ある官邸の小話
ある地方の知事が来ると、ある官僚がこんなことを言う。
「あんたか。総裁になりたいというのは」
「はい。私なら、バカだ愚図だといわれても耐えられます。お笑い出身なので」
「でも、国民はそんな総裁、望んでいないよ。国民は、今、生活苦で必死なのさ。だから、不満の捌け口を求めている」
「でも、わかりやすくて面白い人は必要でしょ」
「それも駄目さ。小泉さんに、ずいぶんかき回されたからね。同じ手はきかない。それに、芸能界でもおバカタレントというのが流行っただろ。あれだって、島田紳助が『バカから賢い人まで一斉に出られるクイズ番組ってあまりないよね。そういう人間を集めてテストでチーム分けをし、階段席に並べて、早押しクイズとかやったら面白いんちゃう』(おバカの時代)と言ったらしいじゃない。階段席といえば、俺なんかすぐ国会の本会議を思い出しちゃう。あの番組の中で一番、しゃべっているのがおバカタレント。そして国会では総理大臣」
「だから、私はお笑い出身で」
「だめだよ、初めから笑わそうなんてわかってちゃいけない。国民の求めているのは、冷笑。冷たい笑いさ。そこがテレビと国会の一番の違い」