普及台数」をベースにユーザー数を増やせるが、アップルの場合には、テレビ向けソリューションである「Apple TV」が今ひとつ有効に働いていないのが厳しい。しかも、同社はDRMや配信システムを他社に公開しないため、「テレビへの組み込み」が難しい。

 CES会場には、「iPod連携機器」は大量にあっても、「テレビとアップルの映像配信を結びつけるもの」はほとんどなかった。機器を問わず「映像配信ビジネス」でくくるならば、アップルは非常に大きなパイを持っているが、テレビに関しては存在が不透明だ。「だからアップルは負ける」などと断言するつもりはないが、日本で語られがちな「アップル圧勝」ムードとは違う空気が流れているのを感じる。(西田宗千佳の — RandomTracking — CESで見た、米国で活発化する“もう1つの潮流” 〜テレビ・BDプレーヤーで進む「映像配信対応」〜)

 ソニーがPS3にレコーダー機能をつけるのも、本体と「torne」で4万円という、ライトユーザーの呼び水とともに、もう一つ伸びないBD普及を促進する意味も含め、PSN登録者を増やし、一挙に「配信はPS3」という形を築き上げるのが目的だと思われる。
 一方、アップルの「Apple TV」がもう一つ伸び悩んでいるとしたら、ひょっとして今回のタブレットは、「Apple TV」機能も含まれている(つまり携帯テレビ?)かもと想像をたくましくするのだが、果たして単なる電子ブックリーダーなのか?
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