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料理は著作物か(紅白歌合戦ブログ実況時代の肖像権・3)

(1)料理から肖像権が発生する?

 これは、もちろん「紅白歌合戦ブログ実況時代の肖像権」のジョバンノーニ氏はお寿司が好き──「N904i」の“Sushiメニュー”が生まれるまでというIt mediaの記事の「寿司は“職人の著作物”であり肖像権が発生するため」という記事が面白くて取り上げたのだが、この表現にはやっぱり疑問が残る。なぜなら、肖像権というのは本来、人間にまつわる権利だからだ。

  ほかのメディアではどう表現されているのだろうか。

 日経トレンディ開発者が明かす、「N904i」が高機能とデザインを両立できたワケ

特に「Sushi」は、寿司が大好きだというステファノ氏の思い入れが、強く反映されたものです。しかし、実は寿司の写真にも権利が発生するため、彼から送られてきた写真が使用できないという問題が発生しました。そのため、築地で実際に魚を買って撮影し、さらにさばいて撮影することで、なんとか自前で素材を用意することができました。ここに掲載されたもののほかにも、シャコや赤貝などが候補に挙がりましたが、色味や見た目の問題などから現在の形に落ち着いています。ステファノ氏はイクラが大好物なんですが、「小さすぎてよく分からない」という理由で採用されませんでした(笑)。
 ジョバンノーニ氏はお寿司が好き──「N904i 」の“Sushi メニュー”が生まれるまで では、
 夏モデルのトップを切って登場するN904iでユニークなのが、プリインストールされている着せ替えツールデータの「Sushi」。このメニューは、お寿司が好きというジョバンノーニ氏が「やりたい」とNECに持ちかけ、自らアイコンに使う寿司の写真データを送ってくるほどのこだわりだったという

 ところが、寿司は“職人の著作物”であり肖像権が発生するため、ジョバンノーニ氏の画像データは使えないことが判明。そこでNECのスタッフは築地に寿司ネタを買いに走り、新宿の寿司屋を借り切って寿司アイコン用の写真を撮影した。

 ここに、明確に表現の違いがある。It mediaが、「寿司」が著作物であると断定しているのに対し、日経トレンディは「写真」が著作物だと言っている点である。

(2)それなら料理は著作物か

そこで、料理が著作物かどうか調べてみた。これはブログからの孫引きだが、日経トレンディ2006年9月号から
●店の料理 ○ 料理に著作権はない

料理は著作物ではないので、店の料理の写真を載せても問題はない。ただし、まれに盛り付けが非常に美しい料理などは著作物と見なされる場合もある。また、店の外観も一般には許可はいらない。同様にクルマや家電といった工業製品も、著作物ではないので許可は必要ない。

著作権Q &A
Q21、料理のレシピは著作物なのか(著作物とは何か)

料理のホームページを運営していますが、他のサイト管理者から「無断利用」であると警告を受けました。私は決して真似をしたつもりはありませんが、調べてみると確かによく似ています。どうしたらよいでしょう?

A, 最近よくある相談ですが、料理のレシピは著作物にあたるのでしょうか。レシピは「こうすればこういう料理ができますよ」というノウハウが書かれています。ノウハウは保護されませんし、著作権法で保護されません。しかし、レシピを文章や絵として表現したものは著作物です。レシピを文章にした場合、よほど手の込んだ料理でなければ、意図していなくともある程度は他人の文章表現と似てしまうでしょう。わざと表現を真似したのでなければ著作権侵害にはなりませんし、たとえ真似されたとしても、創作性が低い(例えば、偶然に似てしまう確立が高いような場合)作品は保護されないと考えられます。ケースにもよるでしょうが、料理のレシピの場合、著作権を主張できない場合が多いのではないかと感じます。

  さらに、インターネットの利便性を考えるに、「著作物とは何か?」の中で
 さて料理そのものについては、法上の再製は不能なわけで、「料理のレシピ」も著作物とはなり得ません。ただし、「レシピ集」のようなものは、編集著作物(著一二条)に該当する場合がありますし、レシピを文章に表した場合に、その文章表現に思想又は感情が移入されていれば、その文章は著作物ということになります。

 何がいいたいかといえば、著作権法は、有体物ではなく、情報などの無体物を保護するものですが、すべての情報が保護されるわけではないということがいいたいわけです。その例として「料理」を挙げたわけですが、料理のようにそのもの自体は著作物とならなくても、それを文章や図で表したときには保護対象となるような微妙なものはほかにもあるように思います。そして料理そのものも有用な情報であることは間違いありません。

 同じように、衣服についても調べてみた 、著作物とはの 服飾デザインは著作物か?から
本来、美術の創作物といっても、2つに区別することができます。 絵画、彫刻等のように専ら鑑賞を目的として創作されたもの(純粋美術)と実用品のデザインとして創作されたもの(応用美術)です。 純粋美術は著作権法の分野ですが、応用美術に関しては意匠法という別の法律で保護されることになっています。


さて、服飾デザインですが、衣服は実用品ですから応用美術に含まれます。したがって著作物としての保護から外れるといった結果になります。しかし、最近の判例の傾向としては著作物と意匠の境があいまいになりつつあり、応用美術であっても著作権法の保護対象になりうるという考え方を示すものも出てきました。動向に注意する必要がありそうです。

そもそも著作物とは
 著作権法第2条第1項に、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と規定されているとおり、簡単にいうと自分の気持ちを自分なりに工夫して表現したもののこと です。つまり作品に著作者の個性が表現されていなければなりません。重要なポイントは「創作性」があるかないかという点にあります。その際、高度な創作性を求められているわけではなく、幼児の絵なども創作性があれば著作物となります。また、他人の著作物と偶然に同じ著作物ができてしまった場合でも、それぞれに著作権が認められます。つまり、他 人のマネなどをせずに、自分の個性を表現したものには著作権が発生します。(例外はありますが…意匠等)
ともかく料理や衣服にはよほど凝ったものでない限り、著作権は発生しない可能性が高い。

(3)建築物の著作権

 建築物に著作権があることは、著作権法に規定されている。しかし、それは限定されているようだ。

Q. 建築物が写った写真を利用することはできますか?

A.  建築物にも著作権がありますので著作権登録も可能であり、また、意匠登録も可能ですから、基本的には無断利用はできないということになります。

 では、町中で写真を撮っていて気に入った建物があり、その建物を撮影した写真を公開することは、建築物についての著作権侵害にはならないのでしょうか。 大変興味深いことなのですが、著作権法はこの点はっきりと規定を置いてくれています(著作権法第46条)。

 すなわち、「次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。」として、禁止されるもののみを限定列挙して、それ以外の利用方法はすべてみとめるという規定になっています。禁止される方法というのは、建築著作物を建築によって複製する場合のみ規定されています。したがって、建築物は、建築物として複製するのでなければ、その利用は全く自由ということになるのです。

 今回のエントリーを機会に著作権を学ぶことができた。特に、サイトによっては、その主張に大きく隔たりがあることは、著作権に対しての知識が確立されていないことを感じた。
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