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朝日新聞は、今、何を考えているか・4(ホームサーバの戦い・第82章)

これは、「朝日新聞は、今、何を考えているか」シリーズの第4弾である。(朝日新聞は、今、何を考えているか 朝日新聞は、今、何を考えているか・2 朝日新聞は、今、何を考えているか・3 )

朝日新聞も有料電子版を計画

東洋経済オンラインにこんな記事があった。
日経新聞に対抗、朝日新聞も「有料電子版」スタート

1月4日、秋山耿太郎社長は社員向けの新年あいさつの中で、「アイパッドなど多様な端末に配信する仕組みにする」「紙との併読の場合には割安にする」など、新しい電子版の基本コンセプトを説明。全国紙では、日本経済新聞社が昨年春に有料電子版を開始しており、朝日は2紙目の参入ということになる。

朝日のビジネスモデルは先行する日経と似ている。日経の料金プランは二つあり、一つは紙の新聞を購読している読者が月に1000円を追加で支払うと、電子版を併読できるプラン(朝夕刊セット地区では計5383円)。もう一つが月4000円で電子版のみを購読できるプランだ。

朝日も同様に2種類の料金プランを設ける。価格は、日経とほぼ同じ水準になるもようだ。「基本は紙の読者へのプラスアルファのサービス。紙との併読を基本に設計している」(朝日新聞コンテンツ事業センター幹部)。(日経新聞に対抗、朝日新聞も「有料電子版」スタート(1) )

この記事で気になるのは次の点だ。
電子版のコンテンツを充実させればさせるほど、同社の紙離れを加速しかねない点だ。しかも全国の朝日新聞の販売店からは電子版に対する反発も強いため、電子版の顧客情報を販売店にも渡して両者で共有する、電子版購読料の一部を販売店へ還元する、など販売店の反発を和らげるための配慮をした。

これは裏を返せば、紙の部数がさらに減っても、販売店が収入面で困らないようにするための仕掛けでもある。「紙もデジタルも」が朝日の掲げる目標だが、紙の部数減少が続く中でデジタルシフトを加速し始めたと考えるほうが自然だろう。(日経新聞に対抗、朝日新聞も「有料電子版」スタート(2) )

朝日新聞は、今までの収益をそのまま維持できると考えているらしい。しかも、その価格の理由が、新聞の販売店の不満を抑えるためというのでは、読者をあまりにバカにしている。昨日、放送していた「教えてMr.ニュース」によれば、20代の新聞購読者が、20パーセント台に落ちているという。かつては、新聞を読まなくては、受験ができなかった。現在では、むしろ、iPhoneなどのスマートフォンを持たなくては、就職試験すら通らない時代になってきたのだ。新聞では、スピードが遅すぎるのである。新聞側の発想で、このまま維持できると考えているとしたら、虫が良すぎる話だ。

まず、最初に、新聞を読まない20代を、新聞に引き留めるためには、今までの総合情報産業になってしまった新聞業務を見直し、より安くよりピンポイントの情報でなくては、読者を増やすことなどできはしまい。

テレビも新聞も無駄を省く時

前項「なぜ、ロケーションフリーは生産完了になったか」で、思ったのは、ソニーが世界を相手に考えているのに対して、放送局が国内のこと、自分たちの立場の維持しか考えていないという事実だった。もっと言えば、意外に地デジ崩壊は近いかもしれない(ホームサーバの戦い・第77章) で、書いたように、地方民放をどうにかして生き残らせたいと思っている点である。同じように、朝日新聞が考えているのは、新聞販売店の存在である。

地方民放も、新聞販売店も、ユーザーから見れば、必要のないインフラ部分だ。本が電子書籍になれば、印刷・製本がいらなくなるように、テレビもネットで流せば地方民放はいらなくなり、新聞もネットで流せば、新聞販売店も輪転機もいらなくなる。ユーザーは、このインフラがなくなれば、より安く情報が手に入ると信じている。ところが、かえって、その部分を水増ししてユーザーに負担をかけるとすれば、誰もそのようなものはいらないと感じるのは当然である。

テレビ・新聞はあまりにも巨大化し、あまりにも無駄なものを抱え込んできた。「ジャーナリズムはマス・メディアの特権ではない(マス消滅元年・6) 」で考えたように、もう一度ジャーナリズムの本分に立ち返り、本当にユーザーの求めている情報は何かを考える時が来たのである。
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