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素人だから言えることもある

Steve Jobsの2015年のiPad考(ホームサーバの戦い・第59章)

PCは死んだらしい

 SF作家のチャールズ・ストロスが「Steve Jobs が Flash を嫌う本当の理由」というタイトルの論考を発表しているという。タイトルの割には、フラッシュを嫌う理由はちょっとしか書いていない。ともかく、Steve JobsiPadに対する考え方がわかって面白い。その中の一部を引用してみる。
ともかく Steve Jobs の陥っている戦略的ジレンマとは、ひと言でいえばこういうことだ。これまで30年以上にわたり馴染んできた PC 産業そのものが死滅しようとしているのだ。(Steve Jobs が Flash を嫌う本当の理由)
 その原因はPCのコモディティー化にあるという。
PC はコモディティー商品に成り果てた。この10年で PC やラップトップの価格は実質50%も下落した。性能は事実上向上しているというのに。典型的なネットブックやデスクトップの儲けの利幅は10%以下だ。アップルはこの利幅の崩壊を、プレミアムマーケットに狙いを付けることで乗り切ってきた。アップルが自動車会社だとしたら、メルセデスや BMW、ポルシェ、ジャガーをひっくるめたようなものだったろう。それでも全体としての価格の下落は否めない。(Steve Jobs が Flash を嫌う本当の理由)

ハードよりも流通チャネルが大事らしい

App StoreiTunes Store から Steve Jobs は学んだのだ。流通チャネルを自ら所有することが決定的に重要であることを・・・。たといハードウェアの扱いを止めても、データ(アプリ)へのアクセスを握っている限り、それから使用料を徴収するというビジネスモデルが可能なのだ。品質も(どんなものであれ)維持できる。マルウェアも排除できる。ライバルをやっつけることすらできるのだ。よく手入れされた App Store は事実顧客を惹き付ける。アプリを動かす OS の普及を図るためにも強力な武器となる。OS、ハードウェアプラットフォーム、そしてアプリが揃ってエコシステムとなるのだ。(Steve Jobs が Flash を嫌う本当の理由)

2015年までiPadを長生きさせれば、価格が高くても当然らしい

アップルは必死になって新しいエコシステムを育てようとしている。26年を経た Macintosh 環境に取って代わるものを、きっかり5年の間に成熟させようとしている。クラウドコンピューティング革命が PC 産業を押し潰すまでに残された時間をそう捉えているのだ。2015 年までの間に自らを全く異なるタイプの企業に変えることが出来なければ、アップルの命運は他の PC 産業と同じく、取り残された存在[irrelevance]と化してしまう。ぎりぎりの予算で取るに足らない利益を追求する、コモディティー部品を組み立てるだけの、どれをとっても変わらないサプライヤーのひとつに堕してしまうのだ。(Steve Jobs が Flash を嫌う本当の理由)
もしアナタが 2015 年に iPad を使っているとしたら、自宅にブロードバンドを引くことなぞ意に介さないだろう。どこにいても必要なときデータを得ることができるからだ。バックアップに気を使うこともなくなる。データは常にアップルのクラウドに保存されているからだ。ソフトウェアアップデートも気にしなくていい。すべてはバックグラウンドで自動的に処理されるからだ。面倒なこともないし、ワームやウイルスも、マルウェアも侵入しない。そうなるためには、ネットブック好きのマイクロソフト愛好者より余計なカネがかかるのは当然だ。(Steve Jobs が Flash を嫌う本当の理由)
 果たして、2015年にiPad型デバイスがアップル一社であるとは到底思えないし、今の高価格で維持できるとも思えない。それは、iPad以後(ホームサーバの戦い・第58章で書いたとおりである。
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