夢幻∞大のドリーミングメディア

素人だから言えることもある

新apple TVとtorneに見る日米録画事情(ホームサーバの戦い・第71章)

あまりにも良く似ているイメージ

この二つの写真を見てほしい。
f:id:mugendai2:20130201145859j:plain
f:id:mugendai2:20130201145858j:plain
アップルテレビの大きさが、
本体サイズが23×98×98mm(高さ×幅×奥行)、重量が約272g。(米Apple、「Apple TV」の新モデルは99ドル)
トルネが
外形寸法:100×24×112mm(幅×高さ×奥行き)(最大突起部含む)質量:約 130g (torne(トルネ)™商品概要)
どちらも10センチ四方であり、価格も9千円切っている。(1ドル84.132593円で計算すると、8 329.1267 円)。またamazonでtorneを買うと、7,944円。(どちらも9/13調べ)アップルテレビの方が2倍重いが、形からいえば互角の戦いとも言える。そして、僕はアップルがアップルテレビの普及に日本に二の足を踏む理由ではないかと思うのである。

アメリカではレコーダーが売れない

 僕は、アメリカ国内の次世代DVDはもう終わってる?(ホームサーバの戦い・第4章) でそのことに触れている。
本家/.の記事より。ヨーロッパやアジアでは売り上げ好調のDVDレコーダーだが、なぜかアメリカでは売れ行きが鈍い。

CNET News.comの記事によれば、その理由はケーブルテレビの浸透度の違いだと言う。

CNETの記事では日立の江幡誠氏の発言として、アメリカのようにケーブルテレビが普及している場合、視聴者は同じ番組が何度も放映されることを知っているので、わざわざ録画する必要がないという点を指摘している。また、すでにアメリカではTiVoが大きなシェアを握っているため、機能的にかぶる部分のあるDVDレコーダーがなかなか入っていけないようだ。(スラッシュ・ドット・ジャパンなぜアメリカではDVDレコーダーが売れないのか)

そして、このTiVoについても
 TiVo成功の秘密は、米国の放送事情と密接な関係がある。全米には地上波、ケーブル、衛星含めて18000にも上るチャンネルがあり、それぞれが独自の番組を作成し続けている。もはや視聴者が番組表の中から自力で何かを検索するのは不可能だ。それをTiVoがやってくれる。視聴者の“脳みそ”の代わりなのである。
 一方日本ではそれほどチャンネル数はないし、ほとんどのローカル局やケーブル局は、中央の番組を中継しているに過ぎない。従ってトータルのコンテンツ数は、米国とは比較にならない。必要性という意味では、まだ各メーカーやインフラ会社が独自に展開している番組情報サービスで間に合っている。だが将来的には、TiVoのようにメーカーや放送局をクロスオーバーしての番組情報サービスが必要とされる時も来るだろう。(「DVRの“事実上の標準”になるか——全米を虜にした「TiVo」の秘密」)
として小寺信良氏の記事を紹介した。あまりにも、日本とアメリカの事情が違いすぎる。したがって、どうしても映画配信はアメリカ主導になりやすい。こうして、アップルやグーグル、ソニーが対抗上、対決していくのも仕方のない部分もある。

日本の配信が遅れる幾つかの事情

 ようやく、Xbox360も日本でも今秋から映画配信を始めるという。
 マイクロソフトは、Xbox 360向けの映像配信サービス「Zune ビデオ」を2010年秋にスタートする。
 Zuneビデオは、box 360用のネットワークサービス「Xbox Live」における動画配信サービスとして世界18カ国で既に展開されていたが、今秋に日本でもスタートする。日本におけるコンテンツ提供企業は、バンダイチャンネル、NBC Universal、Paramount Pictures。コンテンツは、「最新作を含む映画作品やアニメ作品が多くなる予定」としている。
 11月20日に発売されるジェスチャーコントローラー「Kinect」(キネクト)の利用時には、ボイスコマンドによる操作に対応。「Xbox、プレイ」と言うと1080pのフルHD/5.1chサラウンド音声の映画ストリーミング再生を開始するという。(MS、Xbox 360向け映像配信「Zune ビデオ」を今秋開始 −Kinectで「Xbox、プレイ」の音声操作で1080p再生)
 これなどは、ソニーとアップルのストリーミング戦争(ホームサーバの戦い・第70章) で取り上げたように、やはりコンテンツダウンロードよりストリーミングに主流を置くようだ。PS3と違って、市販のHDDを換装できないXbox 360には、250GBが限界である。ストリーミングが主体になっていくように思える。

 さて、日本の配信がなかなか進まない理由だが、PC Onlineで林伸夫氏の「Apple TVでテレビ番組配信83円! 日本はいまだ鎖国状態」 (登録必要)では

 ところが、日本の場合は、まだ旧弊をしっかり抱え込んだまま手放そうとしない放送局、映画会社、配給会社がなかなかウンと言わない。
 iTunesストアの運営はすべて米国内で行われていて、スティーブが直接日本のテレビ局のトップに電話をかけるなんてありえないから、事態は全く進まない。
 放送をネットで流すことへの抵抗感が行政にも色濃く残っているのも阻害要因だ。放送を県を超えて流してはならないという全く時代遅れの規制がそのまま残っていて、放送局はあぐらをかいたままだ。IPネットに流してやりさえすれば日本全国90%を超える世帯に番組を配信できる。1兆円を超えると言われる地デジ化投資のうち、全国くまなく電波を行き渡らせるための無駄な投資が一切なくなるはずなのに、それをしてしまったらせっかくのおいしい電波塔、アンテナ設置ビジネスが頓挫してしまうためやらせない。
 コンテンツ制作側は、出演者や脚本家、音楽制作などクリアすべき著作権が複雑多岐にわたっていて、ネットで配信は難しいと、できない理由を並べる。その結果、大物タレントが登場する大作はネットに登場せず、出てくるのは社員アナウンサーか売り出しを目的とした駆け出しタレントが登場するようなクズ番組か古き懐かしい作品ばかり。(Apple TVでテレビ番組配信83円! 日本はいまだ鎖国状態」)
と書く。また日経ビジネス9月13日号でも、
 フジテレビジョンをはじめとする民放各社も、テレビ広告市場が低迷する中、テレビドラマなどの配信を増やしてはいる。ただし、ネットで広く全国に配信すると、それまで全国放送を担ってきた各地の系列地方局が反発することから、人気の高い番組はなかなか配信できないのが実情だ。
 視聴者にしてみれば、そもそも無料で視聴できる民放のテレビ番組を、有料で購入することへの抵抗感は大きい。NHKの番組であっても、「受信料で作られた番組なのに、なぜネットでも料金を徴収されるのか」と違和感を覚える視聴者も少なくないはずだ。
 後からでも有料で見たいというほどの番組なら録画する。ネットで番組を購入するのは録画に失敗したり、録画し忘れた場合に限られる。(日経ビジネス9月13日号 ネット対応テレビ、日本置き去り)
なぜ、現在の日本で、アップルテレビより、トルネが魅力的に写るか、その理由がここにある。
ブログパーツ