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素人だから言えることもある

iPadがテレビにつながっていたら、ソニーやマイクロソフトに打撃を与えていたかもしれない(ホームサーバの戦い・第51章)

なぜHDMIがない事を嘆いたのか

 僕は、iPadによってアップルはデジタル時代の覇者になれるか(ホームサーバの戦い・第50章)
iPadは持ち運びには大きすぎるし、映画を見るには小さすぎる。それだったら、自宅のテレビに映せればいいのだが「HDMI端子無し」ときた。
と嘆いた。というのは、ホームサーバの戦いで一番重要なのは、テレビを利用することだからだ。テレビを利用する方法は2つ。PS3やXbox360のようなゲーム機のような圧倒的普及台数を持っているSTBに組み込むか、日本のアクトビラのようにテレビ本体に組み込むかである。西田氏の言うとおり、
 こと「テレビ向けの配信」について、アップルが厳しいのはこの点だろう。ゲーム機から始めるソニーとマイクロソフトは、圧倒的な「普及台数」をベースにユーザー数を増やせるが、アップルの場合には、テレビ向けソリューションである「Apple TV」が今ひとつ有効に働いていないのが厳しい。しかも、同社はDRMや配信システムを他社に公開しないため、「テレビへの組み込み」が難しい。(西田宗千佳の — RandomTracking — CESで見た、米国で活発化する“もう1つの潮流” 〜テレビ・BDプレーヤーで進む「映像配信対応」〜)

Apple TVが売れない事情

 Apple TVの場合、僕も「Apple TVの衝撃 (家電屋VSコンピュータ屋、ホームサーバの戦い・第2章) 」でとりあげた。このApple TV、日本では映画配信が行われず、今一歩だったが、アメリカでもそれほどではなかったらしい。

 おそらく、日本国内からの想像だが、「アメリカ国内の次世代DVDはもう終わってる?(ホームサーバの戦い・第4章) 」でとりあげたように、アメリカ国内では、いまだにTiVoが絶大なシェアを誇っているのではないだろうか。そのTiVoとはこんな具合だ。

 TiVo成功の秘密は、米国の放送事情と密接な関係がある。全米には地上波、ケーブル、衛星含めて18000にも上るチャンネルがあり、それぞれが独自の番組を作成し続けている。もはや視聴者が番組表の中から自力で何かを検索するのは不可能だ。それをTiVoがやってくれる。視聴者の“脳みそ”の代わりなのである。(DVRの“事実上の標準”になるか——全米を虜にした「TiVo」の秘密)
 しかも、アメリカでは何度も同じ放送を繰り返すので録画する必要がないという。
本家/.の記事より。ヨーロッパやアジアでは売り上げ好調のDVDレコーダーだが、なぜかアメリカでは売れ行きが鈍い。CNET News.comの記事によれば、その理由はケーブルテレビの浸透度の違いだと言う。
CNETの記事では日立の江幡誠氏の発言として、アメリカのようにケーブルテレビが普及している場合、視聴者は同じ番組が何度も放映されることを知っているので、わざわざ録画する必要がないという点を指摘している。また、すでにアメリカではTiVoが大きなシェアを握っているため、機能的にかぶる部分のあるDVDレコーダーがなかなか入っていけないようだ。(なぜアメリカではDVDレコーダーが売れないのか
 例えば、アメリカの主婦がどう使っているのかをのぞいて見ると、
NBCのドラマ「Heroes」を見ている。例の、日本人俳優マシ・オカが出ているやつである。連続ドラマを毎週一回、決まった時間にきちんと見るということは私には不可能なので、昨年からの第一シーズン分は、NetflixとiTunesのダウンロードの組み合わせで見た。特にこのドラマは、登場人物が多くて話が複雑で、順番に見ていかないとワケがわからない。で、9月から始まった第二シーズンは、最初の2回まではなんとか、放送しているものをTiVo(DVR)で録画して見たが、そのあと仕事が忙しくなり、1ヶ月ほど間が空いてしまった。気がつくと、我が家のTiVoでは亭主がやたらいっぱい録画しているスポーツ番組が優先され、最後の1回分ぐらいしか残っていない。
(中略)
とにかく、いつでも見られるというのはありがたい。事前にセットアップする必要もない。一方、iTunesで映像をダウンロードすると、パソコンのハードディスクがすぐにいっぱいになってしまう。どうせそんなに何回も見ないのだから、こうやってストリームで見られるのはとてもよい。このぐらいのCMだったら、無料でストリームで見られる代償としては、それほど気にならない。(ネット・テレビ Hulu.comを試してみた)
 どうも、Apple TVは分が悪い。ゲーム機のように、好きなゲームがあるからという理由がない限り、Apple TV単体では無理なようだ。

iPadをホームサーバ機器として売るためには

 そこで考えたのは、Apple TV発売を取りやめ、iPadHDMI端子を取り付けることだ。そうすれば、現在PS3とPSPでやっているセカンドセッション(Digital Copy (PSP&PS3 only)の謎(ホームサーバの戦い・第49章)参照)がiPadiPhoneで可能になる。(別に、テレビにつながなくても可能だが、わざわざ9.7インチ画面の映画をiPhoneに落とす意味がない。映画は自宅の大画面でというのが基本だと思う)

 つまり、iPadに配信された映画やドラマをiPhoneにデジタルコピーしようというものである。時間がなくて、途中までしか見られなかったドラマを外出先でiPhoneで見ることができる(共通IDになるかどうかは未確認)。もし、そのようなサービスが始まれば、圧倒的に売れたiPhoneを足がかりにiPadも売れるようになる。同じことができる機器は、よほどのアップルファンでなければ売れない。iPhoneiPadをきれいに棲み分けできれば、次の段階に進むことができる。これはiPodiPhoneの棲み分けと同じことである。そして、このことは、同じHDMI端子を使うマイクロソフトXbox360やソニーのPS3に危機感を与え、新たな戦いが始まるだろう。
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