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ようやくテレビはネットの重要性に気付いた(2)(ホームサーバの戦い・第111章)

広がるスマートテレビ〜テレビはどこへ向かうのか〜

今回は放送記念日特集「広がるスマートテレビ〜テレビはどこへ向かうのか〜」の中からリポート部分を省きスタジオの対談部分を書き起こす。今回は前半の第一部

第一部 スマートテレビの可能性

中谷日出キャスター 今夜は専門家の方々を交え、テレビの未来について考えていきます。まずはですね、元毎日新聞記者で、通信の世界に詳しい、佐々木俊尚さんです。

佐々木俊尚 よろしくお願いします。

中谷キャスター このVTR、どうお考えになりますか。

佐々木 そうですね。日本ではこのスマートテレビといわれるような種類の製品がほとんど出回っていないのが現実なので、多分ビデオを見られた視聴者の方々も、一体何なんだろうこれはと若干不審に思われる方も多いんじゃないかなと。何が面白いかよくわからない。
ただ、今までのテクノロジーの流れとか、いろんなものを考えていくと、多分、テレビメディアというこの60年くらい続いてきたメディアはですね、大変な変革期に来ていて、おそらく10年後、20年後先には全く違うものになっている、我々が想像もつかない新しいメディアに変貌するんじゃないかとずーっと考えています。

中谷キャスター 今日はその辺の話を。

佐々木 そうですね。そういう意味で、これはものすごく新しい重要な話だと。

中谷キャスター 重要ですね。ありがとうございます。
続いて慶応大学でスマートテレビを研究されている中村伊知哉さん。伊知哉さんは当然スマートテレビは使われている?

中村伊知哉 家でもオフィスでもこんな機械は使ってますけど、まあ、僕以上に息子たちが使っていますね。

中谷キャスター やっぱり、子供が早い。

中村 早いですね。使いこなしています。

中谷キャスター 今日はその辺の話も含めて。

中村 そうですね。

中谷キャスター そして、デジタルコンテンツを制作するIT会社を設立して今や注目を浴びていらっしゃる若手企業家の猪子寿之さん。

猪子寿之 よろしくお願いします。

中谷キャスター 猪子さんはスマートテレビを使ってみたいと思いますか。

猪子 あることはあるんですけど、あんまり使ってないですね。

中谷キャスター 使わない。それはあえて使わないのか、使わなくなったか。

猪子 いや、そのー。ほとんど基本的にネット端末、プレゼン利用ってやっぱり、電話とかPCだとかで済ましてしまいますね。

中谷キャスター 自分が慣れているPCや小さい、

猪子 いつも持っているんで

中谷キャスター 済んでしまう。今の状況はそうですね。

猪子 はい。

中谷キャスター そして、ツィッターやブログで活動を発信して話題を集めていらっしゃる優木まおみさん。

優木まおみ よろしくお願いします。

中谷キャスター よろしくお願いします。

優木 私も新しいものがすごく大好きなので、タブレットだったり、スマホだったり、いち早く持って毎日ないといられないぐらいずっと触っているから、スマートテレビ、スマテて言うんですか、わかんないんですけど、これから

中谷キャスター 将来的にそう言われるかもしれないですけど

優木 スマテがあったらすぐ買うでしょうね。

中谷キャスター 買う。多分来たらすぐ買うだろう優木まおみさんは、このスマートテレビ、普及すると思いますか。

優木 うーん。

中谷キャスター 日本で。

優木 ただ、若い子たちが、端末、小さいものをいっぱい持っているけど、テレビって老若男女問わずみんなが見るものだし、家で家族で話しながら使えるものなんで、お年寄りの方にとってもずっと向き合いやすいものですから、逆にスマテが一番普及する可能性もあります。

中谷キャスター 大きいことのメリットが生かせるというこどですね。
ところでスマートテレビというのは世界でどれだけ普及しているんでしょうか。田代さん。

田代杏子アナウンサー スマートテレビは2010年ごろから、世界の家電メーカーが販売を始めました。その市場は、北米、西ヨーロッパ、中国を中心に広まっています。日本では2012年度中に85万世帯が利用するようになるとされています。その普及は、急速に進んで2016年ごろには770万世帯まで広がると予想されています。

中谷キャスター そんなテレビの近未来、どうですか。

優木 なんかそのリモコンひとつとってもまだまだ難しそうな感じがするんですけれど。祖母がいるんですけれど、90歳で。スマートフォンを渡して、触ってもらうと、今まで触っていなかったから、取り組んでなかったけれど、いざ見るとすごく使いやすいんですよね。見たままにわかるし、タッチしてこれが欲しいと思ってポンと押すと、わかるから、今までスマートフォンなんかに手が出せなかった人たちも、スマートテレビだったらできそう。画面を押しちゃえばいいんだもん。

中谷キャスター 慣れ親しんだ世界。

優木 いつも見ているから。

中谷キャスター テレビの意味ってそういうところに本当にあるかもしれないですね。

佐々木 テレビの操作っていうのは、僕はすごくあるって思っていて。もともと、本当に子供のころのテレビって、チャンネル、こうやってカチカチ回して

中谷キャスター 取れたりして。

佐々木 取れたり、ペンチで回したりして。

中村 回す。

佐々木 今のテレビって、リモコンすごいですよね。ボタンがすごくたくさんあって、これは完全に、ある意味、技術でインターフェースというんですけれども、操作の傾向としては崩壊しちゃってるんですよ。使いこなす人はほとんどいない。
うちの実家は、兵庫県の山の中なんですけれど、田舎に帰れば、うちの母親70になる、リモコンにセロテープ貼って、「これを押す」とか書いて、これ、家電、電気屋さんが作ってくれるんです。そういうことしないと、もう70歳くらいの人は使えない状況になってしまっている。
もう少し、根底から考え直して、さっき動画で出てきましたけれど、アプリケーションのアイコンを並べることで、それをタッチして番組を切り替えるとか、インターネット上の動画も皆さんが見ている地上波の番組も、CS・BSも全部同じような形で見れるようにするとか、そういう風に、根本からテレビの見方自体を改めましょう。っていう考え方なんですね。だから、操作系が変わることによって、テレビの見え方もものすごく変わってくるんじゃないかと思っているんです。

中村 僕は、スマートテレビで「新しい茶の間」ができるんじゃないかと思うんですよ。テレビが寝室にも入って、子供部屋にも入って、ばらばらになっちゃった。だけど、スマートテレビ、ここに登場してきたものというのは、テレビを見るだけじゃなくて、参加する、あるいはネットでみんなとつながることなんで、これからそのネットの空間といいますか、バーチャルな空間で、いろんな人とつながりながら、テレビを見る。そういう環境になってくる。新しい茶の間、新しいコミュニケーション、コミュニティができてくるという事かなと思います。

中谷キャスター 遠く離れた遠隔にいる人たちとも茶の間で一緒に楽しむことができる。

中村 それから現実も茶の間だと思うんですよね。テレビをみんなで家族と見てますと、AKB48が現れました。お父さんは誰が誰だかわかんない。で、それを娘に聞くのも恥ずかしい、手元のスマートフォンを見たら誰かってデータが出ていた。こうやって会話に入っていける。

中谷キャスター 知ったふりができて、娘ともコミュニケーションを取りやすくなる。

中村 お父さんの味方。

中谷キャスター なるほど。猪子さん、いかがですか。

猪子 あの、テレビの延長だと考えると、難しいと思っていて。ケータイを見ればわかると思うんですけれど、スマートフォンというのは、電話の延長にあったわけではなくて、ネット端末の延長にあったと思うんですよね。今までの電話の延長にあるような会話ではなくて、なんかこう、しゃべらない通話みたいな、さみしいので、たとえば、恋人と会うまでは時間がないんだけど、話すこととかないじゃないですか。

佐々木 空気感が共有できる。

猪子 本当は、しゃべんなくてもいいので、

中谷キャスター つながってればいい。

猪子 つながってるみたいな。しゃべんないとか、しゃべんない会話。

中谷キャスター テレビっていうのはね、テレビジョンという言葉があるように、遠くを見る。それがね、どんどん進化する。遠くを感じる時代という、まさにね、雰囲気を感じてみんながコミュニケーションをする時代なんだと思いますけどね。

優木 想像もわかない面白いことかいっぱいあると思うんですけど、反面、ちょっと不安な部分もいくつかあるなと思うのは、スマートフォンでシークレットモードにして人に見せたくない、たとえばこういうのを検索しているのを人に知られたくない、家族には

中谷キャスター 絶対、みんな人にはありますよね。

優木 ありますよね。そういうのが、テレビの場合、全部を共有しなければいけないとか、そこを使い分けていかないと全く一緒にしてしまうとそれが家族の揉め事につながるんじゃないかという事とか、

中谷キャスター アッ、出ちゃったとか。

優木 そう。

中谷キャスター そういう不安もあるでしょう。
スマートテレビは、通信機能を持っていることでタブレットやスマートフォンなど他の機器と連携することが可能です。

田代アナウンサー はい。スマートテレビの前には、スマートフォン、タブレット、そしてパソコンが置いてあります。この4つの機器は基本的には同じような機能を持つようになってきています。さらに互いを連携させることによって、その利便性が高まるようになっているんです。たとえば、スマートテレビで映画を購入したと致します。すると出かけた先でも、スマートフォンやタブレットでその映画を見ることができる。そういうサービスが増えているんです。つまり、4つの機器を状況によって使い分けることによって、いつでもそしてどこでもサービスを利用できるという事なんです。このように映像を見る環境が著しく変わることによって、映像を提供する側にも大きな動きが起こっています。

<VTR アメリカのコンテンツビジネス>

中谷キャスター 映像コンテンツが無限大に広がる状況なんですけれど、どう思いますか。猪子さん。

猪子 超幸せですよ。幸せじゃないですか。いろんなものがあって。好きなように作って、好きなように流せるんでしょう。超いいじゃないですか。

中谷キャスター この無限大の映像とどうつきあえばいいですかね。

優木 今だったら、テレビがあって、それを見ていると、いろんな人が調べたちゃんとしたデータが。もちろん、テレビに流れているデータが全部正しいわけじゃないですけれど。いろいろな人が検証したちゃんとしたデータが出るとして、それが誰でもなんでも流せるようになったら、どれが本当に正しいのか、そういうものを自分が見極められるのか、という事が不安になります。

中村 プロかアマチュアかというのを見る側が決めていく世界になっていくと思う。これまで、ひとにぎりのプロが作っていたから、ある種、編集されていた。これから情報があふれるんで、見る側、受け取る側が編集力を持っていかなくてはいけないですよね。その、見極める力といいますかね。それって、一人でやるのはなかなか大変だから、編集整理してくれる自分の好みに近い、編集者みたいなものをネットの上でうまく見つけることだと思います。

中谷キャスター なるほどね。そういうまたマスを作っていくということが大事なんですね。

佐々木 中村先生がおっしゃっているような、その、いい番組をどうやって見つけるのかというところにもっと「集合知」っていわゆる、ソーシャルメディア上でいろんな人がこんな番組面白いですよって紹介しあっている。その紹介し合っているような行為を、もっとどんどん普及させていきましょうみたいな感じになってくる。こういうのを、最近、キュレーションという言い方をしてるんですけれど、キュレーションっていうのはもともと美術館の学芸員のことで、絵の世界中の絵を集めて企画展をやるキュレターっていうんですけど。ああいう形で世界中の様々な情報から自分の価値観でいい情報を見つけてきて、それをツィッターとかフェイスブックとかソーシャルメディアで「皆さん、この記事面白いですよ。私の視線で、この記事目に留まりました」と紹介していく。それがキュレーション活動です。すごくネット上で広がっているんですよね。これで結構いい本を見つけたりとか、いいブログを見つけたりとか、こういうのがテレビの世界に広がっていくんじゃないかと思います。

優木 それってあれですかね。ネットなんかで買い物してると、これを買った人はこんなものを良く買っていますとか。トントンとよく出てくる。

佐々木 あれと原理的には同じです。あれは自動的にコンピュータが処理していくんで、あれを紹介する人自身が自分で。

中谷キャスター 人がやるという事ですか。

優木 あれを人がやる。

猪子 (優木に)フェイスブックはやってないんですか。

優木 フェイスブックはやってないんです。

猪子 フェイスブックをやっていると、友たちからバンバン、シェアされるんです、情報が。動画ともどんどんシェアされるんで。現実、困ってないんで、おそらく、情報が超大量になっても、そんなに困んないです。

優木 ふーん。

中村 こんなに技術が進んできたのに、逆に人の価値が高まる。

佐々木 そうですね。それでね、猪子さんが困らないって言って、ほかの人が困ると思うのは何が違うか。それは情報収集力が違うんですよ。

猪子 そんな困っている人はいますかね。

佐々木 多分、テレビの世界って、やっぱり、本当に、普通のおじいちゃん、おばあちゃんまで見てもらわなければいけない。その時に、果たして、自分で情報を取りに行ける人、誰かに聞けば大丈夫っていうキュレーターみたいな人を捜せるか。そのスキルがなかなか持てないと思う。そういうときに、もっと自動的に、自分にとって必要な番組とかね、自分にとって楽しいだろうという番組を、どこかで教えてくれる仕組みというのが、多分、必要になってくる。

猪子 でも、普通にありますよね。ソーシャルメディアだとか。

佐々木 使いこなしてればね。

猪子 無意識に使いこなしちゃってますよね。

優木 それ、ネット・エリートなんですよ。たぶん。
私とか、ほんと、そんなに言ってもついていけてないから。

猪子 そんなことじゃなくて。使ってるじゃないですか。

優木 使っているんですけど。もっと使えそうなんだけど、いまいち、最初の部分しかやれてないと思う。

猪子 たぶん、フル使っていると思います。
そんなもんなんです。多分、優木さんの話、今、全く嘘で、お店はできるだけものを増やすとお客さんを集める。

優木 違うんですよ。あたし、今ファッションの仕事とかしてるんですけど、一番人気企画は着回しコーデとか言って、これとこれとこれだったら、こんな風にいろんなパターンで着こなせるから、これお勧めですよというと、みんな同じものを買っちゃう。

猪子 でも、それしかないお店だったら誰も来ない。

優木 お店にはあるんですけれど、いっぱいある中でこれえらんどきゃ間違いないよ。って言ってくれる人が欲しい。

中村 キュレーターだ。

優木 それがキュレーターかなとは今思います。

中谷キャスター はい。話は尽きませんですけれど、これまでも見てきたように、スマートテレビは様々な使い方ができることから、新たな産業を生み出す可能性を秘めています。このビジネスに参入してきた企業を取材しました。

<VTR スマートテレビ新しいビジネス>

中谷キャスター 放送と通信の融合はどれぐらい産業を発展させることができるのか。いかがでしょう、佐々木さん。

佐々木 そうですね。テレビのビジネスという概念そのものは、根底から変わるんじゃないかと思っていて、スマートテレビの世界っていうのは、ある意味、いろんなビジネスが、パーツがたくさん集まって一つのテレビジョンを作るような方向に変わっていくと思うんですね。たとえば番組の配信するスマートテレビのプラットフォームがあり、あるいはそれに広告をつけるビジネスがあり、あるいはそこで有料で決済、お金を払ってもらえる仕組みを作ると、そこにはまだ現状ではその世界が始まったばかりで、決まってないパーツが無数たくさんある。

中谷キャスター 放送局がやっていた業務が分散されていくと。

佐々木 水平分業化というんですけれども、水平分業されることによって、いろんな外側の会社がベンチャーとか、新しい世界の企業がどんどん担えるようになる。これからジグゾーパズルのピースを埋めるように、どんどんそれを埋めていく。そういうほうに進むんじゃないかなと。

中谷キャスター 様々な業界が企業努力して、産業を広げていく。

佐々木 こんなところにこんなビジネスがあったとみんなが思いつくということですね。

猪子 通信は国境は関係ないので、そう考えると、極論、マーケットが60倍ぐらいになるとも考えられる。国内だけ見ると、すごい勢いでシェアが減るけれども、環境的には国境がなくなるので、違う視点だと60倍になる。考え方を相当シフトしていったほうが、いいんじゃないかなと思いますけどね。

佐々木 今までのテレビっていうのは、言葉ごとだったんですね。日本語とか英語とかフランス語、そうすると日本語のマーケットというのは、1億2000万しかないと思われてた。今、猪子さんがおっしゃったように、世界中が勝負にできる、別に、必ずしも、60億人、70億人と勝負するということだけではなくて、同じ趣味の人とか、たとえば、日本のオタク文化ですよね。萌え系のコンテンツが世界に売られている状態、あれがしかもYouTubeのような世界中のプラットフォームに流れていることを考えると、全地球のすべての人を対象にするんじゃなくて、同じ特定の分野の人だけを対象にする、今までだったら日本国内でそれが何万人かぐらいしかいなくて、大してお金もうけがありませんでした。でもこれが、日本には何万人かだけど、世界中にすると実は何百万人かいるかもしれません。そしてそれは十分ビジネスが成り立つよ、横展開することで、新しい市場、マーケットが出てくる。これってすごく期待できることですよね。

中谷キャスター シェアをグローバルにするということが大きなポイントなんでしょうね。

優木 趣味だけでやっていこうとする人もちろんいていいし、ビジネスチャンスにしていこう、今、ビジネスにしていなくてもビジネスにしていこうという人が増えたほうがいいですよね。そっちのほうが経済は回るし、

中谷キャスター そうですよね。

中村 これまでの日本はそれが下手だったですよね。ビジネスにしていくってことです。通信の市場が年間16兆円くらい、放送が4兆円ぐらいで、合わせて20兆円なんです。その2つが融合することで、その20兆が25兆になるのか、30兆になるのかということがポイントだったんですけど、日本は非常にその動きが遅くてですね。欧米に比べて。放送局も動きが遅かったんですけれども、ここにきてかなり動きが出てきましたね。たとえば、NHKオンデマンド頑張ってますし、民放のテレビのネット配信も黒字になってきた。ラジオもそうなんですね。NHKでいうとラジル、民放でラジコというネット配信のサービスがありますけど、あれで若い人たちがラジオを再発見してるんですね。家にもラジオの受信機ってないんだけれど、それがパソコンとかスマートフォンで聞いてみたら、これ、ラジオって面白いじゃん。ということで、日本のコンテンツの力が改めて再発見されて、そこでまた新しいチャンスが生まれる。

中谷キャスター 放送局の在り方については、また二部で、お話しさせていただきたいと思うんです。ええ、第一部では、スマートテレビの現状について見てきました。この後の第二部では、このテレビの大変革期にテレビ放送局がどうあるべきなのかを考えてみたいと思います。
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