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ソニーはナスネによってデジタルハブの夢を見るか(ホームサーバの戦い・第118章)

ナスネの発表

AV Watchに「SCE、PS3やVitaと連携する新デジタルレコーダ「nasne」 −torneで制御。3波チューナ/500GB内蔵で16,980円 」という記事があった。
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は、PlayStation 3用の新しいデジタル放送レコーダ兼ストレージとして、500GBのHDDと、地上/BS/110度CSデジタルチューナを搭載した「nasne(ナスネ)」(CECH-ZNR1J)を7月19日に発売する。価格は16,980円。

nasneには、Ethernet端子と地上/BS/110度CSデジタルチューナ各1基、500GB HDDが内蔵されている。録画モードは「DR」と「3倍」の2種類で、録画番組のDTCP-IP moveに対応。製品に同梱されている、PS3用アプリ「torne」(ver4.0)をPS3にインストールし、PS3からLAN経由でnasneを制御できる。

録画機としては単体で動作するが、操作のためにPS3などのtorneアプリが必要。PS3のほか、PlayStation Vita、PC(VAIO)、Sony Tablet、Xperiaなどから操作/再生できる。映像出力端子は備えておらず、録画した番組はネットワーク経由でPS3などの対応デバイスに出力する。なお、torneのようにUSBでPS3と接続する必要はない。

放送の受信・HDDへの録画自体はnasneが行ない、その操作や、録画番組の視聴をPS3のtorneから行なうという連携で、PS3 1台に対して、nasneは最大4台まで登録可能。同時に利用し、テレビ番組を同時録画する事も可能。発売中のチューナ「torne」と一緒に使う事もでき、最大で5番組の同時録画が可能になる。「torne」(ver4.0)の詳細は後日発表予定。(SCE、PS3やVitaと連携する新デジタルレコーダ「nasne」 −torneで制御。3波チューナ/500GB内蔵で16,980円)

ごちゃごちゃ書いてあるのでわかりにくい。このナスネについて、Q&Aがあったのでそれを引用する。
Q:nasneって何?
A:nasneと書いて「ナスネ」と読みます。ネットワークに接続して使用するレコーダー兼NAS(ネットワークHDD)です。500GB HDDを搭載し、チューナーは地上/BS/110度CSデジタルチューナーを1基備えています。

Q:torneとは何が違うの?
A:torneは、PS3専用のレコーダーキットで、録画にはあくまでPS3が必要となります。録画できるのも、PS3の内蔵HDD、またはPS3に接続したHDDです。またtorneで録画した番組を、ネットワーク内の別の機器で再生することはできません。

これに対してnasneでは、PS3やVAIO、PS Vitaなど様々な機器から録画予約や視聴が可能です。PS3とも連携できますが、必ず必要というわけではありません。またDLNA配信機能も備えているので、録画番組や放送中の番組を、ネットワーク内の対応機器へ配信し、様々なデバイスで視聴することが可能です。(SCEの新ネットワークレコーダー「nasne」(ナスネ) − 機能をQ&A形式で紹介)

今までのトルネは、地上デジタル専用で、しかもHDDはPS3のHDDを使うか、新たに別売りのHDDを買う必要があった。しかもトルネでの視聴はPS3に接続されたテレビで見るか、PSPに書き出すことしかできなかった。一方、ナスネは地デジのほかにBSとCSのチューナーと500GのHDDを備えており、対応するVAIOのレコーダーやブルーレイレコーダーで書きだすことも可能だという。

500GBのHDDレコーダーとしてみても、16980円なのでそれなりに安価だと思う。ソニーには、ソニータブレットというタブレットもあるが、それに対しても、

Sony Tabletでは、「RECOPLA」を使ってnasneに直接アクセスし、Wi-Fi経由でテレビ番組のライブ試聴や録画番組の視聴が可能。またXperiaも一部機器が2012年中に対応予定で、録画番組の視聴やライブ試聴が可能になる見込み。さらにSony Tabletと対応のXperiaについては、「Gガイドテレビ王国CHAN-TORU」を利用し、外出先からテレビ番組の録画予約も可能にする。

またnasneはDLNAサーバー搭載ストレージとしても使用でき、動画や音楽、画像などを保存し、DLNAで配信できる。ただし、画像や音楽などのプライベートコンテンツのDLNA配信は、ナスネシステムソフトウェアVer.1.50より対応予定となる。さらにnasneでは、外付けHDDを接続することで容量の拡張も行える。(SCE、PS3やPS Vita/VAIOなどと連携するネットワークレコーダー/NAS「nasne」を発売)

「RECOPLA」とは何かと調べてみると、タブレットとレコーダーとの連携機能だという。小寺信良氏の記事週刊エレクトリックズーマ「第560回:TV番組を“スマート化”するソニー「RECOPLA」 〜レコーダで録画しタブレットで視聴。機能山盛り〜」によると、
さてRECOPLAでできること、特徴をまとめてみると以下のようになる。
1. レコーダ4台、拡張HDD 4台までの録画番組を管理
2. 録画番組の分類表示
3. 録画番組の視聴
4. 放送中番組の視聴
5. 録画予約
このうち(4)の「放送中番組の視聴」は、同じアプリ内で録画番組と放送中の番組が見られるというのがウリではあるのだが、この機能は5月下旬のアップデートから利用できるということなので、今回は試すことができない。
また(5)の録画予約に関しては、実質的にWEBアプリの「Gガイド.テレビ王国 CHAN-TORU」サービスへ飛ばされるだけなので、RECOPLAそのものの機能というわけではない。

ナスネはハブ

どこの家電メーカーでも、テレビとケータイやスマートフォン、タブレットとの連携を模索しているが、将来的には、タブレットそのものがテレビになる時代は近いだろう。タブレットに地デジアンテナやBSのパラボラをつけてハイビジョンを見ることは不可能なので、自宅にあるナスネのような機器を介してという事になる。ソニーの社長兼CEOの平井一夫氏は、このナスネの発売に関して次のようなことを言っている。
ナスネがホームエンタテインメントのハブとなり、ソニーグループが持つネットワークに対応した様々な製品群とつながることで、ソニーならではのシームレスなユーザー体験を提供します。ナスネは、専用アプリケーションを通じて様々なソニー製品でテレビ番組を楽しむことを可能にし、視聴スタイルの自由度を飛躍的に高めます。今後も、ソニーグループ内の連携を強化し、世界中のお客さまに感動を与え、好奇心を刺激するような魅力的な商品やサービスをお届けしてまいりますのでご期待ください。」(ニュースリリース)
ホームエンタテインメントのハブ」という言葉で思い出したのが、ジョブズ氏のデジタルハブ構想である。
ジョブズは、アップルを変革し、同時にテクノロジー業界全体さえも変革しようとする壮大な構想を打ち出す。パーソナルコンピュータは脇役になどならない。音楽プレイヤーからビデオレコーダー、カメラにいたる、様々な機器を連携させる「デジタルハブ」になる――としたのだ。あらゆる機器をコンピュータにつないで同期する。そうすれば、音楽も写真も動画も情報も、ジョブズがいう「デジタルライフスタイル」のあらゆる側面をコンピュータで管理できる。(p147)

ユーザーとクラウドとの関係を管理する会社に僕らはならなきゃいけない――音楽や動画をクラウドからストリーミングする、写真や情報、場合によっては医療情報までをクラウドに保管する。コンピュータがデジタルハブになると見抜いたのはアップルだ。だから僕らは、iPhotoiMovieiTunesなどさまざまなアプリを作り、それをiPodiPhoneiPadといった機器に結び付け、抜群の使い勝手を実現したんだ。でもこの先数年で、ハブはユーザーのコンピュータからクラウドに移る。デジタルハブ戦略という意味で同じだけど、ハブの場所が変わるんだ。そうなれば、どこからでも、自分のコンテンツが使えるようになり、同期する必要もなくなる。(p374-375)(ウォルター・アイザックソン著/井口耕二訳「スティーブ・ジョブズ?」講談社)( ホームサーバの戦いシリーズの原点(ホームサーバの戦い・第117章) )

平井CEOの言う「ホームエンタテインメントのハブ」はもちろんテレビの録画に限らない。ナスネの説明にあったように、
またnasneはDLNAサーバー搭載ストレージとしても使用でき、動画や音楽、画像などを保存し、DLNAで配信できる。
機能を持つ。その点では、ジョブズ氏の言う、音楽プレイヤーからビデオレコーダー、カメラにいたる、様々な機器を連携させる「デジタルハブ」になる――と同じであり、久夛良木健氏の
ネットワークで配信(再配信)可能なコンテンツには、ゲームの他にも、映画・音楽、許諾を受けた放送番組、あるいは個人が撮影した膨大な数の写真や動画などがあるだろう。今後、家庭において「プレイステーション 3」自体がホーム・サーバーとなり、他の携帯機器やネットワーク接続されたデジタル家電機器、さらにはパソコンにも、ゲームや映像や音楽を配信することも可能になる。(久多良木健氏からの手紙、「PS3が創るリアルタイム・コンピューティングの未来」)
とまったく同じである。平井氏は、久夛良木氏のデジタルハブであるPS3を、内側にはソニー本体の分裂しつつあるハードとコンテンツをつなげるため、外側にはコモディテイ化するテレビと離れつつあるユーザーをつなげるハブとしてナスネを作り上げたのである。


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