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素人だから言えることもある

菅首相の一発逆転、自然エネルギー担当相に孫社長起用の噂

一発逆転の追求は国の衰退の第4段階

ZAKZAKにこんな記事があった。
「内閣改造は、震災復興半ばという今の世情や、『死に体内閣では常識的には無理だ』という声が多い。しかし、追い詰められた菅首相はあり得ないことをやっている。だから、リアリティーをもって話が広がっている」(民主党中堅)

さらに菅首相は政権延命の大義として、「再生エネルギー特別措置法案を成立させる」と言い出した。これに符合する仰天プランとして自然エネルギー担当相として、ソフトバンクの孫正義社長を民間枠で登用する、という話まで出てきた」(同中堅)という。(ウルトラCで孫入閣…菅“大粛清”延命改造の全貌を暴く!)

僕は、「衰退の五段階」を読むの第4段階を思い出した。
第三段階に出てきた問題とリスク・テークの失敗が積み重なって表面化し、企業の急激な衰退が誰の目にも明らかになる。

このとき決定的な問題は、指導者がどう対応するかである。一発逆転策にすがろうとするのであれば、第四段階に達しているのである。

一発逆転をもたらす「救世主」だとされるのは通常、ビジョンを掲げるカリスマ的な指導者、大胆だが実績のない戦略、抜本的な変革、劇的な企業文化の革命、大ヒット狙いの新製品、「ゲームを変える」買収など、さまざまな特効薬である。劇的な行動をとったとき、当初は業績が良くなったようにみえるかもしれないが、長続きしない。(ジェームズ・C. コリンズ著/山岡洋一訳「ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階」日経BP社)P50

これは企業の場合だが、政治においても同じようなことが言える。このトップの決断の特徴はこうだ。
関連性のない新技術、新市場、新規事業への飛躍など、検証されていない戦略に望みを託し、往々にして新戦略を喧伝する

・「ゲームを変える」大型買収案件を探し(その際に、期待しているだけで未検証の「相乗効果」を根拠にすることが多く)、会社を一気に変えようとする。

脅威に直面してパニックに陥り、資金の流出と財務力の一層の低下をもたらして経営危機を深化させかねない一か八かの行動をとる

・抜本的な改革、革命の計画を実行に移し、会社のほぼすべての側面を変革するか覆し、基本的な強みを損なうか放棄する。

業績の低迷を補うために、明るい未来を約束して売り込む

・リストラや一貫性のない方針変更を繰り返して、勢いを破壊する。

救世主になる指導者を求め、外部から乗り込んでビジョンを示し、会社を強化してくれる経営者を選ぼうとする。(ジェームズ・C. コリンズ著/山岡洋一訳「ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階」日経BP社)P154

もちろん、再生エネルギーは脱原発をめざすなら、避けては通れない道である。まったく関連がないわけではない。だが、原発事故が収束しないうちに、このような提案を出すのは早すぎるのではないか。ただ、僕は例外として、アップルの例を挙げ
1997年にジョブズ氏は、アップルに復活した。そして、現代の快進撃を見ると、第四段階で否定されていたビジョンを掲げるカリスマ的な指導者も例外的にはいるものだなと思う。(衰退の五段階」を読む)

孫氏は日本のジョブズになれるか

孫氏は本当に日本の運命を変える日本のスティーブ・ジョブズになれるだろうか。

6月12日に自然エネルギーに関する「総理・有識者オープン懇談会」という菅総理と5人の有識者との懇談会があった。その5人とは、枝廣淳子 環境ジャーナリスト、 岡田武史 元サッカー日本代表監督、小林武史 ap bank代表理事、坂本龍一 ミュージシャン(ビデオメッセージによる参加)、孫 正義 ソフトバンク社長である。

この1時間56分にわたる政府のインターネットテレビを見ると、菅総理孫社長に対して、「政治家以上の政治家」と発言している。それは、孫社長が次のような行動をとっているからである。

電田(でんでん)プロジェクト

ソフトバンクの孫正義社長は23日、参院行政監視委員会に参考人として出席し、休耕田などに太陽光発電装置を設置して発電する「電田プロジェクト」を推進すべきだと提案した。

全国にある休耕田や耕作放棄地などを「電気の田んぼ」と見立て、その2割に太陽光発電装置を設置すれば、「原発50基分の発電ができる」などと持論を展開した。

孫社長東京電力福島第一原子力発電所の事故後、原発に代わる大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設計画を提唱している。実現には用地確保など難題があるが、埼玉県や近畿などの2府5県でつくる関西広域連合が協力を検討している。(2011年5月23日20時12分 読売新聞 休耕田で太陽光発電…孫社長が「電田」計画

大規模太陽光発電
通信大手・ソフトバンクが自治体に連携を呼びかけ、大規模な太陽光発電所(メガソーラー)の建設を検討していることが、関係者への取材で分かった。同社はまず、大阪、三重、鳥取など約15府県と自然エネルギーの普及を進める協議会を設置。府県側と協力して総額800億円を投資し、20メガワット規模の太陽光発電所10カ所を建設する構想という。

ソフトバンクの孫正義社長は4月、福島の原発事故を踏まえて原子力発電への依存から脱却し、太陽光や風力など自然エネルギー開発を進める構想を提唱。その後、各府県に対し推進母体となる協議会への参加を呼びかけていた。自治体関係者によると、孫氏は25、26の両日、東京での自治体会議や7府県でつくる関西広域連合の会合に参加し、構想を説明する予定。

ソフトバンク側の構想では、同社と各府県が太陽光発電事業を行う共同企業体を設立。府県の所有地など10カ所に、一般家庭6万世帯分の電力をまかなう計200メガワット規模のメガソーラーを開業させる。電機大手・シャープなどが太陽光パネルを供給。総額約800億円を見込む建設費用はソフトバンクが大半を負担するが、自治体に各1億円程度を出資してもらうことも検討するという。 (2011年5月23日朝日新聞 ソフトバンク、大規模な太陽光発電施設の建設検討)

このメガソーラーの建設は、国内だけにとどまらないらしい。

新再生エネルギー財団

「新再生エネルギー推進で協力を」 ソフトバンク社長が要請

韓国を訪れているソフトバンクの孫正義社長は20日、大統領府の青瓦台で李明博(イ・ミョンバク)大統領を表敬訪問し、新再生エネルギー政策を進める必要性を強調しました。

この席で孫正義社長は自らが設立した「新再生エネルギー財団」と、李明博大統領が進めている「グローバル・グリーン成長研究所」がパートナーシップを締結するようにする考えと、モンゴルのゴビ砂漠で太陽光などを活用できる発電施設を建設するプロジェクトを説明しました。(「新再生エネルギー推進で協力を」 ソフトバンク社長が要請)

なお、
孫正義社長はまた自身が日本で脱原発を主張していることについて「脱原発は地震の多い日本の場合で、韓国の原発は安全性を維持して運営されていることを高く評価する」と述べました。(「新再生エネルギー推進で協力を」 ソフトバンク社長が要請)
とする発言は、大統領の立場を気遣った発言かもしれないが、日本国内の誤解を招いている。

自然エネルギー協議会

ソフトバンクの孫正義社長は25日、都内で「自然エネルギー協議会」を設立することを表明した。協議会には19の道県地方自治体も参加、設立は7月の上旬を予定する。

自然エネルギー協議会とは、自然エネルギーの普及促進に関する活動を中心とする団体。孫氏は、千代田区の都道府県会館で設立会見に臨んだ。

「3月11日の午前に再生可能エネルギー法案の閣議決定がなされ、原子力、火力に加えて、自然エネルギーと省エネルギーの4本柱になることが決まっていた。(東日本)地震はその日の午後に起きた。10年後には欧州並みの30%に自然エネルギーの構成比率を上げることが必要だ」と、設立の動機を述べた。

会見には上田清司埼玉県知事 黒岩裕治神奈川県知事、阿部守一長野県知事、川勝平太静岡県知事が同席。また、中野節秋田県副知事、江畑賢治三重県副知事も加わった。(ソフトバンク孫社長、「自然エネルギー協議会」設立を表明 19道県参加へ)

韓国の記事は、6月のものだが、他の記事は5月23~25日のもの。6月12日の自然エネルギーに関する「総理・有識者オープン懇談会」では、この「自然エネルギー協議会」は33道府県に伸び、6月16日現在では、34道府県に伸びている。

孫氏の政治的な発言について、思い出すのは、孫氏の理想と夏野氏の悲嘆(孫正義VS池田信夫「光の道」対談(夏野剛司会)を読む)の中で司会の夏野氏の発言

夏野:そうすると総務省だけの管轄にはなりませんので、
夏野:そうすると、原口さんが光の道と言うだけでは足りなくて、なおかつ首相が言って、ほかの省庁の方々も口を揃えて言わないといけないんですが。
夏野:そうすると、総務省だけの管轄じゃならないので……
夏野:そうすると原口さんが光の道と言ってるのだと足りなくて、首相がなおかつ、他の省庁の方も口を揃えて言わなくてはいけないんですが……
(中略)
夏野:その具体的な解決策は、孫さんを首相にしないとダメ。(【書き起こし.com】孫正義VS池田信夫「光の道」対談(夏野剛司会)Part3)
(注意: 孫氏の理想と夏野氏の悲嘆(孫正義VS池田信夫「光の道」対談(夏野剛司会)を読むの時の【書き起こし.com】のリンク先が上記に移転された)
この時の夏野氏の発言は、孫氏の理想を実現するためには、さまざまな省庁の管轄の権限を縦断するため、政治力を持たなければならないことを示唆している。

この時は、孫氏は原発についてはあまり考えていなかったという。福島の原発事故があって考えを変えたらしい。【全文書き起こし】孫正義の決意!<東日本大震災・原発問題に立ち向かう>Part1でこんな発言をしている。

ところが原発問題ですけども、ほんの1カ月前まで、わたくしは原発について、賛成論者でもなく、反対論者でもなかった。つまり意見がなかった。あまり考えなかった。電気はあるのが当たり前、あって当たり前、という風に感じてましたし、その中に原発があるということは認識しておりましたけども、それがどのくらい安全にあるいは危険な状態で運営されているのか、ということはまったく意識の外でありました。恥ずかしい話ですけども、そういう認識でありました。しかしこの1ヶ月間本当に自分なりに悩んで考えこんで、いろいろな思いを巡らせましたけども、少し必死で勉強してみました。(【全文書き起こし】孫正義の決意!<東日本大震災・原発問題に立ち向かう>Part1)
ともかく、高齢な既得権益者の政治集団に、ひとり孫正義という異業種の男が乗り込んで行って革命を起こすことができるか。これこそが、孫氏が待ち望んでいた平成の坂本龍馬になるわけなのだが、それは、あまりにも夢想的すぎるかもしれない。
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