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ソニーとグーグルが急接近「グーグルテレビ」(ホームサーバの戦い・第63章)

グーグルがテレビを作る

 こんな記事があった。
 ソニーは米グーグルと新しい映像・情報端末の開発・サービスで提携する。第1弾としてインターネットを快適に楽しめるパソコン並みの機能を内蔵した新型テレビを2010年秋に米国で発売。携帯電話や電子書籍端末なども共同開発するほか、複数の機器を結んでゲームや映像を配信するサービスでも連携する。ネット事業で世界をリードするグーグルと組んでネットと家電の新分野を開拓し、新型情報端末「iPad」などで急成長する米アップルに対抗する。(日経新聞5月21日)
 提携の骨子として
◆インターネット対応の新型テレビを共同開発し、2010年秋に米国で発売。日本など他の地域にも順次、投入する。インテルのMPUを搭載する。

◆グーグルの技術を活用し、テレビやパソコン、ゲーム機などをネットワークで結ぶ新サービスを共同開発する。

◆米アップルの新端末「iPad(アイパッド)」に対抗する新製品などの共同開発も検討する。(日経新聞5月21日)

 iPadの日本発売1週間前である本日(5/21)に発表したのは、iPadをけん制しているのは明確だ。僕は、「アップル・ソニー・任天堂のテレビとの距離感(ホームサーバの戦い・第54章)/」の中で、アップル自身はテレビと繫がることにあまり興味がない事を示した。
Cook氏は、この市場参入モデルはテレビにつながるだろうと言いながら、Appleは「テレビ市場に参入することには全く関心がない」という。(アップルはコンシューマー志向のモバイルデバイス企業--COOクック氏が語る方向性)
 アップルは、iPad単体ですべてを集約するような(現状、PCにつながなくてはならないのが自己矛盾だが)形に持って行きたかったのである。一方、グーグルがソニーに提携を持ちかけたのはなぜだろうか。CNN.co.jpでは、
グーグル幹部のリシ・チャンドラ氏は基調講演で「テレビ以上に幅広い視聴者に到達できる媒体はいまだに存在しない」と述べ、また「映像は家庭内で最大、最良かつ最も明るい画面で見るべきものであり、それがテレビだ」と指摘した。(グーグルがテレビに参入 ソニーなどが対応製品を発売へ)
と語っている。

FlashとHTML

 アップルとグーグルの差はオープンとクローズの差でもある。例えば、Adobeとも提携しており、アップルが嫌っていたFlash Player 10.1を組み込んでいる。
Google TVは、Google主導のOS「Android」をベースに、オープンソースWebブラウザ「Google Chrome」を統合する。手軽にお気に入りのWebサイトにアクセスし、テレビとWebを容易に切り替えられる。写真のスライドショー、音楽再生、ゲームプレイなどにも利用できる。Google ChromeにはAdobeの「Flash Player 10.1」を組み込む。([Google I/O 2010]テレビとWebを融合する「Google TV」を発表、ソニーやIntelと提携)
ジョブズ氏は、Flashに対応しない理由として、
「FlashはPCとマウスの時代に作られた」が、モバイル時代は省電力、タッチ操作、オープンWeb標準が重要であり、「Flashはそのいずれにおいても及第点に達していない」(「Flashの方こそクローズドだ」――AppleのジョブズCEOが反論)
一方、グーグルのGoogleの協同ファウンダSergey Brin氏は、
彼は今日のキーノートで、HTMLの進化を例として取り上げた。Webアプリケーションは今ではオフラインで使えるし、HTML5ではリッチなグラフィクスも可能だ。”HTMLは一種のアプリケーションフレームワークになりつつある“、と彼は言う。また彼によれば、Webアプリケーションは、インストールが要らない、ある部分のセキュリティ対策が容易、などの点でネイティブアプリケーションよりも有利だ。”Webアプリケーションの未来は明るいが、しかし現状はまだまだ生まれたての若い技術だ“、とBrinは言う。

現在の市場がネイティブアプリケーションを求めていることはBrinも認めるが、それは今の携帯電話がそれほど強力なプラットホームでないことと、HTML5がまだやっとこれからという状況では、しょうがないことだという。さらにPichaiは、今の携帯電話の画面では、Webよりもネイティブアプリのほうが見やすい、と指摘した。(GoogleのSergey Brin曰く: ネイティブアプリとWebアプリは近未来に一つに収束する)

将来的には、HTMLに収束するだろうがFlashに対応するのは仕方がないという立場だ。この姿勢は、グーグルのオープンソースの立場でもある。

ソニーは、グーグルに引きずられるのか

日経新聞ビジネスリーダーの「ソニー、グーグルに賭ける復活」は、いささか皮肉な論調だ。
 家電の名門ソニーでさえ「存在意義」を問われかねない局面で決断したグーグルとの提携。基本ソフト(OS)など中核技術をグーグルに委ねる一方、人的パワーや開発費は製品全体の完成度を高めたり、関連サービスを整備したりするのに使い、新たなビジネスモデルを構築する。実現すれば、家電単体でサムスンと価格競争するといった消耗戦を避けられ、総合力で先端を走るアップルへの対抗軸にもなる。一石二鳥だ。

(中略)


 さらに、グーグルが多くの企業と取引するオープンな経営戦略をとることもソニーには不確定要素となる。グーグルは開発した技術を抱え込まず開放することで存在感を増してきた。ソニーといえども「多くのパートナーの1社」にすぎない。ソニーを手始めに世界の家電大手と同様の協力関係を結ばない保証はない。

 技術力や収益力で判断すれば、グーグルがライバルと位置付けるのはマイクロソフトやアップルだろう。とくに蜜月関係が続いてきたアップルとは競合する場面が増えている。携帯電話に続いてパソコンOS、携帯向けネット広告と争う領域は広がる一方だ。「敵の敵は味方」とばかりにソニーと組み、デジタル家電分野に本格進出するが、「ソニー・グーグル連合」が永続的なものかは現時点で不透明な面もある。(日経新聞5月21日)

 もちろん、アップル対抗の「ソニー・グーグル連合」がどこまで続くかは分からないが、現状のテレビがインターネットも見えるテレビでしかないので、よりインタラクティブなテレビに進化することは大歓迎である。
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