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ミッション・インポッシブル「ラビットフット」の謎

 3月27日の土曜日、フジテレビで放送された映画「ミッション・インポッシブル?(M:I:?)」(監督J.J.エイブラムス)に「ラビットフット」なる犯人のほしがるモノが登場する。主人公はその妻の命を救うために、この「ラビットフット」を求めて物語が進行する。映画はアクションの連続だが、この「ラビットフット」なるものが何なのか最後まで明かされない。映画のプログラムにJ.J.エイブラムス監督とのインタビューが載っていた。



——ところで、今回の事件の呼び水になる“ラビットフット”ですけど、あれは……。

ヒッチコックの『北北西に進路を取れ』を観たことがあるかい? あの映画で僕が気に入っているのは、ヒッチコックが使うマクガフィンだ。悪者が欲しがるものなんだけど、マクガフィンについては一切説明がない。でも物語はちゃんと機能している。素晴らしいよね。『M:I:?』の“ラビットフット”もマクガフィンなんだよ。クールだろう?( M:I:?プログラム)


 そのマクガフィンについては、僕は「リアル社会のマクガフィン」というエントリーを書いている。そこでマクガフィンとは



作品の登場人物は非常に重要なものだと考えているにも関わらず、観客にはほとんど説明されなかったり、説明されたとしても価値が疑わしいような「なにか」のことである。(マクガフィンWikipedia)


 ヒッチコックは、このマクガフィンについてこんな説明をしている。



 ところで、この<マクガフィン>という言葉そのものの由来は何なのか。たぶんスコットランド人の名前から来ているんじゃないかと思う。こんなコントがあるんだよ。
ふたりの男が汽車のなかでこんな対話をかわした。
「棚の上の荷物はなんだね」とひとりがきくと、
もうひとりが答えるには、
「ああ、あれか。あれはマクガフィンさ」。
マクガフィンだって?そりゃ、なんだね」
「高地地方(ハイランド)でライオンをつかまえる道具だよ」
「ライオンだって?高地地方(ハイランド)にはライオンなんかいないぞ」。
すると、相手は、
「そうか、それじゃ、あれはマクガフィンじゃないな!」
と言ったというんだよ。
この小話はマクガフィン>というのはじつはなんでもないということを言っているわけだ。(「ヒッチコック映画術トリュフォー」山田宏一・蓮實重彦訳/晶文社)


 ミステリーや冒険小説には欠かせない「マクガフィン」だが、政治の世界では、キャッチフレーズそのものが「マクガフィン」になりかねない。いわく、小泉政権の「郵政民営化」であり、鳩山政権の「脱官僚」のように。確かに、そのときは国民にとって何か大切なことのように思えていたが、今になってみれば国民にとってそれがどちらであってもあまり変わらない様な気がするのだ。つまり、政治の「マクガフィン」とは、そのときの国民には非常に重要なものだと考えているにも関わらず、結果を見ればほとんど意味がなかった「なにか」のことである。


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