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素人だから言えることもある

なぜ、iPadは革命的か(ホームサーバの戦い・第56章)

「爆笑問題ニッポンの教養」から

 4月20日、NHK「爆笑問題ニッポンの教養」の「現実ヲ拡張セヨ」を見た。出演していた苗村健准教授の番組の最後の言葉に、実はアップルがiPadに共通する秘めた思いがあるのではないかと思った。もちろん、番組にはアップルのあの字も出てこない。ともかく、番組の最後の言葉を書き出してみよう。
バーチャルって言うのは嘘って言う意味ではなくて、本質って言う意味なんだと、で、バーチャルとリアルというと、本質と本物みたいな話になって、境界が見えないんですよ。で、本物ってなんだろうと言い出すと、すごく哲学的な話になっちゃうんですけど、今、僕たちが拡張現実と言っているものは、コンピュータに慣れた人しかアクセスできないものがそうでない人もアクセスできるようになる、それは両方本物だったり、両方現実だったりするんですけれど、できなかった人とできる人がいたっていうのが、境界が取り残されるもう一つの答えだったりすると思うんです。
 もちろん、苗村准教授は、ディスプレイやキーボードを使わない現実世界に、バーチャルな世界を出現させる研究をしているのだが、僕は、この言葉の中で、「コンピュータに慣れた人しかアクセスできないものがそうでない人もアクセスできるようになる」という点に注目すると、iPadも同じキーワードのような気がしてならない。つまり、アップルはコンピュータに触れたことのない人のためにiPadを作ったのであり、それこそ革命的なことなのだ。

マイクロソフトやアップルがリビングにあこがれる意味

 たとえば、ブログを書いたから読んでみてくださいといっても、パソコンを持ってないとかキーボードが打てないからと言われると、そこで止まってしまう。どうしても、インターネットに触れたことのない人間に説明することは難しいし、ある意味、テレビを中心にした世界(リビング・ルーム)から見ると、ひどく小さな世界(パソコンの置かれている書斎)に見えてしまうのだ。

 マイクロソフトもアップルも常にポストPCを考えていた。例えば、ビル・ゲイツ氏は、ソニーのPS2に対して

ソニーはマイクロソフトと競いたがっている。PS2は、単なるテレビ用のセットトップボックスやゲーム機の枠に収まらないだろう。PCにとって脅威になるのは間違いない。(ディーン タカハシ著/元麻布 春男監修/永井 喜久子訳「マイクロソフトの蹉跌—プロジェクトXboxの真実」ソフトバンク)( Xbox vs PS2(ホームサーバの戦い・第8章) )
と言ってみたり、iPhoneを発表した日、アップルは社名を変えたりしてる。
 なおAppleは同日,社名をApple ComputerからAppleに変更した。Macworldの基調講演でも,Apple TVとiPhoneの発表が全てで,新OS「Leopard」などには全く触れられなかった。今回の基調講演は,Appleがパソコン・メーカーから,名実ともに総合デジタル家電メーカーに生まれ変わった日だと言える。(「電話を再発明する」---Jobs氏がMac OS X搭載の携帯電話機を発表)

キーボードに変わるタッチメディア

僕は、「iPhoneやDSが暗示するタッチメディアの可能性」でこんな事を書いている。
 テレビに比べ、パソコンがもうひとつ売れないのは、キーボードの問題である。キーボードさえなければ、もっと感覚的に動かせるのに。そう思った人も多いだろう。だが、テレビもハイビジョンになり、地上デジタルだの、プラズマだの、BSだの、HDMIだのわけのわからない言葉のオンパレードである。任天堂DSやWiiが売れたのは、コントローラーやキーボードを操作する感覚でなく、直接自分で手触りできるという感覚が受けたのだろう。これは、タッチスクリーンやタッチディスプレイなどのタッチメディアがこれから大流行するのではないだろうか。
(中略)
 もちろん、キーボードほど使い勝手が良いとは思わない。だが、それは携帯電話に慣れた年代の層。むしろ、あの親指でチャカチャカメールを打っている姿に恐れをなしていた層に受けるのではないだろうか。
 そして、電子ブックリーダーが売れなかった日本も、iPadにより「コンピュータに慣れた人しかアクセスできないものがそうでない人もアクセスできるようになる」ことで、一挙に電子書籍の幕開けを後押しする可能性も高い。
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