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「SMAP×SMAP」の謎(「新春TV放談2013」後半部分補足情報・7)

SMAPの語源については、ネットでいろいろ検索されているが、SMAP×SMAPという番組タイトルの理由についてはあまり知られてないようだ。「新春TV放談2013」に出演していた放送作家の鈴木おさむ氏の書いた「テレビのなみだ」(朝日新聞出版)にこうある。

テレビ界には改編期というものがあり、年に2回、4月と10月に新番組が始まる。その1カ月前、内容がだいたい固まってくると、最後に決めなければいけないことがある。タイトルだ。「SMAP×SMAP(スマスマ)」なんかは、ジャニーズ事務所のジャニ―喜多川社長が、「ニューヨーク・ニューヨーク? みたいな感じで」ってことで、そう名付けた。真ん中に「×」とくるところが、凄い!
タイトルにはゲンカツギやいろんなルールがあったりする。4文字に略せたほうが当たる!なんていう伝説もある。「スマスマ」もそうだし、「めちゃイケ(めちゃ×2イケてるッ!)」なんかもそうだ。深夜からゴールデンタイムに昇格する番組もある。「いきなり!黄金伝説。」なんかは、深夜帯から「いきなり」ゴールデンに進出することになったので、そうなった。
新聞のテレビ欄では、深夜番組となると文字数が少なくなる。だから5文字以内に収めたいというプロデューサーも少なくない。「Qさま!!」なんかはその文字制限を受けて生み出されたタイトルだ。
冗談で言ってたものが、本当にタイトルとして付いちゃう場合もある。「金スマ」なんかがそうだ。TBSの金曜日の夜といえば、ドラマ「金曜日の妻たちへ」が有名。会議で誰かが笑いながら言った。
「『金曜日の妻たちへ』をモジって、『(中居正弘の)金曜日のスマたちへ』、略して『金スマ』ってどう?」
みんな冗談だと思って笑っていたが、会議中に「金スマ、金スマ」と言っている間になじんできて、本当にそうなってしまった。でも、よくよく考えると、とんでもなくふざけたタイトルである。(鈴木おさむ著「テレビのなみだ 仕事に悩めるあなたへの77話」朝日新聞出版)
金曜日のタイトルといえば、「三年B組金八先生」もそうだ。
主人公の坂本金八の名は、武田が尊敬しているという坂本龍馬と初期の放送枠であった「金曜八時」からきている。プロデューサーの柳井満によれば、当時裏番組で『太陽にほえろ!』(日本テレビ)や『ワールドプロレスリング』(テレビ朝日)が放送されており、この強力な裏番組のために放送された番組がことごとく低視聴率に終わったため、1979年初夏に編成部で「金八(金曜の八時)をどうにかしろ」という合言葉が広がっていたことが発端である。(三年B組金八先生-Wikipedia)
去年大ヒットした「家政婦のミタ」も市原悦子主演のドラマ「家政婦は見た」のもじりであることは有名だ。

同じ「テレビのなみだ」でもう一本、SMAP関連の番組タイトルの話が出て来る。

番組が占いに頼ってしまったこともある。
以前、僕が構成をしていた「サタ★スマ」という番組。SMAPの中居君と香取君が出演し、慎吾ママなどのヒットコーナーが出た、あの番組。始まった当初は「サタスマ」という名前で、真ん中に「★」はなかった。開始後しばらくの視聴率は散々なものだった。
低視聴率のまま半年がたった。あるスタッフが会議で、
「番組の字画がよくないんじゃないの?」
なんて冗談で言ったことがきっかけとなり、有名な画数占いの先生に見てもらったところ、
「この画数は破滅です」
と言われてしまったのだ。破滅って!!
で、先生の提案が「真ん中に1画足す」ということだった。1画足すと言っても「サタースマ」と伸ばす訳にもいかず、先生と話し合って番組の名前は変えず、画数を変える方法として真ん中に「★」を入れることになった。
ちなみに白抜きの「☆」だと5画になってしまうらしい。この1画が足されることで番組の運は「破滅」から「再生」になると言われたのだ。
もちろんスタッフは「本当かよ!」と疑いまくり。でも、番組で出演者に、
「今日から番組のタイトルに1画増えました(笑い)」
と言わせてしまえば、バラエティーとしても面白いと思ったので、本当に変えたのだ。
サタスマ」から「サタ★スマ」へ――。
タイトル変更からしばらくして、新しく生まれたコーナーが続々当たっていき、視聴率20%を超えるヒット番組となった。タイトルを変えたせいかは誰にもわからない。ただ、変えたところから上向きになったのは事実。
それからだった。そのスタッフで他の番組をやる時も、必ずタイトルを決めた後に「先生に見てもらえ」という話になった。
「この画数だと最悪みたいです」
「じゃあ、どうしたらいいんだ?」
「1画足した方がいいみたいです」
なんて感じで、「!」とか「。」とか、タイトルのお知りにおまけが付くようになっていったのだ。新しく入ってきたスタッフの中には「字画の儀式」を「ちょっと怖い」と思う人もいるらしいが、僕らとしては「○画がいいです」と先生に画数指定してもらったほうが、タイトルを考えやすかったりもする。(鈴木おさむ著「テレビのなみだ 仕事に悩めるあなたへの77話」朝日新聞出版)

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