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インターネットはパンドラの匣か(インターネットは何を破壊し、何を作るか・2)

WOWOWのドラマシリーズ「パンドラ3」が終わった。解説によると、

日本の自殺者数は毎年3万人以上、自殺率は先進国の中で群を抜いて高い。その状況を憂いた一人の研究者が、自殺を防止する画期的な治療法の治験に成功した。しかし、その治療が思わぬ騒動を引き起こしていく…。
江口洋介、内野聖陽上川隆也山本耕史、小澤征悦、板谷由夏福田麻由子泉谷しげるら、開局20周年にふさわしい豪華キャストが競演。脚本家・井上由美子と、河毛俊作監督が、みたびタッグを組んだ。全8話、8日間に起こる物語が、8人の個性的な登場人物を中心に描かれる。
運命の8日後、最後に残されていたものは希望か、絶望か、それとも…?(パンドラ3イントロダクション
物語は、自殺願望があった主人公が、治療によりリーダーシップを取り戻し、この国をよくするにはクーデターを起こすしかないと思い立ち、革命直前まで行くという話。ところで、主人公(内野聖陽)は首相代行まで行ったのだが、結局、日本では誰も政治家にリーダーシップなど求めてないという現実があらわになったのが皮肉な話だ。海外なら、話は変わるだろうけど。

さて、タイトルになった「パンドラの匣」とは、

君はギリシャ神話の「パンドラの匣」という物語をご存知だろう。あけてはならぬ匣 (はこ) をあけたばかりに、病苦、悲哀、嫉妬、貪欲、猜疑、陰険、飢餓、憎悪など、あらゆる不吉の虫が這い出し、空を覆ってぶんぶん飛び廻り、それ以来、人間は永遠に不幸に悶えなければならなくなったが、しかし、その匣の隅に、けし粒ほどの小さい光る石が残っていて、その石に幽 (かす)かに「希望」という字が書かれていたという話。(太宰治著「パンドラの匣」新潮文庫)(テレビの魔力
前項「インターネットは何を破壊し、何を作るか」の答えを求めてさまよっているうちに、
圧倒的な失業者と、一部の成功者と、ほんの少し残った「自分の未来をつかみ、富を再び自分の手に取り戻すためのツール」によって未来を切り開く者があるように見えてくる。(インターネットは何を破壊し、何を作るか
の部分などは、「パンドラの匣」の状態とほとんど重なってくる。でも、これでは、わざわざインターネットを求めた理由が見えてこない。インターネットは、あけてはならぬ匣 (はこ)ではなくて、
シリコンバレーでわれわれが作り出しているテクノロジは、止(や)めることも避けることもできない。われわれが止めれば、ほかの誰かがやる。それらは破壊的であると同時に産業や市場の構造を変える。(シリコンバレーのわれわれは雇用を殺し, 富める者を肥大させているのか?
ものだからだ。確かに過去のビジネスで成り立っていた者には、「パンドラの匣」かもしれない。「こんなもの、誰が欲しいといったかよ」といっても、それを使わなければ、将来のビジネスが成り立たない。酒井穣氏が、
ですが今、僕たちが目の前にしている変化は「ゆらぎ」ではありません。様々な物事の秩序が変わるような、大変化です。これを『グレート・リセット 』と表現したリチャード・フロリダ教授(トロント大学)の意見に僕も賛成で、これからの20〜30年という期間の間には、これまでとは異なる「新しいライフスタイル」が生まれ、僕たちの価値観にも大きな変化が起こるものと思います。

ギリシャ危機が、イタリア、フランスにまで拡大すれば、おそらくは、リーマン・ショックと同等か、場合によってはそれ以上の影響を世界に与える可能性があります。それはしかし、単なる不況ではなく、後に振り返ればグローバル社会の転換点として記憶されることになるように思うのです。

世界の変化に合わせて、個人も組織も変化しないとなりません。しかし各種の変化に対して「これまでの状態を維持したい」といった、変化とは逆方向の力を、個人も組織も、その内側に本能として持っています。

組織のホメオスタシスは、ジェームズ・オトゥール教授(デンバー大学)が「変革を拒む33の憶測」(金井壽宏『組織変革のビジョン』より孫引き)のうち「第1番目」としてピックアップしているほどのもので、組織変革においては、大きな妨げになります。個人においても、これは同じことでしょう。(これは「ゆらぎ」ではない。

と語ったように、一面から見れば、「パンドラの匣」のように見えても、それに抵抗したところで仕方がない。「インターネットの匣」はすでに大きく開かれてしまったのだから。
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