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素人だから言えることもある

抜き書き「NHKスペシャル 職場を襲う "新型うつ"」(1)

4月29日に「NHKスペシャル 職場を襲う "新型うつ"」という番組が放送された。これもまた興味深い現代病だ。今回も2回にわたって書き起こしてみる。

解説にはこうある。

今、企業にとってうつ病を中心としたメンタルヘルスの問題は緊急の課題となっている。特に最近、大きな注目を集めているのが「現代型うつ」とも呼ばれる、新しいタイプのうつだ。現代型うつは、若者に多いとされ、従来型のうつ病と同様、不眠や気分の落ち込みなどの症状を呈する一方、常にうつ症状に陥っているわけではないのが特徴だ。職場を離れると気分が回復し、趣味や旅行など好きなことには活動的になり、うつになった原因は自分ではなく、職場など他人にあると考える自己中心的な性格がよく見られるという。さらに現代型うつは一見、“怠け”や性格の問題と捉えられることも多く、従来の抗うつ薬が効きにくいとされ、対応が難しいのが現状だ。また精神科医療の現場でも、現代型うつの患者は急増しており、日本うつ病学会でも対応策を模索し始めている。
今回、NHKが独自に実施した企業へのアンケート調査でも、現代型うつと見られる社員を抱える企業は65%に上り、対応に苦慮する企業の実態が浮かび上がってきた。番組では、大規模なアンケート調査を通してメンタルヘルス問題の全体像を把握するとともに、メンタルヘルス問題に積極的に取り組む企業や医療の最前線を取材。さらに現代型うつに悩む若者と企業の実態をドラマで描くという演出も取り入れながら、メンタルヘルスの問題にどう立ち向かっていけばいいのか、そのヒントを探っていく。(NHKスペシャル 職場を襲う "新型うつ" )
一部、聞き取れなかった部分があるので、あくまで参考にしてほしい。

<ドラマ>

今井 おれさー、うつ病になっちゃった。
友達 なんかあったの?
今井の声 会社には行けないけど、友達とは飲みに行ける。
今井 気分転換に、グアム、行っちゃいますか。
今井の声 ときには海外旅行にだって行ける。
医師 うつ病ですね。
今井 ですよねー。
今井の声 俺は、最近増えている、というちょっと変わったうつ病だと告げられた。新型うつというんだそうだ。

<VTR>新型うつ管理職研修会

ナレーション(以下NA)(高橋美鈴) 新型うつは、今、20代から30代に広がっています。現代型うつとも呼ばれています。
新型うつ管理職研修会講師 新型うつというのは非常に蔓延しています。メンタルクリニックを占拠している勢いで急増しています。
NA 理由もわからないままに、突然休む。復職しても再発を繰り返す。企業は対策に頭を抱えています。
新型うつ管理職研修会の声A この人ってそもそも仕事が原因なのかな?
新型うつ管理職研修会の声B わからんねえ。
NA NHKが上場企業2200社に行ったアンケートでは、65%の企業が新型うつの社員がいると答えました。休職した社員の穴をカバーしなければならず、職場が疲弊していると、危機感を募らせています。
人事担当者A 戦力にならないですよね。我々の常識が通用しないんです。
人事担当者B 社会性が全く成長しきれていない。
NA なぜ、今、新型うつが増えているのか、どう向き合っていけばよいのか。苦悩する現場を見つめました。

タイトル 職場を襲う "新型うつ"

<VTR>陸上自衛隊久里浜駐屯地

NA 陸上自衛隊、久里浜駐屯地、訓練しているのは、自衛隊員ではありません。この春、あるIT企業に入社した若者たちです。この会社では、新型うつの社員が、5年間で倍増、その原因は、心の弱さにあると考え、鍛えなおしているのです。

<VTR>IT企業

NA 従業員1000人のこの会社、医師や保健師と連携し、対策に取り組んできました。それでも減らないため、危機感を持った人事部は、今年から就業規則の改定に乗り出しました。
人事担当者C あえて就業規則に書くことによって、くぎを刺すというのかな。
NA 規則に加えられたのは、病気欠勤期間中は、病気を治すことに専念するの一文。なぜ、こんな当たり前のことを、わざわざ規則に定めたのでしょうか。
NA きっかけは2年前、20代の男性社員がとったある行動でした。男性は突然、うつ病の診断書を提出し、休職に入りました。悩んでいる様子はなかったと、上司や同僚は言います。その2週間後、人事部の森山さんは、ある申請書を発見し、愕然とします。
人事部長森山 これがあの、会社の福利厚生の一環として、
NA 男性が福利厚生制度を利用して、テーマパークの割引を申請していたのです。うつ病の人が気分が落ち込み、動く気力すらないと、考えていた森山さんにとって、休みを満喫する男性の行動は、信じられないことでした。
人事部長森山 やっぱり、ちょっとね、複雑な気持ちですよね。こういうところに遊びに行く体力・気力があるんだったら、仕事に戻れないのかなあと、私には、感じますよね。

<VTR>鉄鋼メーカー

NA 新型うつは、ホワイトカラーにとどまらず、あらゆる職種に広まっています。この大手鉄鋼メーカーでは、若手社員の育てなおしを掲げ、職場で積極的にコミュニケーションをとるよう、管理職を指導していますが、解決にはつながっていません。
人事担当者D 正直、原因が特定できないようなケースが最近増えているので、何をどうすれば、その人のためになるのか、職場のためになるのか、悩ましいです。
NA そこでこの会社は、職場にとどまらず、私生活にまで踏み込んだ取り組みを始めました。
人事担当者E 休職されている方の家庭訪問をしようかなと思っています。
NA それは家庭訪問。休職した社員の暮らしぶりを調査し、職場復帰へのアドバイスを行います。訪ねた社員は、食事や睡眠が不規則になっていました。そこで、乱れた生活リズムの改善を母親同席の上で指導したといいます。
こうした育てなおしを続けているものの、どこまで面倒を見るべきなのか、悩みは尽きません。
ヘルス改革室主任高橋 やはり、本人に(復職する)気がなかなか起きてこないというのがねえ。適応させるような努力も、我々がもっとしていかないといかんのか。というところが、ちょっと悩むところですね。

<VTR>車の中

NA 今、若い社員に何が起きているのか。
長年、若者と社会のかかわりを見つめてきた江川紹子さんが取材に加わってくれました。
江川紹子 若い人の現象っていのは、結構、その何というか、社会の時代のカナリアみたいなところがあって、あの、いろんな問題を先取りして、凝縮して表しているところもあると思うので、アプローチしていくことは大事なんじゃないかなという風に思いますよね。

<VTR>ビルの一室

NA 企業の人事担当者が匿名を条件に取材に応じてくれました。
江川 新しい、現代型うつというのが最近増えているといううわさは聞いているんですけど、
システム開発人事担当者 (社員が)休職しているんですけれども、毎日、自分で作った料理をブログにアップしてるとか、
金融関係人事担当者 マラソン大会に出てるとか、
ITサービス人事担当者 でも、会社に来るとうつ症状が出てしまう。出てる症状は病気だけど、周りからしてみると怠けに見えてしまう。
NA 話を進めていくと、新型うつの社員の家庭環境の問題を指摘する声も出てきました。
ITサービス人事担当者 休み始めて、本人からの電話じゃなくて、お母さんから連絡が来ることが多いんです。その後も、「本人は連絡取りたくないと言っているので私と連絡を取って下さい」とお母さんとやり取りするのが普通の行為です。一人二人の話じゃない。
情報処理サービス人事担当者 三者面談とか四者面談とかやったことがあります。
?人事担当者 おじいさんが出たりとか、あります。
江川 “現代型(新型)うつ”を発症する人たちは、何か共通する特徴みたいなものはありますか?
?人事担当者 ないんじゃないですかね。あれば、採用で落としますから。本音の部分では採りたくないんですよ。

<VTR>福岡県大牟田市不知火病

NA 広がる新型うつ。精神科医も治療に手を焼いています。従来型のうつ病と、症状は同じですが、薬が効きにくいからです。さらに、上司など、相手を責めたり、仕事以外では活動的な面があるため、周囲からは甘えや怠けと見られがちです。そのことが患者を一層、追いつめているといいます。
不知火病院徳永院長 一見、怠けに見えるかもしれませんけども、症状の波がありますので、しかし強い抑うつ感があったり、集中力が出なくて仕事ができないという、つらい状況であることは間違いありませんので、会社のほうも家族も我々もうつ病という、認識をしっかり持って、みんなで支えながら治療していくのが、一番大事ではないかと思いますね。

<実録ドラマ こうして私は追いつめられた 第1部>

<社内>
NA 若手社員は、何が原因で、新型うつに陥るのか。医療機関への取材をもとに、ある若者のケースをドラマ化しました。
同僚A おい、今井。
NA 主人公は、今井健人、27歳です。
同僚A 何やってんだよ。(HPをさし)250円が何で2000円になるんだよ。
課長前田 そろそろ、これぐらいのこと、ちゃんとできるようになってくれよ。
今井の声 上司の前田さんに怒られっぱなし。
前田 大変、ご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ありませんでした。(と部長に頭を下げる)
今井の声 俺、こんなに頑張っているのに。前田の奴、バカにしやがって。
前田 何やってんだよ。
今井の声 あの言い方はひどい。
前田 そろそろ、これぐらいのこと、ちゃんとできるようになってくれよ。
今井の声 眠れない、落ち着かない。全部、あいつのせいだ。
<病室>
医師 うつ病ですね。
今井 ですよねー。
医師 はい?
今井 俺もそう思ったんで。
今井の声 ほっとした。俺は悪くない。うつ病になるまで苦しんだんだから、もう休んでいいんだ。
<社内>
前田 (3か月休養の診断書をみてる)
同僚A 前田さん、今井がチーム抜けるって、どういうことですか?
前田 休養のため、3か月休職するそうだ。その間、今井の担当部分は、同じチームのみんなに肩代わりしてもらう。
同僚A そんな。俺たち、今の作業量でいっぱいいっぱいですよ。
同僚B あの、今井の代わりに誰か来てもらうとか。
<今井の自宅>
今井 今の時期、グアムも安く行けるんだなぁ。ようし、気分転換にグアム、行っちゃいますか。
(前田からのメール)「何か悩みがあるなら、聞かせてください。連絡待ってます」
今井 わかってねえのか。全然分かってねえのか。こんなに俺をいじめといて。
(「オリオンの闘病ブログ」という闘病記のブログを書く)
今井の声 俺はこのブログで皆さんに伝えたい。俺をうつ病に追い込んだ鬼畜上司・M田!
<社内>
部長 今井君にも困ったもんだな。うつ病だとかいって、単なる怠け病なんじゃないのか。そんなものは、…(聞き取り不能)。甘い、甘い、君も大変だ。
前田 うちのチーム全体が、ぎりぎりなんです。お願いします、人を増やしてください。
部長 無理だ。
<今井の自宅>
(ブログを書く)
今井の声 今日もM田の怒鳴り声がフラッシュバック。M田のここが許せない!ベスト10。
(コメント)
男の声 僕も、SEでうつ病になり、休職中です。オリオンさんの吐く毒は最高。よこたけ。
女の声A 将来が不安で復職できる自信がない。
女の声B どうか焦らずにいてくださいね。のぞみん。
今井の声 みんな、俺の味方なんだ。やっぱり、俺は間違ってない。
<前田の親友の医師の家>
親友 何歳ぐらいなんだ?
前田 (親友の娘?を見て)彼女より少し上だな。悪いな、久々の再会がこんなで。精神科医の意見が聴きたくて。わかんなくてな、俺が悪いのか。俺だって、俺の若いころの上司はもっと厳しかったけどな。
<今井の実家>
今井の母 健ちゃん、食欲もあるし、顔色もいいんじゃない。
今井の父 お前、本当に病気なのか。
今井 病気だってつってんだろう。
今井の声 うつ病になったころは、同情的だった周りも、時間がたつにつれて変わってきた。
今井 ブログのコメントだ。
(コメント)
男の声B うつ病とかいって海外旅行にライブに飲み会ですかw仮病おつかれさま(通りすがり)
今井 なんなんだよ。ふざけるなよ。(ブログに打ち込む)
「通りすがりさん、あなたに上司のパワハラで傷つけられ…」
今井の声 このことが思わぬ事件に発展した。
<今井の自宅前>
(今井を訪ねた前田が今井に留守電、今井は柱に隠れて聞く羽目に)
前田 前田です。お前、うつ病で休職しているんじゃなかったの。海外旅行とか飲み会とライブとか遊びまわっているようだけれども。うつ病とかなんだ、「オリオンの闘病ブログ」とかっていうの、あれ今井のブログだよね…
<今井の自宅>
(今井、前田の留守電を聞いている)
前田 会社で聞いた。今、ネットで炎上している話題のうつブログ、今井が書いてるみたいだって。これ以上、会社を誹謗中傷すると、解雇もあるから。
今井の声 解雇、チョー待て、解雇。何なんだよ、前田。なんで、俺がこんな目に会うんだよ。(→続く)
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